オークション出品の東南アジア古陶磁にふれるのは、3カ月振りである。実際の出品名とは異なるが、謂わば『ミャンマー 錫鉛釉緑彩戦士像』である。時代は15~16世紀 メソート出土とある。
どうでも良いことから、メソートなる地名は存在しない。แม่สอดはカタカナ表記すれば、メーソットとなる。多くの方々がタイ字を御存知ないと思われるので、致し方はないのだが。それにしても地名表記からして胡散臭い。
モノを見る前の話であるが、地名表記と共にメーソット(ないしメーソト)から戦士像はもとより戦士像塼が出土したとの報は、過去から現在まで一度も耳目に接していない。この話は当該ブロガーの経験のみであり、あるいは存在していたかとも思うが、断言できるほどの自信はない。
先ず写真の戦士像そのものを見た経験もないし、存在そのものを聞いた覚えはない。但し戦士像塼は存在する。したがって戦士像塼については記すことができる。戦士像塼については、ココを御覧願いたい。
戦士像塼はメーソトやオムコイ山中から出土したとの報には接していない。それはミャンマー・ミャワディ―からメーソト経由チェンマイへ、南ではスリーパゴダ経由バンコクへ持ち込まれたもので、出土地はミャンマー・ペグーおよび近郊に限られていると一般的にいわれている。
以上、モノを見ずに御託をならべたが、簡単に云えば世の中に存在しているとは思えない品物が15~16世紀として出品されていたのである。
ミャンマーの戦士像塼の特徴は、胎土と釉薬の密着度が弱く、多くの品に釉薬の剥離をみるが、写真の戦士像にその様子はみられない。そして釉薬に貫入は見られず、従って貫入の土銹もみられない。底も見難い。底の汚れは人為的につけられた様子が伺える。偽物と断言はしないが、限りなく?・・・と思われる。
落札者には申し訳ないが、当該ブロガーなら4万円以上もだして落札はしない。
<了>