歌う介護士

看取りをしたご入居者から「あなたの声は癒される」と。お一人一人を思い浮かべながら、ずっと歌い続けています。

施設で看取る・ターミナルケア

2008-12-06 01:11:25 | Weblog
1週間前の金曜日、ターミナルの方を見送ったばかり。
1週間後の今日、もう一方が亡くなった。

はじめの方は、酉の市という施設内で大規模なイベントの前日。
今日の方は、買い物イベントを開催している最中だった。

生きている人のためのイベント。
生きている人が、笑い楽しみ、心配する、愚痴を言う、悪口も言う。
その陰で息をひきとる方がいる。
看取る家族がいる。
ケアするスタッフがいる。


30分前、
訪室して痰がたまっているようなので、口腔清拭をし、
なお痰がとりきれないので吸引をNsに頼んできてもらった。
吸引は決して気持ちの良いものではない。
息が苦しいのでこの数日は、終わったあと「ありがとう」と、
声にならない声で言われた。
今日もそうだった。
その後も点滴台を丸いはっきりした目で見つめ続けているので、
「見えないところにおこうね」と、足元の方へ移動。
「ありがと」
私にそういったとNsがいう。
  痰が喉の奥にたまっているね。
  取りきれていないわね。

イベントへ他の入居者を連れて行き服を選んでいたら、
娘さんが来訪。
別のスタッフがハンドマッサージに行ったらしい。

PHSが鳴り「息が止まった!」
イベント会場にいたNsが私に言う。
放り出して階段を駆け上がる。

主治医に連絡。
15分後に到着。死亡確認。
この主治医に亡くなった状況を報告説明するのも2度目。

入れ歯を入れ、身体を綺麗にしてエンゼル用の洋服に着替える。
施設で看取る時は経帷子を着せることはない。
本人が好きだった服、家族が着せたい服を選ぶ。
ターミナルケアの場合は、予め持ってきてもらう。
死後の処置をして、化粧を家族と共に行う。

同じフロアの入居者には隠さないでお話しする。
お参りの準備が出来たところで、スタッフが付き添ってお別れをしてもらった。


精神力はかなり強い方だと辞任しているが、
さすがに、マル1週間に2度、
イベントとの噛み合わせが続いたので、ストレスになった。
笑顔が出ない。
いや、作れない。

同じフロアの入居者の一人が、混乱して何度も繰り返して聞いてくる。
私が帰るまで落ち着いてはいなかった。
いつもは暗くするフロアの電気をつけたままにしておく。
足元が心配だから。
「うちの女房も食べられなくなっているんだ。この人とおんなじで・・・」
奥さんのことまで思い出して気遣っている。
人が亡くなるというのは認知症の人にとっても、かなりなストレスだ。
ストレスのせいでクリア(脳の働きが良くなる)になり、
自分で着替えはするし、脱いだ衣類もたためたりする。
ただ、精神的には不安が増し落ち着かなくなる。
べつなひとも、
この方入浴日以外は足浴をしているのだが、
「用意が出来ましたよ」と声をかけても45分以上も出てこない。
待ちきれなくて、呼びに行くと忘れていたらしい。
いつもより1時間半も遅れてのケアとなった。

それでも、私を気遣って、
「ココアでも作りましょうか?」と。
この方の作るココアは愛がこもっているが、今夜は上がる時間なのでとお断りした。次の遅番の時にお願いしよう。


明日の午後、出棺される。
お休みなので今夜のお別れとする。