日暮しの種 

経済やら芸能やらスポーツやら
お勉強いたします

和食の技法で魚料理に“革命”を

2015-12-25 07:30:00 | 報道/ニュース

12月4日 おはよう日本


イギリス ロンドン。
町中にはいたる所にフィッシュ&チップスの店がある。
イギリスの名物料理フィッシュ&チップスはイギリスの人たちの庶民の味として親しまれている。
フライに使われるのはタラなどの白身の魚。
しかし揚げ物ということもあって魚の鮮度を売りにする店はほとんどないという。
(ロンドン市民)
「すしは魚が新鮮であればあるほどいいんだろうけど
 フィッシュ&チップスは揚げてあるから鮮度はあまり気にならない。」
そのイギリスで料理には新鮮な魚を使うことが大切だと伝えようとしている日本人がいる。
ロンドンの和食レストランで料理長を務める石井義典さん(44)。
レストランの格付けで知られるミシュランガイドで2つ星を獲得し
現地のメディアから“和食ブームのけん引役”と評されている。
(和食レストラン料理長 石井義典さん)
「魚は処理の仕方によって鮮度をコントロールできる。」
京都の老舗の料亭を経て日本の国連大使の料理人も務めた石井さんがロンドンに渡ったのは5年前。
日本と同じような新鮮な魚は全く手に入らないと感じた。
(和食レストラン料理長 石井義典さん)
「ロンドンに来て魚の質に失望した。
 仕入れたばかりの魚でも質のいいものはなかった。」
石井さんが新鮮な魚を手に入れるためにまず取り組んだのが
漁業者に獲ったばかりの魚の鮮度を保ってもらうことだった。
イギリスでは釣った魚を氷で冷やすことなくそのまま船に積んで港まで運ぶのが一般的である。
しかし魚が暴れて傷つくことがあるほか死ぬまでの時間もかかるため
魚の鮮度や味が落ちてしまう。
そこで石井さんは“活け締め(いけじめ)”と呼ばれる日本の伝統的な技法を紹介することにした。
水揚げした魚をその場で処理を血を抜く。
さらに脊髄にワイヤーを通して硬直を遅らせることで魚の鮮度を保つことが出来る。
ロンドンから車で8時間かかる港町
“活け締めをしてくれれば倍の値段で買い取ります”と
この技法を取り入れるよう粘り強く働きかけた。
その結果 はじめは包丁を入れるとキズものとみなされるからとしぶっていた漁業者たちも
魚の鮮度を効果的に保てることを理解し
活け締めした魚を出荷してくれるようになった。
(漁業者)
「魚の質の改善を目の当たりにすることができ
 一緒にやっていけてうれしい。」
(和食レストラン料理長 石井義典さん)
「池締めに対する興味が強くなかった人が非常に前向きに見てくれたので
 それだけでも大きな第一歩だと思う。」
次に取り組むべきことは活け締めされた魚を進んで使うプロの料理人を増やすことだと考えた石井さん。
シェフを対象にした講習会を自分の店などで開いている。
これまでに活け締めを教えた料理人などは500人以上にのぼる。
(受講者)
「うまみもあり豊かな味わいもあり最高。」
「普段イギリスで食べる魚とは全然違う。」
講習会に参加したのをきっかけに活け締めした魚を積極的にメニューに取り入れているレストランもある。
(フランス料理店 シェフ)
「常に最高品質の料理を目指しており
 鮮度が保たれた魚を使わない手はない。」
石井さん自身も客により新鮮な魚を堪能してもらおうと
店では和風のフィッシュ&チップスを出している。
油で揚げた魚でもその鮮度で大きく変わる味。
訪れた客の評判は上々である。
(客)
「フィッシュ&チップスも好物ですが断然こちらの方がおいしいです。」
「イギリスでは時々何の魚を食べているかわからないことがあるが
 これは魚の風味が本当意欲わかるしとてもおいしい。」
自らの取り組みを“フィッシュ&チップス革命”と呼ぶ。
イギリスを活け締めの技術を広く普及させたいと考えている。
(和食レストラン料理長 石井義典さん)
「僕らの魚から変えていってそれがだんだん普及していって
 気が付いたらフィッシュ&チップスまで変わってくれれば
 それが僕にとっての革命でありそれが僕の趣旨。」 
新鮮な魚のおいしさを分かち合おうという石井さんの取り組みは
イギリスの食文化に一石を投じている。

 

 


コメント    この記事についてブログを書く
« マララさん 教育への思い | トップ | 拡大するアクションカメラ市場 »

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

報道/ニュース」カテゴリの最新記事