12月15日 NHK海外ネットワーク
韓国の大統領選の最近の世論調査では
パク・クネ氏44,9% ムン・ジェイン氏41.4%。
ITが盛んな韓国ではネットでも熱い選挙戦が繰り広げられている。
曲に合わせて踊る与党パク・クネ候補
動画投稿サイトには野党ムン・ジェイン候補が踊る姿も
ネット上には支持者が投降した動画や書き込みがあふれている。
(大学生)
「思ったより面白かった。
候補者への親近感が以前より増した。」
(大学生)
「候補者に関する書き込みがネット上にあれば
その書き込みの影響はやはり受ける。」
有権者の40%の約1600万人がソーシャルメディアからの情報を得ている韓国。
大統領選挙はソーシャルメディアで決まるとも言われ
若者の票や浮動票を獲得しようとネットでの選挙運動は激しさを増している。
ネット上の世論の動向を分析するサイトも登場。
フェイスブックとツイッターで候補者に関する書き込みが何件あったか示すグラフは
ネット上での注目度を表すため
両陣営も常にチェックしているという。
(分析サイト運営会社サービス事業本部長 キム・ナリさん)
「ソーシャルメディアができるまで
意見を直接 政党・政府に伝える手段がなかった。
しかし今は1人1人の声が集まって全体の声になり
意見を伝える手段として活用されている。」
韓国初の女性大統領を目指す与党のパク候補。
パク・チョンヒ元大統領の長女で抜群の知名度を誇っているが
何一つ不自由のない生活をしてきたというお嬢様育ちのイメージが先行している。
このため選挙では“身近さ”を繰り返しアピールしている。
(与党セヌリ党 パク・クネ候補)
「私が大統領になったら市民生活の現場に出向いて
国民の皆さんの暮らしを支えるまさに“現場の大統領”になる。」
陣営はソーシャルメディアでパク候補の庶民的なイメージを繰り返し発信。
動画も制作し質素な生活ぶりを強調している。
この服 あの服 着回しの女王
この靴 あの靴 履き回しの女王
ピアノをひき愛犬を抱くパク候補。
スマートフォン専用のソーシャルメディア向けには私生活の写真を公開した。
コーヒーを入れる姿の写真の背景の台所は庶民的だと好評だった。
意外性のある画像が反響を呼び47万人が登録している。
陣営は20人の専従スタッフが働くソーシャルメディア本部を設置し
ネット上の情報の更新や事実誤認への反論にあたり
イメージのコントロールに努めている。
(パク陣営ソーシャルメディア担当 キム・チョルギュン本部長)
「良く知らないと言うだけで反感を持たれないよう
身近であることを感じてほしい。」
野党 民主統合党のムン・ジェイン候補。
弁護士出身でノ・ムヒョン前大統領のもとで秘書室長を務めた。
南部の貧しい家庭で育ち民主化運動を経験した自分こそ“庶民派”と強調している。
(野党 民主統合党 ムン・ジェイン候補)
「生涯一度も庶民と暮らしたこともなく働いたこともない人と
ずっと庶民と一緒に生きてきた候補の私
どちらが庶民の生活を理解し
公平な経済発展・福祉の充実ができるのか。」
ムン・ジェインの“ムン・ジェ”と韓国語のムンジェ(問題)をかけた替え歌で
親しみやすさをアピールしている。
問題(ムンジェ)ない
こうした映像の担当やスマートフォン向けコンテンツの制作にかかわるスタッフは
パク陣営の2倍の40人余。
スマートフォンを使ってムン候補と一緒にいる写真を撮ってもらおうという企画。
撮影した写真は手軽にネット上に載せることができる。
ネット世代の若者に狙いを定めた戦略で
ツイッターを見ている人の数はパク候補を上回る。
ソーシャルメディアで支持者を街頭に集め頻繁にイベントも行っている。
若者とコミュニケーションをとれるのはムン候補だとアピールする仕掛けである。
(ムン陣営ソーシャルメディア担当 チョ・ハンギ団長)
「ムン候補は対話しながら政治を進めて行くことができる
リーダーシップを持っている。
その利点を生かすにはインターネットを使った選挙運動が最も適している。」