10月17日 おはよう日本
一昨年の参議院選挙で
選挙区ごとの1票の価値に最大で5倍の格差があったことについて
2つの弁護士グループが
選挙権の平等を保障した憲法に違反すると主張して
選挙を無効にするよう求めていた。
最高裁判所は15人の裁判官全員による大法廷で審理を進め
きょう午後判決を言い渡す。
5倍の格差というのは
ある場所では24万人の有権者で1人の議員を選ぶのに対して
別の場所では5倍の120万人の有権者で1人と議員を選ぶということである。
同じ1人を選ぶのでも有権者が120万人もいるので1票の価値は小さくなる。
参議院の選挙区の146議席のうち
1票の価値が小さい17の都道府県(東京、北海道、神奈川など)の
議員の数を足し合わせると議員の過半数に届かない72議席。
しかし有権者数は67%近くもいる。
つまり全体の3分の2の有権者数で選挙区の議員は半分に満たない。
これが今の格差である。
この40年ほどの参院選の1票の格差をみると
最大は平成4年の選挙で格差は6,59倍。
最高裁はこのとき参院選で唯一の違憲状態と判決を出している。
違憲状態とは
格差は憲法に違反するほどに著しい不平等である状態になっているが
格差是正には時間がかかるためにただちに憲法違反とは言えない
とイエローカードを出したということ。
その後いったん格差は縮小したが
4,86倍だった平成19年の選挙についての判決で
結論は合憲だったものの選挙の仕組みそのものを見直すことの判断を行った。
今回 さらに格差は広がって5倍になっている。
注目点は判決で最高裁が国会にどういったメッセージを出すかということである。
(東京大学大学院 川人貞史教授)
「不平等状態があるということは前回の判決でも出ている。
現行の選挙制度の仕組み見直しを判決で行ってくると思う。
それをどれだけ強く求めるかがポイントだと思う。」
衆議院選挙についても最高裁は違憲状態だと判断を示している。
きょうの判決で仮に違憲状態となれば
衆参両院の選挙がいずれも憲法に違反した状態という異常事態となる。
またこうした状態で格差が見直されないまま次の選挙が行われれば
違憲状態からさらに踏み込んで憲法違反と判断される恐れも指摘されている。
きょうの判決で最高裁がどんなメッセージを出すかとともに
国会がそれをどう受け止めてどのように対応をとっていくかも注目される。