11月29日 国際報道2017
いま世界中で起業への機関投資の目的として最も注目されている指標の一つが
企業の“環境対策”。
11月 都内で投資家や企業関係者を対象に地球温暖化に関するセミナーが開かれた。
壇上に姿を現したのは国際NGO「CDP」のポール・シンプソンCEО。
このセミナーを日本の環境省とともに主催した。
(国際NGO「CDP」ポール・シンプソンCEО)
「気候変動の問題に対して
早急な取り組みが必要なのは明白だ。」
「CDP」は毎年世界各地の大手企業約6,000社に質問状を送って
環境対策を調査し
ランク付けを行っていて
世界の機関投資家がその評価に注目している。
シンプソン氏が最も強調したのが「ESG投資」という新たな潮流である。
(国際NGO「CDP」ポール・シンプソンCEО)
「ESG投資は投資の主流になりつつある。
とくにヨーロッパやアメリカで急速に拡大している。」
ESG投資とは
Environmento 環境 Social 社会 Governance 企業統治
に配慮する企業を選んで積極的に行う投資のこと。
いまや投資全体に占める割合は4分の1にのぼり
去年の投資総額は世界で2,500兆円超とされている。
CDPは10月に世界の6,000余の企業を対象に調査した今年の報告書を発表。
気候変動対策をめぐり
日本で調査対象となった500社のうち
最高ランクの「A」と評価されたのはソニーやトヨタ自動車など13社だった。
ただCDPの調査に応じて回答を寄せたのは283社で
回答率は57%。
世界のトップ企業500社の回答率77%と比べて大きな隔たりがあった。
シンプソン氏は
日本企業は情報公開に積極的になるべきだと主張している。
(「CDP」ポール・シンプソンCEO)
「日本には国際社会をリードする企業がある一方で
欧米と比べて多くの企業が気候変動に迅速に対応していない。」
また日本が石炭を使った火力発電所の建設を支援していることについて
シンプソン氏は
国際社会から非難の声があがっていると指摘。
(「CDP」ポール・シンプソンCEO)
「日本の石炭火力発電所増設の動きに
COP23でも懸念の声が上がった。
パリ協定を実現するには
早期に“脱石炭”に踏み切る必要がある。」
そのうえでシンプソン氏は
むしろ環境対策を積極的に行った方が投資を集めビジネス拡大につながると訴え
日本企業の今後の取り組みに期待感を示した。
(「CDP」ポール・シンプソンCEO)
「かつて環境対策はチャリティー事業くらいに思われていた。
しかし“リスクでもあるがチャンスにもなる”と
今では大企業がみな認識している。
日本の企業はこの分野でリーダーになる潜在能力がある。」