とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

「入社試験が公平ではない」という理由で大学入試が公平でなくてもいい?

2018-08-20 09:48:13 | 教育
 現在戦後最大の教育改革が進行中である。今回の改革の大きな特徴は大学入試が大きく変わるということである。さまざまな改革が行われても高校の教育が微動だにしなかったのは大学入試が詰め込み教育によって点数があがるようにできていたからであり、大学入試が変わらなければ高校の授業がかわるはずがなかったのである。だから今回大学入試を変えようとしているのである。

 その一環として英語の4技能の問題が浮上した。「4技能」というとなんだかわからなくなるのであるが、結局はスピーキング力のことであり、スピーキング力をつけるためにはスピーキング力を測る大学入試にならなければならない。ところがそれをつくる能力が大学入試センターにはない。だから民間試験を活用しようという話が浮上したわけだ。受験生はセンター試験以外に民間の英語検定試験を受験しなければならない。それは一見よさそうであるが、大きな問題ばかりだった。

 問題の一つ目は経費がかかりすぎること。問題のふたつめは受験場所が限られるということ。そして最大の問題となるのは、公平性が保たれないことである。民間の英語検定試験は何種類かがあり、その検定試験はもちろんそれぞれ違った尺度で点数がつけられている。それを公平に見ることなど不可能なのである。

 さて困った。

 最近、こんな話を改革派の人が言い始めた。
 「入社試験が公平ですか。違いますよね。社会に出れば公平でないことなんかたくさんある。『公平、公平』と言いすぎるのはおかしいのではないですか。大切なのは改革を止めないことです。」

 改革の必要性は多くの人が認めていることである。しかし、それと公平性の話はまるで次元の違う話だ。こういう意見は論点ずらしでしかない。ふざけた発言は慎んでもらいたい。もっと冷静になって解決策を考えべきである。

 改革派の人たちはこれまで必死にがんばってきたのであり、この改革を成功させたいという気持ちはよくわかる。しかし尊敬していた先生たちがこういう発言をしているのを聞くと、ショックである。
 
 私は教育改革の方向には賛成である。この改革は成功させるべきである。しかし様々な問題が出てきている以上、一度立ち止まるべきだと考えている。急ぐ必要はない。犠牲になるのは受験生なのだ。子どもたちを実験台にするような改革はあってはならない。

 この改革のウラに大きな利権のにおいがしてきたため、反対派も賛成派もけんか腰になり始めている。冷静になればきっといい案が生まれる。消費税が簡単に延期になったのだから、大学入試の変更が2、3年先送りになっても問題あるまい。
コメント
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