2月8日 NHK海外ネットワーク
原油の値下がりで資源を輸出する国々の経済や財政に対する懸念が広がった結果
これらの国の通貨が軒並みドルに対して値下がりしている。
ロシアの通貨ルーブルがこの半年で40%以上下落したほか
ノルウェーのクローネやメキシコのペソといった通貨もそれぞれ下がっている。
アジアはマレーシアのリンギットやインドネシアのルピアなどの通貨の下落が目立っている。
シンガポールからマレーシアに向かう国境の橋はシンガポール人の車で大渋滞。
マレーシアの通貨が下落したことで安く買い物ができるとシンガポールから人々が国境を越えて押し寄せている。
マレーシアのショッピングモールでは同じ衣料品でもシンガポール国内の半値以下で売られているものもある。
この店の売り上げは去年より15%増。
(シンガポールからの買い物客)
「たくさん買えてうれしいわ。」
「毎週欠かさず来ていますよ。」
一方 通貨安はマレーシアの人たちの生活に深刻な影響を及ぼしている。
輸入に頼る魚やコメなどが値上がりしている。
庶民に人気の屋台の朝食。
輸入食材の値上がりで1皿の値段をこれまで通りに抑えるのはひと苦労である。
ご飯の盛りはこれまでより2割ほど軽くした。
さらに肉なども減らして価格の維持に努める。
(店主)
「通貨が下がり続ければ経営は成り立ちません。
食材の値上がりは本当に不安です。」
通貨安の原因となった原油価格の下落は国家財政にも深刻な影響を与えている。
(1月20日 マレーシア ナジブ首相 )
「原油価格の下落は政府の歳入減に直結する。」
マレーシア政府は新年度の国家予算を日本円で約1,800億円削減することにした。
(大手シンクタンク エコノミスト)
「世界的に原油の需要が低いままです。
各国政府とさまざまな機関が産油国に生産量調整をと圧力をかけるでしょう。」
インドネシアでは通貨安が国の経済を支える産業にダメージを与えている。
通貨安はインドネシアの伝統の衣装にも影響を与えている。
普段着として親しまれている衣装 バティック。
市内には1800余の工房がある。
そのひとつを営むアリス・リアディさん。
バティックは綿や染料の原料の9割をを輸入に頼っていて通偉安で大きな打撃を受けている。
「この染料は去年1キロ500円ほどでしたが今は1000円にまで値上がりしました。」
給料の支払いも滞り半月前には20人雇っていた従業員も今はわずか2人である。
(工房を経営 ハリス・リアディさん)
「通貨安は輸入品に頼る我々のようなメーカーにとって極めて影響が大きい。
このままで生き残ることは難しい。」
影響はさらに現地の日本企業にも及んでいる。
日本から進出している企業は約1700社。
その半数以上が自動車や電気機械などの製造業。
通貨ルピア安によって国外からの資材調達はこれまでより割高になっている。
しかし親会社に製品を納入する際に値上がり分を転嫁できず
特に中小企業にとって大きな損失となっている。
(インドネシアの日本人商工会議所 吉田晋事務局長)
「部品を製造している偉業は親会社との関係で価格転嫁はなかなか難しい。
ルピア安の影響をもろに受けがちになる。
それを価格に転嫁する手法がない。
特に中小企業には大きく影響している。」