世界の街角

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ブログ掲載500回記念・魅了する大壺の彷徨える焼成地論・その2

2016-07-23 07:34:35 | 北タイ陶磁
<続き>


前回のSoutheast Asian Ceramics Meuseum Newsletter Vol.4 No.3 MayーJun 2007の末尾に、下の写真が掲載されている。
これはドン・ハイン教授によれば、ウドムサイ県のムアン・パークベンにて出会った。その壺はメコンの北側の丘の墳墓跡から発見されたものだから、バン・サンハイで焼成された、もしくはメコン流域の他の窯であろう・・・との結論である。
その根拠を教授は記載していない。以下推測になるが、Fig7のバン・サンハイで採取した陶片によるものと思われる。解像度が低く明言はできないが、Fig7と同じような印花文はFig6の壺で見かけないことから、教授のそうあって欲しいとの願望に過ぎないと思われる。
このFig6の壺は、バン・サンハイやその他のラオスではなく、北タイの匂いがする。下の壺はナーン・ボスアックのジャー・マナス古窯址敷地に建つ、私設陶磁資料館の出土品の大壺である。

壺全体の姿は双方で似ているが、頸部から口縁にかけての形状に部分的な相違がある。しかし釉調やカエルの耳の形状は似ており、印花文の形状も似ているように感じる。
これをもって、Fig6の壺はバン・サンハイではなく、ナーン・ボスアックと断言するつもりはないが、Fig6の形状の頸部陶片もジャーマナス古窯址から出土しており、その可能性は高いと考えている。それにしてもFig6の土味と底、べた底なのか高台つきなのか?べたなら静止糸切痕なのか回転糸切痕なのか?・・・である程度ナーン・ボスアックの可能性を補強できるのだが。

・・・以上、さまよえる焼成地論の1点目を紹介した。次回は、その2点目を紹介したい。




                               <続く>