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藤井聡太二冠のこれから続く道

2020-09-07 07:00:00 | 報道/ニュース

8月22日 読売新聞「編集手帳」


「サザエさん」のお父さん、
磯野波平さんはああ見えて現役の会社員である。
たまに背広を着て家から出かけたりするのに会社での肩書を聞いた覚えがない。

まず家族の物語に関係しないことが大きいと思われる。
原作の漫画や過去に放送されたアニメをくまなく見れば、
どこかで紹介されているのかもしれないが、
知るだに忘れそうである。

将棋界にも忘れて差し支えない肩書が生じることがある。
八段、
九段といった呼称は冠を抱くかぎりそれを付けて呼ばれることはない。
藤井聡太二冠(18)の段位なしで呼ばれる道はどこまで続くだろう。

二冠目の「王位」を手中にし、
八段昇段の最年少記録を打ち立てた。
だからといって、
藤井八段とは先の事情で呼ばれない。
長く段位で呼ばれなかった棋士といえば羽生善治さんがいる。
タイトルを保持した期間は連続27年を超え、
それに並ぶか追い越すかと藤井二冠に期待がわくのも、
若さから未来をみれば自然なことだろう。

ただ当欄で2回も藤井二冠と記しながら、
一抹のさみしさを覚える。
記者会見の初々しい受け答えなどを見ていると、
藤井くんと呼びたくなる。




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