とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

英語民間試験の大学入試活用「見送り」は当然だ

2019-11-02 09:34:50 | 教育
 英語民間試験の大学入試活用が見送られた。ここまで進んでからの決定なので遅すぎたのは確かであるが、このまま実施するよりは明らかによかった。あまりにも問題がありすぎたのだ。

 萩生田大臣の「身の丈」発言で問題になった地域や保護者の経済状況による不公平の問題だけではない。それぞれの試験を同じ尺度で測ることは無理であるという問題、採点の問題、そもそもスピーキングを試験で点数化することが可能なのかという問題、さまざまな問題があり、それらがここ何年か一部の学会、勉強会、そしてインターネットにおける発信において語られ続けてきた。今回の「身の丈」発言で一気に広まったが、それはきっかけでしかなかった。そこに注目すればだれが見ても無理がある制度だったのだ。

 さて今回の「見送り」はよかったが、実は問題はこれだけではない。国語の記述式の問題も大きな問題である。国語の記述式の問題の採点はベネッセが行うことになった。入札で決めたのである。共通テストの採点まで民間がやることも問題である。さらにはこの採点が困難であることは十分予想できる。噂によると学生のアルバイトが採点をするそうである。はたしてこの制度がうまくいくのであろうか。

 さらに英語の民間試験の「見送り」の前に萩生田大臣は英語の民間試験を、高校を会場にして教員を試験監督にすることを念頭においた発言をしていた。これも約束違反だったはずだ。GTECを行うベネッセは試験会場が見つからず困っていたようであり、来年度の試験会場を予定された期日まで発表できないでいた。そのベネッセを助けるための発言であったのだ。今回の「見送り」も実はベネッセは助かったのかもしれない。いずれにしてもベネッセと文科省は癒着しているのではないかと疑われるようなことばかりである。英語の民間試験だけでなく、「e-portfolio」や「学びの基礎診断」などベネッセがどんどん学校に入り込み、学校ではベネッセの教材を買わざるをなくなっている。この点においても一般の目から見ても適切なのかを検討していく必要がある。

 教育改革は必要であり、そのために民間の力を借りることも必要である。しかし一部の企業だけが儲かるような制度を無理に推し進めたことが今回の「事件」の真相だ。厳しい目で開かれた議論をしていくことを今後お願いしたい。

 そしてそもそも日本は教育予算が少ないことが一番の問題だということも絶対に忘れてはいけない。少ない予算で無理に改革しようとするから結局無理な制度設計しかできないのである。教育予算の大幅な増加をお願いしたい。

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2 コメント

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同感です (退職オヤジ)
2019-11-02 11:31:22
教育費こそ最良の国家防衛費であると考えます。
教育費を出し惜しみして、空母を作ったところで、国は守れないと思うのです。
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Unknown (小父さん)
2019-11-03 18:18:50
とても勉強になります。

行政がそれほど机上で考えたように進められているとは知りませんでした。

萩生田氏は最低中の最低な気がします。
景気動向によっては解散はあり得ると言ってみたり、憲法論議が進まないので衆議院議長を変えるとか変えないとか!

そして今回の「身の丈」発言。
正直なところ、最初に貴兄のブログを目にした時は、深く分かっていませんでした。

ところが萩生田君、今回何回頭を下げたんでしたっけ。
最後の、「民間試験延期『調整不足』」に至っては官邸からの指示だと想像しますが、・・・
自分の「身の丈」発言は直接原因ではないなんて言ってましたが、
行政府は中身をさほど吟味していなかったことを露呈しているのと同じだと思います。

今日、サンデーモーニングで薮中三十二 元外務事務次官が今進められようとしている英語教育の方法の稚拙さを指摘していましたね。
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