<続き>
今回はHP上の郡家美術館に展示されている壺を御覧願いたい。ココをクリックすると「郡家美術館」のHPがでる、そこの「南海古陶磁」なるバナーをクリック願いたい。そうすると郡家美術館所蔵の37点が、順次展示されるので、そこの5点目・パーン青磁刻文双耳壺と6点目・パーン青磁刻文双耳壺を御覧頂きたい。
いずれも如何にも堂々とした姿の大壺で名品である。掲載写真は解像度が低く、どのような文様か判然としないところが多い。先ず5番目の青磁刻文双耳壺を御覧願いたい。解像度は低いものの、何とか文様が読み取れたので、そのスケッチを掲げておく。
何から述べれば良いか、多少の戸惑いが無いわけではないが、先ず名称である。現物を目の前で見ていないので即断はできないが、「パーン青磁刻文双耳壺」との名称の刻文、確かに胴を巡る二重線は刻文であり、ジグザグ文も刻文の可能性もあるが、魚と象は印花文である。
次に「パーン」とある。当該ブロガーの狭い見識がなせる業であろうが、このような黄褐釉のパーン陶磁を見た経験がない。北タイ古陶磁の図録には、このような黄褐釉パーン陶磁の掲載はなく、昨年パーン窯址訪問時に収集した陶片(20点弱)にも、黄褐釉陶片はない。バンコク大学東南アジア陶磁博物館をはじめ、多くの美術館・博物館展示のパーン陶磁でも見た経験がない。パーンの釉薬の特徴はシーサッチャナーライと同じように翠色に発色する・・・と、ここまで断言調に記載しているので、もし存在すれば大恥ではあるが・・・。
そこで、パーンでないとすれば、何処か? 可能性の1番はサンカンペーンである。釉調はサンカンペーンに存在し、ジグザグ印花文もサンカンペーンに存在する。最も特徴的な象の印花文、象の三日月のような眼はサンカンペーンの特徴である。ではサンカンペーンか・・・となるが、断言するほどの自信はない。
なんとなれば、次の郡家美術館・南海古陶磁6点目の壺の文様である。5点目・6点目を比較すると口縁の形状は異なるが、全体的な姿は同じで同一窯と考えてよい。そうすると6点目の印花文様が気になる。
写真の解像度が低く、スケッチをおこすこともできないが、当該ブロガーが勝手に命名している稲穂文様のように思われる。
この稲穂文様の優れた壺が、ホノルル美術館とバンコク大学東南アジア陶磁博物館に存在する。
上はホノルル美術館、下はバンコク大学東南アジア陶磁博物館の展示品である。
両館共に産地は不明としている。サンカンペーン陶磁については、それなりに自信があるが、当該印花文がサンカンペーンに存在するとの知見は持ち合わせていない。当該ブロガーもさまよっていることになる。
回りくどい噺をしてきたが、郡家美術館の青磁大壺はパーンではなく、産地不詳である。可能性として残るのはパヤオとナーンである。この郡家美術館の2点の実物を見てみたい。底はべたか?高台付きか? また、パーンと命名された根拠をしりたい。
以上、さまよえる焼成地論の4点目を紹介した。次回は、その5点目として、三度目の日本の事例を紹介する。
<続く>
今回はHP上の郡家美術館に展示されている壺を御覧願いたい。ココをクリックすると「郡家美術館」のHPがでる、そこの「南海古陶磁」なるバナーをクリック願いたい。そうすると郡家美術館所蔵の37点が、順次展示されるので、そこの5点目・パーン青磁刻文双耳壺と6点目・パーン青磁刻文双耳壺を御覧頂きたい。
いずれも如何にも堂々とした姿の大壺で名品である。掲載写真は解像度が低く、どのような文様か判然としないところが多い。先ず5番目の青磁刻文双耳壺を御覧願いたい。解像度は低いものの、何とか文様が読み取れたので、そのスケッチを掲げておく。
何から述べれば良いか、多少の戸惑いが無いわけではないが、先ず名称である。現物を目の前で見ていないので即断はできないが、「パーン青磁刻文双耳壺」との名称の刻文、確かに胴を巡る二重線は刻文であり、ジグザグ文も刻文の可能性もあるが、魚と象は印花文である。
次に「パーン」とある。当該ブロガーの狭い見識がなせる業であろうが、このような黄褐釉のパーン陶磁を見た経験がない。北タイ古陶磁の図録には、このような黄褐釉パーン陶磁の掲載はなく、昨年パーン窯址訪問時に収集した陶片(20点弱)にも、黄褐釉陶片はない。バンコク大学東南アジア陶磁博物館をはじめ、多くの美術館・博物館展示のパーン陶磁でも見た経験がない。パーンの釉薬の特徴はシーサッチャナーライと同じように翠色に発色する・・・と、ここまで断言調に記載しているので、もし存在すれば大恥ではあるが・・・。
そこで、パーンでないとすれば、何処か? 可能性の1番はサンカンペーンである。釉調はサンカンペーンに存在し、ジグザグ印花文もサンカンペーンに存在する。最も特徴的な象の印花文、象の三日月のような眼はサンカンペーンの特徴である。ではサンカンペーンか・・・となるが、断言するほどの自信はない。
なんとなれば、次の郡家美術館・南海古陶磁6点目の壺の文様である。5点目・6点目を比較すると口縁の形状は異なるが、全体的な姿は同じで同一窯と考えてよい。そうすると6点目の印花文様が気になる。
写真の解像度が低く、スケッチをおこすこともできないが、当該ブロガーが勝手に命名している稲穂文様のように思われる。
この稲穂文様の優れた壺が、ホノルル美術館とバンコク大学東南アジア陶磁博物館に存在する。
上はホノルル美術館、下はバンコク大学東南アジア陶磁博物館の展示品である。
両館共に産地は不明としている。サンカンペーン陶磁については、それなりに自信があるが、当該印花文がサンカンペーンに存在するとの知見は持ち合わせていない。当該ブロガーもさまよっていることになる。
回りくどい噺をしてきたが、郡家美術館の青磁大壺はパーンではなく、産地不詳である。可能性として残るのはパヤオとナーンである。この郡家美術館の2点の実物を見てみたい。底はべたか?高台付きか? また、パーンと命名された根拠をしりたい。
以上、さまよえる焼成地論の4点目を紹介した。次回は、その5点目として、三度目の日本の事例を紹介する。
<続く>