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桜紅葉に、春を思う

2020-12-11 07:03:01 | 編集手帳

11月12日 読売新聞「編集手帳」


近所の桜並木が落葉をはじめた。
歩道が赤い。
見上げれば、
枝に残る葉もカエデのように紅葉している。

紅葉(さくらもみじ)という言葉があるのを思い出した。
俳人の神野紗希さんに次の句がある。
<海に礼桜紅葉の艇庫から>。
高校時代の作で、
ボート部を詠んだという。
日焼けした部員たちが練習のあと、
艇庫のそばの赤々と季節を告げる桜の下で、
海に礼をする――
そんな景色を想像しながら、
晩秋の桜を好きにさせてもらった.

桜は年2回美しくなると、
東京の名所の一つ「新宿御苑」の広報で読んだことがある。
もちろん1回目は春の開花である。

今年の春先、
桜が花を付けはじめた頃に世の中が騒然としたのを思い出す。
学校が休みになり、
在宅勤務が呼びかけられ、
自粛要請を受けて店という店が次々に休業し…。
二度と繰り返したくないものである。
東京は1日の感染者が300人を超え、
4週後に600人台になるとの予測がある。

きのうは大阪でも過去最多の256人となった。
感染しない、
感染させない――
基本に立ち返って気を引き締め直す時節だろう。
春と同じになるのは、
桜がきれいに色づくのみであってほしい。


 

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