10月29日 NHK海外ネットワーク
人口70億時代のひとつの特徴が人口の移動。
世界の移住者数は去年、2億人を越えた。
よりよい生活を求めて移住する人を積極的に受けている国のひとつがオーストラリアだ。
日本の約20倍の国土を持つオーストラリア。
人口は、東京・神奈川を合わせた数とほぼ同じ2,200万人。
オーストラリア政府は移民の増加を国の活力にしようとしている。
オーストラリアの車両部品工場では26人が働いている。
7年前韓国から移り住んだ男性(41歳)は2ヶ月前から働いている。
鉄鉱石や石炭など豊富な資源を背景にオーストラリア経済は好調である。
工場の業績も右肩上がりで、ここ数年毎年40%売り上げが伸び人手が足りなかった。
そこで、技術を持つ海外からの移民に目をつけた。
男性は新興住宅街の庭付き一戸建てで家族と暮らしている。
韓国で働いていたときは月収8万円余だったが
ここでは働きが評価されて20万円以上の月収がもらえる見通しになった。
「オーストラリアにいたい。
すべてがいいんだ。」
移民が豊かな暮らしが出来る理由は、
政府がいち早く打ってきた戦略にある。
もともとはヨーロッパ系など“白人最優先”の移民政策をとっていたが、
経済が発展するにつれ、
労働力不足で1970年代半ばからはアジアからも移民を受け入れ始める。
ここ数年、特にターゲットにしているのがエンジニアや医師など技術を持った移民。
優秀な移民を積極的に受け入れて国際競争力を強化しようというのである。
オーストラリア移民・市民権省 サンディ・ローガン報道部長
「オーストラリア経済に技術移民は必要不可欠のもの。
国内の人材だけでは必要な働き手をまかなえない。」
今、オーストラリア政府が注目しているのはギリシャ人。
オーストラリアには歴史的にギリシャからの移民が多く、
メルボルン近郊にギリシャ人コミュニティーがつくられている。
財政状況が悪化し仕事につけない若者が多いギリシャから、
優秀な人材をオーストラリアに集めようとしているのである。
今月、ギリシャのアテネで開かれた就職説明会には、
定員850人に1万3,000人のギリシャ人が応募。
メルボルンにあるギリシャ人団体には、
オーストラリアに移り住みたいという問い合わせが急増している。
国家戦略として、移民の力に頼ろうとするオーストラリア。
国の活力につなげたいと考えている。
オーストラリア移民・市民権省 サンディ・ローガン報道部長
「オーストラリアには多くの移民がいてさまざまな文化にあふれている。
移民を受け入れる政策には反対もあったが
労働力を確保するため、移民に柔軟な政策を取っていく必要がある。」
移民を多く受け入れている国(世界人口白書)
アメリカ 4,300万人
ロシア 1,200万人
ドイツ 1,000万人
移民として国外に出て行く人が多い国
中国 3,500万人
インド 2,000万人
フィリピン 700万人