5月18日19時開演。紀伊国屋サザンシアター。
原案・井上ひさし
作・蓬莱竜太
演出・栗山民也
出演・山西惇、松下洸平、普天間かおり、有働皆美(ヴィオラ)
地方を切り捨てておきながら、それを気が付かないでいるこの国の姿をありありと見せつけ、一方ではそんな国で必死に生き続けるしかない人間の愚かで上美しい姿を描く名作だった。心が揺さぶられる作品だった。
山西惇演じる上官は中央出身の兵隊であり、松下洸平演じる新兵は地元沖縄出身の若い兵士である。敵国に取り囲まれた二人は木の上に立てこもる。二人は敵国兵が捨てたり、置き忘れた食料を食べながら生き残る。口では敵国を見張っていて、敵国に一撃を与えることを言いながら、もはや生き残ることだけが目的となっている。しかし、実は敵国は二人の存在をすでに気づいていて、生かされているだけなのではないかと気づくことになる。
この作品は、見るものにいまだに続く沖縄の現実を突きつける。戦争というものの真実は戦うことにあるのではない。そこに存在した人間の心を狂わせることにある。その悲しさが伝わってくる。同時にその悲しさと向き合うしかない人間の姿にいとおしさを感じずにはいられない。
「国家」の愚かな政策に右往左往させられるのは現在も同じだ。そんな中でわれわれはどう生きなければいけないのか。考えさせられた。
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