銅版画制作の日々

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夢売るふたり(2012)

2012-09-19 | 映画:シネコン

 人間最大の謎は、男と女

好き度:=80点

西川美和監督ワールド炸裂!この独特な世界がたまらなく好きです。

松たか子さんも炸裂ですね。「告白」の彼女を観て以来、彼女の演技にはもうもう圧倒されている私です。

今回は阿部サダヲが彼女の夫役で登場。女は強しというがまさに阿部演じる浮気して朝帰りした貫也を熱い風呂につけ詰め寄る姿は何とも空恐ろしい。火を付けた札束を夫に投げつける。一見気立て良しで明るいと思ったら、実は心の内には悪意が潜んでいたのかと思うくらい何とも身震いするシーンだった。

 
たじたじ状態。。。。顔の表情も強張っていたよね。でも阿部サダヲ、そんな役が似合っているね。

あらすじ(allcinemaより)

 東京の片隅で小料理屋を営む貫也とその妻、里子。2人が懸命に働いてようやく手に入れたその店は、調理場からの失火が原因で全焼、2人は一夜にして全てを失ってしまう。一からやり直そうと前向きな里子に対し、すっかり投げやりになってしまった貫也。

そんなある日、店の常連客だった玲子と再会した貫也は、思いがけず一夜を共にしてしまう。

しかも玲子に同情され、大金まで手渡される貫也。里子はそんな夫の浮気に怒りながらも、彼を使って結婚詐欺をすることを思いつく。こうして2人は、孤独な女を見つけ出しては、里子が計画を練り、貫也が実行する二人三脚による巧みな結婚詐欺を繰り返し、店を再開するための資金集めに邁進するのだったが・・・。

 

里子主導で旦那貫也はなすがままに女性騙しに走る。玲子との関わりが無ければこんな計画はなされなかったのだろうが、、、、。

詐欺で金儲けするという発想はよく聞く話だ。特に斬新な話ではないけれど、何故かとてもこの夫婦間の心理描写が詐欺という行為を通じて上手く映し出されているところが何とも面白い。

2人が詐欺をしようと企てるような会話はない。いつしか話がそういう流れになっていく。まるで暗黙の了解のような感じなのである。

ある時は兄妹になり済まし、夫婦だけど◎倫するというような設定を持ちだし孤独な女性を騙しにかかる。まあ騙される方もどうかと思うが。

 
騙されるOL棚橋咲月に田中麗奈              2人の動向をチェックする妻里子

阿部サダヲ演じる貫也の腰の引けたキャラは女心を誘うのか?それは松たか子演じる里子の手綱の引き方上手いのか?やっぱりこの夫婦の上手いコンビネーションなのかもしれないと。しかしやがてそのふたりの間にも何らかの歪みが生まれ始める。


 
懐の固いウェイトリフティングのひとみにはあの手この手で金を出させようとするも上手く行かず、、、。里子は貫也にあたり散らす。
そんな里子に貫也は結婚詐欺の動機は金はなく金に不自由しない女への嫉妬だと言い放つ。

 とまあ詐欺を重ねて行くうちに夫婦間の微妙な心理が変化していく過程に見入ってしまった。2時間20分弱という長丁場だがなかなか飽きることなく見ごたえあり!!


鶴瓶師匠演じる探偵が現れる頃から話は急展開?そして結末へと繋がるわけだ。

ネタばれになるのでラストはあえて書きませんが、、、、。西川監督らしい淡々としたかたちで終盤を迎えます。

解説(allcinemaより)

「ゆれる」「ディア・ドクター」の西川美和監督が、松たか子と阿部サダヲを主演に迎え、ふとした運命のいたずらから2人で結婚詐欺を始めた夫婦の姿を通して、男と女の単純には割り切れない愛憎と欲望を濃密な筆致で描き出したヒューマン・サスペンス。共演は田中麗奈、木村多江、香川照之、笑福亭鶴瓶。

メディア 映画
上映時間 137分
製作国 日本
公開情報 劇場公開(アスミック・エース)
初公開年月 2012/09/08
ジャンル ドラマ
映倫

R15+

それにしても松たか子さん、結構きわどいというか、生活感溢れた仕草を大胆に演じていましたね。びっくりする場面もありました。
あ!松さん自転車は乗れなかったそうです。この撮影で特訓されたようです。

オフィシャル・サイト
http://yumeuru.asmik-ace.co.jp/
 
 
 
 
 
 
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7 Comments

コメント日が  古い順  |   新しい順
見ました (きさ)
2012-09-19 05:22:21
西川監督らしく色々キツイ映画ですね。
とはいえ「ゆれる」あたりと比べるとかなりユーモアも。
松たか子と阿部サダヲは好演、他にも鈴木砂羽、木村多江など俳優陣はみないいです。
ウェイトリフティングの選手役の江原由夏は本当の選手としか思えませんでした。
最初の方の阿部サダヲのダメ男っぷりはうまいです。
松たか子の演技も色々と怖いです。
ラストは西川監督らしく観客の心に投げかける様な終り方ですが、実は最初の構想では全く違うエンディングだったのだそうです。
見ごたえのある映画ですが、137分はちょっと長かったかな。

「夢売るふたり」に関しては、ほぼ日刊イトイ新聞の糸井重里と西川美和監督の対談が面白いです。
http://www.1101.com/nishikawa2012/2012-09-04.html
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怖い渡世 (クラム)
2012-09-22 18:41:25
松たか子は、「告白」以来かと思いますが、キツい役が板に付くようになりましたね。
元々そんな感じの人のようにも思いますが、男性としては怖い怖い。
西川美和作品は、投げかけるものがおもしろいのでついつい観てしまいます。
それにしても、人間って弱くなるとあんなにあっさり騙されちゃうものなんでしょうか。
怖い怖い。
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凄い夫婦・・・ (マリー)
2012-09-22 23:18:41
こちらは観たのに、まだ書けていない。。。

なんか凄かったなぁという印象が強く・・・
人の裏の感情を見てしまった・・・というのが。
これって男性が観たら、どうなんだろう?
女性って、誰しも騙されるのちょっと分かる~って思っちゃうんじゃないかなと思うのだけど~
私の周りにも素敵な女性の旦那さまって“ダメ男”が多かったりする(笑)

書いたら、TBいただきま~す。
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きささん♪ (mezzotint)
2012-09-24 11:00:32
こんにちは。
コメントのお返し遅くなりました。
西川ワールド、本当にキツイですね。
でもこの世界好きです。
松たか子さんは告白の演技同様、今回も
毒のある演技がさすがだなと思いました。
阿部サダヲのダメさと相まって良いですね。
糸井さんと西川監督対談、ちょっと覗きました。
じっくり読んでみたいと思います。
色々情報ありがとうございます。
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松たか子さん (mezzotint)
2012-09-25 21:35:21
クラムさん

今晩は☆彡
今回も松さんは凄かったですね。
西川ワールドにハマりすぎていました。
監督の独特な世界観は私も好きです!
ラストはいつも後で色々考えさせられますね。

人の心理につけ込むのはやはり目利きできないと
無理でしょうね。さすが騙しのプロかもです。
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マリ―さん☆★ (mezzotint)
2012-09-25 21:39:14
はい本当に凄かったですね。
人間の弱みにつけ込むというのは何か許されない
ことではありますが、、、、。
しかし騙される方にもそれなりの隙間を与えて
いるわけですからね。
それにしても人間って怖い動物ですね。
この作品を観てそう思いました。
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基本的に (sakurai)
2012-10-01 19:44:16
だましてるわけじゃなく、まだ別れてないし、本当に店を再建しようとししているのだし、だからこそ乗ってしまう・・・ことになってるのかなあと。
まあ、結果的にはだましてることになってますが。
しっかし、マッつぁん!!凄みがありましたね。
見せてもらいました。
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