○ 今回も前回に引き続いて会社法への「けち」です。簡易組織再編の規定については、「簡易企業再編の基準は不合理かも?」というブログを書きました。
http://blog.goo.ne.jp/masaru320/d/20081014
今回は、この簡易組織再編の規定について、いまだに何故こんな規定があるのか理解できない部分がありますので、それの話です。
○ 例えば、784条(吸収合併契約等の承認を要しない場合)3項は、以下の様に規定しています。「前条及び前項の規定は、吸収分割により吸収分割承継会社に承継させる資産の帳簿価額の合計額が吸収分割株式会社の総資産額として法務省令で定める方法により算定される額の五分の一(これを下回る割合を吸収分割株式会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)を超えない場合には、適用しない。」
― 私が理解できないのは、括弧書の部分です。即ち、「これを下回る割合を吸収分割株式会社の定款で定めた場合にあっては、その割合」と規定された部分です。事業譲渡についても同趣旨の規定が467①2にあります。
○ 会社を設立するときに定款を作成します。最初から組織再編を前提とした定款を作りますか?この規定を利用して、規制を強化している定款等私は見たことがありません。仮に、事後的にこういった規制を強化するときに、定款を変更するような場合もあるかもしれません。しかしその定款変更は特別決議が必要です。もし仮に要件を強化して特別決議にするということは、二重に特別決議が必要ということです。そんなこと現実にする会社があるでしょうか?
○ 同じような規定は、会社法の規定の随所に見られます。例えば、特別支配会社の定義は468条の事業譲渡の規定のところにあります。特別支配会社=90%以上の議決権を支配している会社の定義には、括弧書で「(これを上回る割合を当該株式会社の定款で定めた場合にあっては、その割合)」と記載しています。余計な括弧書ですね。法務省の頭の良い人が、定款で要件を強化出来ますよと注意的に書いたのでしょうけど、ちょっと現実離れした内容ではないでしょうか?
○ 余計な内容を注意的に括弧書きで書いている事例を言いましたが、誤解を避けるための括弧書きもありますね。これは別にあっても構わないと思いますが。例えば、取締役会設置会社の代表取締役の選定については362条に規定されていますが、349条(株式会社の代表)③には、「株式会社(取締役会設置会社を除く。)は、定款、定款の定めに基づく取締役の互選又は株主総会の決議によって、取締役の中から代表取締役を定めることができる。」として、取締役設置会社を除外しています。
○ 会社法の規定のなかの括弧書の部分は、「余計な記載」が多すぎますね。もちょっと工夫して、必要なものだけに整理して欲し気がします。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます