○ 外国企業との日本における合弁会社で、合弁契約書に株主は新株引受権を有する旨記載していましたが、会社法が出来たので定款を変更しようとしました。定款に「株主は、新株引受権を有する」と書いて有効かどうかわからないので、法202条を引用して「当会社は、株主に株式の割当てを受ける権利を与えることができる。」と変更したら、どういうことかとクレームを受けてしまいました。Pre-emptive rightをどうして与えないのかと。欧米やCaymanの会社の合弁・定款ではPre-emptive Rightってすごくポピュラーですよね。なぜ日本の会社法が変わったのか、おかしい、理由が分からないという文句です。今回の会社法では、多少は世界に通じる内容にしようとしたのではなったのでしょうか?
・ 公開会社でない会社(=全株式譲渡制限会社)の定款に、上記の様に株主の新株引受権の規定を設けた場合、会社法上有効なのでしょうか?よく分かりません。今度の会社法は、難解というか欠陥というか、理解が出来ない部分がありますね。(無効です。コメントを参照して下さい)
○ 商法旧280-5-2条では、株式の譲渡制限会社の株主は新株引受権を有する旨の規定がありましたね。即ち「株式ノ譲渡ニ付取締役会ノ承認ヲ要スル旨ノ定款ノ定アル場合ニ於テハ株主ハ新株ノ引受権ヲ有ス」です。但し、特別決議で、第三者割当増資が可能でしたね。
○ 法202条1項本文では「株式会社は、199条1項の募集において、株主に株式の割当てを受ける権利を与えることができる。この場合においては、募集事項のほか、次に掲げる事項を定めなければならない。」としており、更に続けて、
一 株主に対し、次条第2項(申込者の住所・氏名、引受株式数)の申込みをすることにより当該株式会社の募集株式の割当てを受ける権利を与える旨
二 前号の募集株式の引受けの申込みの期日
第2項では「前項の場合には、同項第一号の株主は、その有する株式の数に応じて募集株式の割当てを受ける権利を有する。」としています。
即ち、①会社が募集事項を定め、②株主が申込みをすれば、株式割当を受ける権利を享受できると記載されています。
○ 202条3項二では「当該募集事項及び第1項各号に掲げる事項を取締役会の決議によって定めることができる旨の定款の定めがある場合には、取締役会の決議で決定できるとし、三では、公開会社である場合は取締役会の決議、四では、前三号に掲げる場合以外の場合には株主総会の特別決議で決定としています。
即ち、定款に定めれば、取締役会で、募集事項、割当を受ける権利を与える旨、引受申込期日を定めることが出来ます。
○ 定款で「株主は、新株引受権を有する」と定めても、これが果たして有効か無効は不明です。なぜ、従来の商法で享受できた権利のことをきちんと会社法で規定しないのでしょう。一貫性・継続性即ち何故法的安定性の確保をきちんとしないのでしょう。ハッキリ言って迷惑ですね。
回答;会社法には、新株引受権は、存在しませんので、その定めは無効ですね。
非公開会社の新株発行は、特別決議が必要なので、定款で新株の割当てを受ける権利を与えると入れても、新株発行直前に定款変更でそれを廃止して、発行決議をすることができるので、規範としての意味があまりありません。ただ、そのような定款の定めを置くことは可能でしょう。その決議で総会決議や委任を受けた役会決議を縛るという意味を持たせることになるでしょう。
→定めは無効。でも定款に定めを置くことは可能。ーと言われています。変な回答?ですね。