シネスイッチ銀座で、フランス映画、『アマンダと僕』を見ました。悲しみを乗り越えていく姿を静かに描く素敵な映画でした。監督はミカエル・アース。 2018年・第31回東京国際映画祭で最高賞の東京グランプリと最優秀脚本賞をダブル受賞したそうです。
この映画のいいところは表情です。こころの動きを目が物語ります。セリフでは多くは語られないのですが、心はよく見えます。不安な目、諦めた目、理不尽な出来事を受け止められず空白を見つめる目、そして希望を見出した目、それぞれの目が物語を作り上げていきます。
小さなシーンでの心の動きもリアリティがあります。印象に残っているシーンがあります。事件があった後に街で主人公は、事件の被害にあったことを知らない友人と出会います。挨拶程度の話をして、友人は亡くなった主人公の姉にも会いたいと言って、一旦は別れます。一旦別れてしまったのだから、主人公はそのままにしておいてもよかったのかもしれません。特に深い仲ではない友人に一々説明したくはない事件です。しかし、主人公は追いかけて事件を説明します。このシーンは主人公の心を見事に描写しています。こういう表現に監督のセンスの良さを感じます。
初日の最初の会に見ました。監督の舞台挨拶がありました。監督はインスピレーションを大切にしていると言っていました。人間の心と行動をよく観察して、自分を見つめ直してきた成果がこの映画に現れたのだと思います。
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