安冨歩著『原発危機と東大話法』を読みました。世間にはびこる詭弁を解説してくれる本です。なるほどと思わせることが多くありました。
東大話法とは具体的には以下の通りです。
東大話法規則一覧
- 自分の信念ではなく、自分の立場に合わせた思考を採用する。
- 自分の立場の都合のよいように相手の話を解釈する。
- 都合の悪いことは無視し、都合のよいことだけ返事をする。
- 都合のよいことがない場合には、関係のない話をしてお茶を濁す。
- どんなにいい加減でつじつまの合わないことでも自信満々で話す。
- 自分の問題を隠すために、同種の問題を持つ人を、力いっぱい批判する。
- その場で自分が立派な人だと思われることを言う。
- 自分を傍観者と見なし、発言者を分類してレッテル貼りし、実体化して属性を勝手に設定し、解説する。
- 「誤解を恐れずに言えば」と言って、嘘をつく。
- スケープゴートを侮蔑することで、読者・聞き手を恫喝し、迎合的な態度を取らせる。
- 相手の知識が自分より低いと見たら、なりふり構わず、自信満々で難しそうな概念を持ち出す。
- 自分の議論を「公平」だと無根拠に断言する。
- 自分の立場に沿って、都合のよい話を集める。
- 羊頭狗肉。
- わけのわからない見せかけの自己批判によって、誠実さを演出する。
- わけのわからない理屈を使って相手をケムに巻き、自分の主張を正当化する。
- ああでもない、こうでもない、と自分がいろいろ知っていることを並べて、賢いところを見せる。
- ああでもない、こうでもない、と引っ張っておいて、自分の言いたいところに突然落とす。
- 全体のバランスを常に考えて発言せよ。
- 「もし◯◯◯であるとしたら、お詫びします」と言って、謝罪したフリで切り抜ける。
以上のような詭弁を東大の教授がよくやってしまうというのです。これは私が興味が持っていた教育改革の問題でも同じでした。一部の改革論者が自分の思惑通りの方向に話をもっていくために、「東大話法」と同じような論理で説明していたのです。しかもそれは文部科学省という組織の中で守られているという印象でした。文部科学省の思惑にそった人材を文部科学省が招聘し、その立場にそった発言を「東大話法」で進めるのです。こんなやり方が許されるならば、どんな方向性でも進めることができます。これはたまったものではありません。
さらには「東大」というブランドは、国家という立場に近づきやすいという社会的なシステムがあるように思われます。「東大」=官僚という結びつきがあるのです。筆者はそれを「立場」という言葉で説明します。
筆者の論には納得することが多くあります。
しかし、一方では筆者の言説も一方的で根拠が明確ではないと感じる所もあります。深く読まなければ正確な評価はしにくいというのが正直な感想です。
今後、筆者の意見を参考に学者や官僚、政治家の言説を注意深く見ていきたいと感じさせられました。
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