とにかく書いておかないと

すぐに忘れてしまうことを、書き残しておきます。

書評『「いいね!」戦争 兵器化するソーシャルメディア』P・W・シンガー (著), エマーソン・T・ブルッキング (著), 小林 由香利 (翻訳)

2019-08-11 08:52:59 | 読書
 インターネットが普及してまだ30年くらいである。だれもがふつうに使うようになったのはスマートフォンの普及からだから、まだ20年弱。さらにSNSが普及したのはさらに5年くらい後。大きな変化の中に我々はいる。この変化の中で、世界は大きく変わってきた。情報が人々の思惑を超えて作り出されるようになり、それを操作しようとする組織や国家も出てきた。

 そもそもSNSはマスメディアからわれわれを解放してくれるものと思われていた。SNSが普及して、人々は自分から情報を発信できるようになり、さらには新たな人間関係を手に入れることができるようになった。これは人間が自由になる手段だと手放しでよろこんでいたのである。しかし実はSNSによる情報操作、あるいは偽情報の拡散、そして情報の混乱がおきるようになってしまった。

 これが象徴的に表れたのがトランプの勝利である。トランプ自身の情報戦略、そしておそらくロシアによる情報操作が重なり、国家を分断することで人気を集めていったことが丁寧に説明されている。

 これを読んでいると、現在の日本のナショナリズムもある特定の勢力とロシアや中国の情報操作力によって生まれてきているのではないかと疑いたくもなる。ロシアや中国にとってみれば、韓国と日本は仲が悪いほうが都合がいいに決まっているからだ。

 インターネット社会の負の一面を事実をもとに丁寧に説明した本である。翻訳のためかわかりにくい点もあり、読むのに時間がかかったが、世界の現状を見事に解き明かしてくれる本であった。

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