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鉄道車両を売り込め!激化する受注戦争

2017-12-02 07:00:00 | 報道/ニュース

11月11日 国際報道2017


世界の鉄道産業の市場規模は
欧州鉄道産業連盟の推計によると
2019年~2021年で約8兆円年間平均は約24兆円。
この3分の1にあたる約8兆円が車両の市場である。
新たな鉄道建設とともに車両の需要も世界中で高まり大きな市場となっている。
この巨大市場をめぐり車両メーカーがしのぎを削っている。
その鉄道車両の代表的なメーカー
シーメンス(ドイツ)    1兆500億円
アルストム(フランス)   9,600億円
ボンバルディア(カナダ) 8,600億円
“ビッグ3”と呼ばれこれまで世界の市場で圧倒的なシェアを占めてきた。
そこに急浮上してきたのが2年前に誕生したばかりの中国の中国中車である。
中心は中国国内向けだが
売り上げは日本円で3兆8,400億円。
いまは海外へのシフトを積極的に進めている。
それに対抗しようとビッグ3のうちシーメンスとアルストムが事業を統合すると今年9月に発表。
2兆円規模のメーカーとなった。
日本勢は
日立製作所 5,000億円
川崎重工業 1,400億円
これらのメーカーは新幹線の製造などで高度な技術を持つことで知られているが
規模ではライバルたちに後れを取っているのが現状である。

鉄道発祥の地イギリス。
10月 首都ロンドンで真新しい鉄道車両が営業運転を始めた。
製造したのは日本の日立製作所である。
最高時速は200キロ。
騒音を抑える工夫など新幹線の技術が生かされている。
(乗客)
「とても静かで気にいりました。
 素晴らしい列車です。」
新型車両の導入にあたって日立はイギリスに工場を建設した。
主要都市を結ぶ路線で老朽化した車両を入れ替える総事業費8,000億円のプロフェクトで
866両の車両と27年間にわたる保守を受注した。
日本の技術力を示そうと臨んだ運行初日。
そこで待っていたのは空調からの水漏れや遅延といったトラブルだった。
担当の役員は釈明に追われた。
(日立製作所 正井健太郎常務)
「原因は特定し対処した。
 本日その列車は営業投入され
 今のところ問題なく走行している。」
このダメージを何としても最小限に食い止めたい日立。
世界各地に鉄道を売り込んでいくには信頼を積み上げなくてはならないからである。
世界の鉄道市場では今
車両メーカー各社の受注獲得に向けた動きが加速し競争が一段と激しくなっている。
中国では海外展開を見据えて国内の2社が合併し「中国中車」が誕生。
さらに今年9月には鉄道ビッグ3のシーメンスとアルストムが鉄道事業の統合で合意。
規模を大きくすることで車両価格の引き下げや開発力の強化を図り
新たな市場を奪おうとしている。
(仏 アルストム社 プパールラファルジュCEO)
「統合により
 ライバルの日本や中国に負けないグローバルなリーダを目指す。」
先行する海外メーカーの動きに日立のトップは危機感を隠さない。
(日立製作所 東原敏昭社長)
「アルストムとシーメンスの事業統合で大きな企業体になり
 脅威に見た方がいい。
 中国のCRRC(中国中車)も同じ。
 事業規模は非常に大きいと認識している。」
規模で勝る世界のライバルたちからどうやってシェアを奪うのか。
そのための戦略の1つが生産体制の強化である。
日立はイタリアで現地のメーカーを買収して工場を新設。
ここに生産拠点を置くことで
どの地域に向けてもまとまった数の車両を納入できるようにしたのである。
さらにいま武器と考えているのがITの積極的な活用である。 
10月にイタリアで開いた説明会では車両をITによって進化させる仕組みをアピールした。
その1つが車両の異常を素早くとらえる仕組みである。
車両のセンサーで
スピードの変化やブレーキの効き具合など走行中のあらゆる情報を集めていく。
小さな異変を見逃さないようにすることで
実際に故障が起きる前に修理ができるようになる。
(参加者)
「電車の運転とITの組み合わせは非常に興味深いですね。」
ITの活用には地元イタリアの鉄道会社も期待を寄せている。
(イタリア国鉄 マッツォンチーニCEO)
「列車のセンサーによって問題が起こる前に異常を感知できれば
 効率的な保守作業ができるようになる。」
ITによって保守にかかるコストの引き下げを図り
市場のさらなる開拓を目指している。
(日立製作所 東原敏昭社長)
「ライフサイクルのコストでどう見るか
 というアプローチをしている。
 全体で見てほしい。」
成長が続く鉄道市場で主役の仲間入りを目指す日本メーカー。
車両を収めた後の信頼まで勝ち取れるかが成功のカギを握っている。



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