○ 臨時計算書類の規定は、法441条ですね。株式会社は、最終事業年度の直後の事業年度に臨時決算日を定め、その日の貸借対照表及び臨時決算日の属する事業年度の初日から臨時決算日までの期間に係る損益計算書を作成することができる。この臨時計算書類は監査役又は会計監査人の監査を受けなければならないですね。取締役会設置会社においては、臨時計算書類(監査を受けたもの)は、取締役会の承認を受けなければならない、と規定しています。
○ この臨時計算書類の制度はどれだけ利用されているのでしょうか?あまり利用価値はないでしょうね。まあ、これに基づき四半期決算をきちんとしても良いですが、上場企業は金融商品取引法に基づき四半期報告制度が導入されていますので、そちらに拘束されますね。ただ、四半期報告書は、原則として連結ベースでの開示のみが求められていますが。
○ この制度は、勿論任意ですから作成は自由ですが、作成したら臨時決算日までの期間損益及び自己株式の処分対価額が分配可能額に算入されるだけですね。前年度=最終事業年度の計算書類で確定した剰余金から期末配当を支払った残額の枠を超えない限り、期中の分配をするのに臨時計算書類を作成する必要もありません。定款の記載が条件ですが、取締役会の決議により中間配当(金銭に限る)も出来ますしね。
○ 臨時計算書類の作成は、いつでも出来そうですが、そうではないですね。最終事業年度については、2条24号に定義があり、当該(最も遅い)事業年度の計算書類の承認がなされない限り、臨時決算日を定めることはできません。従い、会計監査人設置会社である取締役会設置会社では、(会計監査人の適正意見・監査役の相当意見は出るでしょうから)最終事業年度の取締役会決議が例えば6月総会の前の5月になされれば、最初の臨時決算日は、通常は月次決算ベースですから、早くて5月末日ですね。でも上場会社は四半期決算報告制度がありますから、5月末、6月末と毎月臨時計算書類を作ることなど考えられません。
○ まあ、未上場企業で、含み益がっぽりの土地が売れたので、今月臨時決算書類を作成して株主還元しようというときには出来ますが、別に1-2カ月ぐらいすぐに立ちますからね。会社法の規定も、こんな変な規定では無く、任意の四半期決算制度ぐらいでよかったのではないでしょうか。金融商品取引法では四半期報告制度ですからね。会社法での臨時計算書類制度と、整合性というか、もう少し、統一的に出来ないものですかね。
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