前回は日にちがズレたので、まだ10日も経っていないのですが、
今日は9のつく19日。
また1冊だけです。
書きたいことはたくさんあるのに、アタマの中から取り出そうと文字を打ちだしたらどうしてこう逃げて行くのでしょ。
Siriに口述筆記お願いして転送コピペして手直しするってのはどうなんだろ。
そのまえにひとりぶつぶつつぶやくのか? 無理だな。
では、この10日間、ではないな、1月11日~1月19日までに読んだ本の17ページ6行目をアタマから書き写し、
あちは紹介にも感想にもならない雑文です。
探検家アムンゼンのユア号航海記/ロアルド・アムンゼン 長もも子訳
こうした中で、誰もが自分が機械の一部ではなく、考える人間であることに初めて気づくのだ。仕事に
初めに、アムンセンとアムンゼン、ロアールとロアルド、
英語読みとノルウェー語に近い表記の仕方がありますが私としてはアムンセンのほうに慣れているのでこちらを使います。
が、この「ユア号」の読みはいろいろ出てくるので、どれも間違いではないのだけれど統一性がなくて、
これまた困ったものです。
Gjøa号→ユア号、ヨア号、ヨーア号、イエア号、ギョア号。
私が読んだ本ではこれだけでてきましたが、まだでてくるかも。
初めは図書館から、
ユア号航海記 北極西廻り航路を求めて/ロアルド・アムンゼン 長もも子訳
この文庫本を借りて読み始めたのですが、これがなんだか面白い。
前にも書きましたが、あのしかめっ面しか浮かばないアムンセンの文章は意外なことに明るく楽しげで読みやすく、
これは手元用に一冊買うべきだと、同じ文庫本ではなく、写真口絵地図満載の単行本を購入した経緯があります。
アムンセンが人類史上初めて北西航路航海に成功したということだけは知っていましたが、
詳しいことも歴史もほとんど何も知らず、
角幡唯介さんの「アグルーカの行方」で出てきたことぐらいの知識しか持ち合わせていません。
で、航海の苦難の記録かと思いきや、アムンセンたちは楽しげにやっているんですね。
極度の疲労、肉体の酷使、極寒、どれをとってもとんでもない環境なのに、
ブレてないんですよ、アムンセンも隊員たちも。
縦の上下関係ではなく横のチーム力というか。
人を束ねる力、個々の才能、力を信じ、その力をどう引き出すか、
あ、スポーツチームの監督(選手兼でもあるけれど)ってこんな感じなのかな、
目が100個ぐらいついてるんじゃないかというほど状況を適格に把握し判断し信頼し最善の対処を考え指揮をとる。
上に書いた17ページ6行目ですが、アムンセンらしいことを書いてあるので抜粋します。
━良い仕事は、規則に支配されていてはできないことを知っていたからだ。今までの体験から、私はできるだけ自由を保証するシステムをとり、おのおのが自らの独立性を感じられるようにした。感性の鋭い人たちは、強要よりも自由を保証した扱いをするほうが、はるかに自主性を発揮する。こうした中で、誰もが自分が機械の一部ではなく、考える人間であることに初めて気づくのだ。仕事に対する情熱が増せば、仕事のできは当然よくなる。━略━仲間たちも同様に考えてくれたようで、毎日が、これから何年も続く辛い闘いの前奏というより、きままな休暇旅行のようであった。
スコットの南極探検別隊「世界最悪の旅」の中で、
極寒の中、テントの出入り口の紐を結ぶのだけに大変な苦労と時間を要したと書いてあって、
きちんと結ばなければそこから冷気や雪や風が吹き付けるし、
かといってその結ぶ紐はカチンコチン棒のように凍っている(凍結バナナやタオルを思い浮かべてください)。
アムンセンも北極とはいえ同様で、そこで何かよい方法はないかと考え、
テントの出入り口に「袋」を縫い付けたらどうだと誰かがいいだし、
早速実行、大きな袋の口を縫い付け、底に穴をあけ、トンネル・筒をつくってしまった(笑)。
今で言う非常時の脱出シュートみたいな感じかな? あんなに長くないでしょうけれど。
出入りはその筒を通り、口を縛れば解決。賢すぎる。
これを南極のテントのときにも採用したかどうかはわかりませんが、
南極遠征のときは極点隊は二つのテントを縫い合わせ一つにして持っていったはず。
設営する時間の節約、あまった人手で犬の世話や食事の用意、
二つを一つにすることで一人当たりの広さが増えることと暖かさも増すし意思伝達もらく。
合理的というか、いかに過ごしやすく快適でいられるか、
どんなに小さな事柄でもそれが強さに繋がってゆくことをアムンセンはわかっていたんですね。
で、驚いたのが、北西航路探検オンリーではなく磁極の観測をやっているんです。
それも2年間も毎日休まず一定の場所で調べ続け、
その2年間、エスキモー(本書ではエスキモー表記なのでそのまま使います)とともに暮らしている。
南極探検の衣服や犬ぞり食生活など極地の暮らしははエスキモーから教わったことは知っていましたが、
それはノウハウをささっと学んだのではなく、
エスキモーの暮らしの中にこの人は混ざっていったんですねー、ちょっと驚きました。
で、心からエスキモーの人たちをともだちと呼び、愛するというか親愛の情をもっていたようです。
なんだかあらためてスコットはこんなすごい人と一緒に南極点を競っていたのですね。
二冬ユアへブンで磁極観測をし、最後の北西航路の通り道を探し出し、
あともう少しでゴールというところでまた氷に閉じ込められユア号は進めなくなってしまう。
で、アムンセンはなんとか故郷に連絡をとりたくて、自分たちの無事を知らせたくて、
片道800キロも離れた電信所に犬ぞりとスキーで電報を打ちにいくところが、これまた只者ではないというか、山越えしてるし、
「オレ、ちょっと行ってくるわ」のレベルの話ではないと思うのですが、3ヶ月かけて往復する。
札幌から東京ぐらいある? もっと?
アムンセンの書いたこの本を読んでいると、故郷への想い、仲間・友人への信頼と感謝の念がぐんぐん伝わってきます。
なんだろ、私ってリチャード3世とかアムンセンとか「イメージ悪い」で通じている人が好きなんだろか。
ラストの終わり方もなかなか感動的で、
ネット購入のかなり古くて薄汚れた本ですが、
2017年なかなかの良書を読むことができました。
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