日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

香港 区議選から1年 苦境に立つ民主派議員

2020-12-26 07:00:22 | 報道/ニュース

11月24日 NHKBS1「国際報道2020」


11月 香港政府は立法会の民主派議員4人の資格を取り消し。
これに対し15人の民主派議員が抗議の辞職をするなど混乱が続いている。
こうした民主派への締めつけがいっそう強まるきっかけの1つとなったと指摘されているのが
1年前の11月の選挙である。
2019年11月24日に行われた4年に1度の区議会議員選挙。
市民による直接投票のため
民意が最も反映される選挙とされている。
政府への反発を追い風にした民主派の候補が
それまで議席の約7割を占めていた親中派の候補たちを次々と破り
当選。
8割以上の議席を獲得するという歴史的な勝利をおさめた。
その1人
24歳で初当選を果たした伍健偉さん。
しかしいま苦しい立場に追い込まれている。

民主派の区議会議員 伍健偉さん(25)。
区議会の場で
警察によるデモへの不当な対応を追求してきた。
(区議会議員 伍健偉さん)
「警察は民主主義を求める政治運動を弾圧し
 声をあげる人たちを暴力で脅かしています。」
また地域の議員として独り暮らしの高齢者を訪問し相談事に耳を傾けるなど
地道な活動も続けている。
「電球は取り換えたよ。
 健康に気をつけて。」
「取り替えてもらえて本当によかったわ。」
伍さんの議員活動を一変させたのが2020年6月。
反政府的な動きへの取り締まりを強化する香港国家安全維持法
いわゆる国安法が施行されてからである。
(区議会議員 伍健偉さん)
「国安法が施行されてから
 私たちは中国政府からどれほどの抑圧を受けているでしょうか。」
街なかで国安法への反対を訴えると警察官が。
(伍さん)
「商業施設から街頭演説を認めないという苦情でもあるのですか?」
(警察)
「ないです。」
(伍さん)
「ないですよね!」
伍さんは制止の理由をはっきりと告げられないまま
「当局の許可があるのか」と問い詰められ
スタッフ全員の個人情報を記録された。
ゆく先々で監視されるようになったという。
さらに議員活動を続けることもままならない事態も起きていた。
事務所の家賃や選挙ポスターなど
議員活動費のほとんどが政府から支払われていないというのである。
チラシは民主化を求めるスローガンを描いたことで支払いを却下されたという。
“香港を取り戻せ 革命の時だ”
(区議会議員 伍健偉さん)
「ここが問題だと指摘され
 関連するすべての請求が却下されました。
 私の選挙区には親中派の議員もいますが
 その請求はすぐ処理され支払われています。」
これまでに建て替えた費用は日本円で700万円以上にのぼっているという。
(区議会議員 伍健偉さん)
「節約のため1日1食しか食べていません。
 あとどれぐらい持つかって?
 正直もうそんなに持たないですよ。」
脅迫まがいの事態も起きている。
(伍さん)
「困ったことが起きました。」
仕事帰り高速道路で車に異変を感じたため停車したところタイヤがパンクしていたのである。
「刃物のようなもので穴があけられたようです。
 ここに穴が・・・何でこんなことになるのか。」
犯人は未だに見つかっていない。
(伍さん)
「同じようなことが香港で声をあげる多くの人たちに起きています。」
抗議活動だけでは限界があると感じ
政治を通じて社会を変えようと議員になった伍さん。
今直面しているのは予想もしなかった現実である。
(区議会議員 伍健偉さん)
「1年前
 私たちは選挙を通じ
 平和なやり方で香港の政治を変えようとしました。
 しかし1年経って目にしているのは
 議会が香港市民のためのものではなくなっていることです。
 香港政府は何も自分で決められず
 中国政府の意向に沿うだけのものになっています。」
11月11日
伍さんをさらに追い込むニュースが飛び込んできた。
全人代の幹部の1人が
“区議会議員についても国安法など政府の方針を指示する必要があり
 場合によっては議員資格を取り消すことがある”との考えを示したのである。
(香港選出 全人代 常務委員会メンバー 譚耀宗氏)
「区議会議員も公務員です。
 中国 香港政府に忠誠をつくし基本法を順守するよう求めます。」
民主派の区議会議員の間では
このままでは活動がますます難しくなると危機感が広がっている。
(民主派区議会議員)
「政府は最大の抵抗勢力だった立法会の民主派の弾圧に成功したので
 次はその下
 区議会を狙ってくるでしょう。」
「民主派の区議会議員も
 あす資格を取り消されてもおかしくないと思います。」
「これからますますやりにくくなりますね。」
「そうですね・・・。」
今も街なかでひとり声をあげ続ける伍さん。
議会での闘いに限界を感じ始めている。
(区議会議員 伍健偉さん)
「理想と現実の差は大きかったです。
 今後 私たちは選挙に立候補できなくなるかもしれないし
 民主派の支持者の声を代弁する機会も与えられないかもしれません。
 社会全体が崩壊していく速さは
 私たちの予想よりずっと速かったです。」


コメント