Bulog<の~んびりタイランド2>に、新発見のサンカンペーン鉄絵文様が紹介されている。残念ながら解像度が低く、文様の詳細をうかがい知ることはできないが、その文様を水彩にしてみた、概要は写し取っていると考えている。
2011年11月のバンコク大洪水で、東南アジア陶磁博物館は水没し、復旧工事を行っていたが、2014年11月に再開館した。その時の記念レクチャーとして、8点の文様が紹介されたようだ。
内訳として、双魚文1点、草花を咥える単魚文2点、幾何学文と云っても複合パルメット文(宝相華文)1点については、新発見でも何でもなく、従来から知られている文様である。
しかし、以下に紹介する4点は新発見と云ってよく、未だに謎の多いサンカンペーンに新たな謎を付け加えたことになる。
先ず、昆虫文様である。実は昆虫文はこれが初出ではない。その初出については、当該ブロガーがHPで紹介したのが、最初であると自負しているが、その時は昆虫単体(一匹)で、今回のように陰陽に配置された二匹の昆虫文ではなかった。
当該ブロガーが紹介した時、今後新たな昆虫文盤が出土すると予想していた。その予想通りになったのである。次の蟷螂と蟹(蟹は昆虫ではないが)文様は、全くの初出である。
これを見て、正直大袈裟な表現であるが驚愕した。前置きが長くて恐縮である。当該ブロガーが初めて昆虫文を見たとき、サンカンペーンのオリジナルではないと考えた。一貫して雲南の特に、雲南青花の影響を考えており、それを調査・追及していたが行き当たることはできなかった。それでは安南陶磁の影響か?と考へ、安南陶磁を調査していたところ、関千里著<ベトナムの皇帝陶磁>に蟷螂と蟹が紹介されていた。氏が記述されている、これらの新発見のベトナム陶磁の真贋の程は、はっきりしないが、よくもまー同じ文様が出てきたものである。これを驚愕と云ったのである。
さすれば、これらの新発見のサンカンペーン鉄絵図案は、安南の影響であろうか?謎が謎を呼び始めた。次の仙人図は呂洞賓であろうか?いずれにしても八仙の一人であろう。これも安南陶磁に存在するのか?
少なくとも昆虫や八仙の初出は元染めにある。中国から陶工がサンカンペーンにやってきたと説く人がいるが、それにはのらない。元史、明史には陶工を送り込んだとの記述は全くない。しかし元染めは、タノン・トンチャイやオムコイで出土しており、サンカンペーンの陶工がまねたことは、容易に想定される。
しかし、話がややこしくなった。安南の影響を全く無視できなくなったのである。黎朝の英雄、レ・タイントンはディエンビエンフー、ランサーンを経由して、陸路ランナーに侵攻してきたのである。中世この交易路により、安南の何がしが影響を与えたのであろうか?
当該写真に英語のキャプションがついているのを
ご存じですか。