とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

劇評『睾丸』(ナイロン100℃公演 8月4日えずこホール)

2018-08-05 09:05:09 | 演劇
作・演出:ケラリーノ・サンドロヴィッチ
出演:三宅弘城 みのすけ
新谷真弓 廣川三憲 長田奈麻 喜安浩平 吉増裕士眼 鏡太郎 皆戸麻衣 菊池明明 森田甘路 大石将弘/坂井真紀 根本宗子 安井順平 赤堀雅秋

 不思議な芝居だった。悪い意味で言っているのではない。普通の人間たちが普通に生きていることを描いているだけにも関わらず、そこは不条理だらけの世界なのだ。

 全共闘世代に学生運動をしていた男女が主要な登場人物。その中のふたりの男女が結婚しており、1993年のその夫婦の家が舞台となっている。男女は離婚しようとしている。学生運動時代の思い出が挿入されながら、物語は進行していく。

 まじめにやればやるほどふざけた結果になる。偶然が必然を生み必然が偶然を誘発する。さまざまな相反ずるできごとが起き、人間社会の不条理性があきらかになってくるという構造である。笑いもあるが、その笑いは後で自分を笑っていることに気がつかされる。観客はみんな自分をみているのだ。

 日本版のマーティンマクドナーである。ケラは従来のナンセンス劇をどんどん昇華させているように思われる。これからの活躍がさらに期待される。
コメント
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