○ 法115条では、議決権制限株式の発行数制限の規定があります。即ち「種類株式発行会社が公開会社である場合において、株主総会において議決権を行使することができる事項について制限のある種類の株式(=「議決権制限株式」)の数が発行済株式の総数の2分の1を超えるに至ったときは、株式会社は、直ちに、議決権制限株式の数を発行済株式の総数の2分の1以下にするための必要な措置をとらなければならない。」と規定しています。一方、法308条では、株式一株につき、一個の議決権を有するとして一株一議決権の原則を規定していますね。 ですから、議決権制限と言っても、株式一株に対して、半分の0.5個の議決権にしましょうというのは無しですね。
○ 私は、前提が同じでないとこんな規定は意味が無いのではないかと思います。不思議な規定です。今の会社法では、例えば10億円の資本調達をするのに、株式数の制限はありません。即ち、以下のような事ができますね。
・普通株 発行価額 5万円 発行株式数 10,000株 調達額 5億円
・種類株 発行価額 500万円 発行株式数 100株 調達額5億円
(無議決権株)
法の規定では、議決権制限株式の数(上の例では100株)が、発行済株式の総数(10,100株)の2分の1以下にしなさいと規定しています。即ち、議決権制限株式の発行価額を高くして、発行数を抑えてしまえば、この規定のほとんど意味はありません。上の例で、発行価額を100倍にして普通株式・無議決権株式の発行株式数を、それぞれ100分の1にすることも可能ですね。
○ 無議決権株式で重要なことは何でしょうか?株式数でしょうか?そうではありませんね。議決権が無いから株式数・議決権個数や持株比率は重要ではありません。重要なことは、配当優先狙いの優先株なら配当ですね。あるいは「普通株式への転換請求権」を付して、転換後の議決権がどうなるかですね。上の例で言えば、種類株式1株につき100株の割合で普通株式を交付することですね。この転換比率なら種類株100株が転換されて普通株10,000株になりますね。
○ 無議決権株式のみ引き受けては、ものが言えない。発言権を確保したいという株主には、上の例で言えば、同じ株主に普通株の募集新株発行を行えば良いですし、また権利内容は普通株と同一として+少しだけ残余財産分配優先(債務超過になれば、残余財産分配の優先権等付けても、分配など現実的には無いですけど)を加味して、種類株式を作り募集新株を割り当てれば良いですね。
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