○ 前回連邦破産法(倒産法)の骨組みを述べました。今回は、Chapter 11(更正)について調べましたので、その概要を書いてみたいと思います。
(1) 手続の開始
債務者又は一定の要件を満たした債権者が破産裁判所への申し立てにより開始。大半は債務者の自己申立(Voluntary Case)なので、以下は自己申立のケースを念頭に置いて記載します。
自己申立と同時に救済命令(Order for Relief)は発せられる(債権者による強制申立=Involuntary Caseでは、Order for Reliefは自動的には発せられない。債務者の異議申し立ての場合は、Trialの後一定の状況があれば発する事になります)。救済命令は
、単なる手続の開始決定であり、自動停止(Automatic Stay)という効果が生じる。これにより担保権実行などの手続が出来なくなる。尚、債務超過・支払不能は、自己申立の要件とはなっていない。
(2) 債権者委員会(Creditor’s Committee)-無担保債権者による組成等
無担保債権者の中から、債券額上位7名が、裁判所により選任。利害関係人から要求されたときは、他の債権者委員会(例えば担保債権者委員会)や株主委員会が組成される場合もある。債権者委員会は、債務者の調査をしたり、必要有る場合には管財人の任命を要求したりと、倒産事件の管理運営に重要な役割を果たす。債権者集会が開催され、債権者委員会の委員長(Chairman)又は連邦管財官が、その集会の議事運営を行います。
(3) 管財人(Trustee)等-選任されない場合もある
原則として、管財人無しに、債務者自身が裁判所の監督のもとに、債務者の財産を引き続き占有し事業を継続します(=Debtor in Possession)。しかし、利害関係者等の申立により、裁判所が選任の必要有りと判断した場合は、連邦管財官又は破産裁判所が、管財人を選任します。その他、詐害行為(Preferential Transfer等)、不適切行為等が疑われるときは、SEC/連邦管財官/利害関係人の申立に基づき、調査の為に検査官(Examiner)が裁判所により任命されます。
(4) 債権の届出と分類
債務者が、債権者リスト、債権・債務リスト及び経理状況報告書を作成し提出します。これが倒産債権としての届出がなされたものとみなされ、債権者自身が改めて届出の必要はありませんが、慣行として(やはり心配だから)届けているようです。倒産債権は、種類毎に、担保債権、無担保債権、社債権などに分類(class)されます。この分類が、更正計画案(Plan)に大きく影響します。この分類毎に同一に扱われるわけですね。
(5) 更正計画案(Plan)-原則債務者が作成
更正計画案は債務者が作成し裁判所に届出し認可Confirm)されますが、管財人が選任されたとき等は管財人が作成します。正式な更正手続に入る前に更正計画案(Pre-filing Plan)を作成し、多数の合意を得たあと、少数の異議有る債権者に強制力を持たせるために、正式に更正手続を裁判所に申立認可を貰うことも結構行われているようです。今回のクライスラー等はこのケースだと思います。
更正計画案は、Class毎の債権者により承認(Acceptance)されますね。債権者の過半数&債権額の2/3以上の賛成で承認ですね。
(6) 更正計画案の認可(Confirmation)と実行
裁判所により、更正計画案が認可されると強制力を持ちます。債務者は、その計画通り実行する義務が生じます。この認可により、債権者へのそれまでの債務は免責(Discharge)されるわけですね。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます