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北タイ陶磁の源流考・#15<インドシナ各地の窯構造・#5>

2017-01-26 08:25:38 | 北タイ陶磁
<続き>

4.東北タイの窯構造

4-1.ブリラム・ナイジアン窯
ブリラムにはクメール陶(ブリラム陶)の窯址が多く点在するが、訪ねたのはナイジアン窯である。その概要を紹介する。


●所在地
 ブリラム県バーン・クルアット郡
●平面プラン
 長楕円及び長方形・・・タイ芸術局の発掘調査報告による平面プランは、オーバル
 形状(楕円形)と記述する。窯址を現認すると角に丸みを認めるが、長方形に近い
 形状も存在する。
●窯諸元
 全長:11m
 全幅:1.5m
 昇焔壁高:1m
●開窯時期
 11世紀中期ー12世紀前期
●出土陶磁
 無釉陶
 施釉陶・・・黒褐釉陶、緑釉陶
 形状・・・盒子、小壺、肖形置物、ケンディー、盤、鉢、燭台、蓋付水注
      瓢箪型水注、大型壺、人面装飾瓶、動物肖形壺
●轆轤回転方向
 左回転
●特記事項
 ●窯体の枠組みは竹で、そこに粘土を貼り付けて構築
 ●窯の天井を支える支柱在り。これはクメール・タニ窯と同じ
 ●昇焔壁高さは1mもあり、非常に高い。これもタニ窯と同じ

4-2.他の窯址
それはBan Khok Yai窯(Non Chareurn副郡)、Ban Kruat郡そしてKhok Lin Fa窯(Baranae副郡)、Lahan Sai郡で見ることができるそうであるが、いずれも未訪問。窯体はナイジアン窯に類似すると云う。




                                   <続く>