○ 久々に会社法の「けち」です。今回は、公開会社でない株式会社(全株式「譲渡制限会社」)の組織再編の事前備置書類の期間と株主総会招集通知の期間との不整合についての指摘です。
○ 株主総会の招集通知については、会社法299条①に以下のように規定しています。即ち「株主総会を招集するには、取締役は、株主総会の日の二週間(前条①III/IV=書面・電磁的方法による議決権行使を定めたときを除き、公開会社でない株式会社にあっては、一週間(当該株式会社が取締役会設置会社以外の株式会社である場合において、これを下回る期間を定款で定めた場合にあっては、その期間))前までに、株主に対してその通知を発しなければならない。」
○ 一方、組織再編の事前備置書類の開示については、例えば782条以下に以下のように規定しています。
782条①=消滅株式会社等は、吸収合併契約等備置開始日から吸収合併、吸収分割又は株式交換(=「吸収合併等」)がその効力を生ずる日(=「効力発生日」)後六箇月を経過する日までの間、「吸収合併契約等」の内容その他法務省令で定める事項(施行規則182条以下に規定)を記載し、又は記録した書面又は電磁的記録をその本店に備え置かなければならない。
782条②=「前項に規定する「吸収合併契約等備置開始日」とは、次に掲げる日のいずれか早い日をいう。」とし、I号では、「吸収合併契約等について株主総会(種類株主総会を含む。)の決議によってその承認を受けなければならないときは、当該株主総会の日の二週間前の日」と規定しています。
○ 譲渡制限会社については、例えば、二週間を一週間と読み替えるとか、総会招集通知を発した日から事前備置書類を、株主・債権者に開示するというような規定は見当たりません。どうしてですか?取締役会非設置会社では定款でさらに短く出来ます。それに対応する規定もありません。なんで招集通知を発する前から備置書類を準備して開示しないといけないのですか?整合性をとるのを忘れたのですか?
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