Welcome to The Quiet Room ようこそ、この世界の果てのワンダーランドへ
10月30日、MOVX京都にて鑑賞。あの「大人計画」の主宰者、松尾スズキが、原作・脚本・監督を手がけた作品「クワイエットルームにようこそ」、主役には9年ぶりの長編映画に体当たりで挑む内田有紀。久しぶりに観る彼女は、ブランクを感じさせない。
松尾スズキといえば、最近観たのは「図鑑に載っていない虫」。役者として登場していたが・・・・・。今ひとつインパクトなかったな。
何とこの作品は、第134回の芥川賞候補にもなった同名原作だそうで、いやぁ~凄い人だね。あらゆる分野での活躍に驚く。まさに鬼才松尾スズキと言える
今の時代、心病んだ人が多い。まさにストレスは本当に人の心をする傾向が増えている。それは人間関係や複雑な仕事社会など、色々だろうと思う。私の知り合いの方の中にもそういう病で悩み続けている。
そういう意味で、まさに現代社会をモチーフに取り上げた興味深い作品といえるだろう。
STORY
主人公佐倉明日香(内田有紀)はフリーライター、目が醒めると白い部屋の中にひとりいた何と手足、体が〇束されていて、身動きできない状態だ。女性の叫び声も
聞こえている?そして誰かに監視されている気配もドアが開き、ナースの江口(りょう)が入ってきた。彼女の話によると、“3日前アルコールと睡眠薬の取りすぎで、自宅で昏睡状態に陥った。同居人に発見され、この女子の閉鎖病棟に運ばれた。
丸2日間、目が醒めなかった”と説明を受ける。原稿の締め切りがある明日香は、今すぐ退院したいと訴えるが・・・・。保護者と担当医の同意がないと無理だと言われる“早期退院だと、自〇を繰り返す可能性も、そうなると、病院の責任になるから”とクールに答えて江口は去っていく。
自〇なんかじゃないと切れ気味の明日香、面会に来た同棲相手の放送作家鉄雄(宮藤官九郎)は「胃洗浄で、出てきた薬の量が多いため、内科から精神科に運ばれた」と言い訳し、「死ななくて良かった!」と号泣
差し入れに、ラジカセ、ゲーム機、・・・・色々あったが、許可されたものは漫画本のみ。
ナースの山本は、明日香に流動食を持ってきた。彼女は鉄雄の構成する番組のファンだということで・・・・。明日香には優しく接してくれるトイレが見えるところで、食事が取れないと、明日香は訴える。山本は快くこのクワイエットルームから連れ出してくれたそして患者たちを紹介して行く。
ここには個性ぞろいの患者がたくさんいた。
①一日2万円の個室に5年いる、ブルジョアの20歳のサエ(高橋真唯)、何と体重は35キロピアノが上手い。
②自分の髪の毛をライターで燃やしたチリチリ(馬渕えりか)
③勝手に退院しようとする姿の金原(筒井真理子)
④派手な格好をして煙草を吸う西野(大竹しのぶ)
⑤「今日は外泊し、近々退院する」と言う栗田(中村優子)、彼女も明日香のようにOD(オーバードーズ)で一週間前に入院したという。
⑥食べたくても食べられないと話すミキ(蒼井優)
明日香が入れられていたのは、保護室らしい。別名“クワイエットルーム”と呼んでいるそうだ。何でも人に迷惑をかけたり、自分の命を粗末にするダメな人を閉じ込める部屋だとミキは教えてくれる。
院内からを使うことは禁止。外部との連絡は公衆電話だが、テレカがないと使えないテレカやそれ以外のものも面倒な手続きが必要で、すぐ手に入らないのだケンカ腰の明日香に江口は「規則はあなたたちを守るためにある」と動じない。
とんでもないところに隔離された明日香
外出許可が取り消されたチリチリが、江口を殴るチリチリは江口に鎮静剤を打たれ、“クワイエットルーム”送りに・・・・・。その日から、明日香は栗田と相部屋になる。
喫煙室で、明日香は西野から煙草とテレかを買うことに。聞き上手の西野は「何でODやったの?」とふられ、、明日香は過去を振り返る。
明日、退院となった栗田は、明日香にサエの事を頼む。サエが両親から送られた100ピースのジグソーパズルを一緒に完成させて欲しいというものだった。完成すれば、食事を完食するという約束だった。
西野の過去は? 栗田の話によると、彼女は元AV女優、20代でデビューしたが、覚〇剤で逮捕。その後整形して30代で再デビュー。現在は過食嘔吐を繰り返している。
いよいよ、栗田の退院日、ナースや患者からの寄せ書きで、卒業式のように退院
ある日、西野は明日香に13000円のツケを払うように嫌味を言い出す
色々なことが起きるこの閉鎖病棟、さてさて明日香はここを退院できるのか
明日香の勇気ある行動で、患者たちは元気になる。江口や婦長が凹まされる病棟の人気者となった明日香はダンス・リクリェーションに参加。「恋のフーガ」を踊る
最初は落ち込んでいた明日香だったが、次第に生まれ変わろうとしていた
そんな時、トイレで嘔吐をする音が聞こえた。西野だと思い、支払いの遅れを謝罪しょうとすると、出てきたのは、西野ではなく、ミキであったショックを受ける明日香。そしてそのショックに追い討ちをかける出来事が部屋で・・・・・
放送作家で明日香の同棲相手 鉄雄役
宮藤官九郎・・・・松尾スズキ主宰の「大人計画」に参加、舞台の活動と併せて、様々な分野で活躍
拒食症のミキ役
蒼井優・・・・・映画「フラガール」、「虹の女神」などの映画で活躍。演技力抜群の若手女優。「フラガール」では日本アカデミー賞最優秀助演女優賞にいた。
ステンレスの心を持つ冷酷 ナース江口役
りょう・・・・・モデルとして、CMや雑誌で活躍。ドラマなどにも出演。「双生児」(99年 塚本晋也監督)で女優デビュー。
鉄雄の子分、能天気なパンクスのコモノ役
妻夫木聡・・・・・最もブレイク中の若手俳優、「涙そうそう」、「どろろ」等で活躍。そういえば、寺島しのぶ主演の「やわらかい生活」にも出演していた!
元AV女優・過食症の患者・西野役
大竹しのぶ・・・・・映画・テレビで大活躍女優、舞台では「ヘレン・ケラー」のサリバン役が印象深い。天性の才能での素晴らしい演技は、目を見張るものがある。
脚本・監督・原作 松尾スズキ・・・・・俳優としての松尾スズキよりも、戯曲、エッセイ、小説というジャンルでの活躍が凄い。演劇人として、文化人として、今最も熱い注目を浴びている。
仕事も恋愛もうまくいかないフリーライターの明日香役
内田有紀・・・・・ユニチカキャンペンガールに選ばれ、一躍注目を浴びる。テレビ、映画などで活躍。しばらく休止していたが、本作で9年ぶりに主演を務める事に・・・・。
松尾監督・・・・・限定された場で、登場人物すべてに物語がある群像劇を撮りたかった。小説は明日香の目線で語られているそうだが、一人称で描くのは難しいことがあり、登場人物がいっぱい出てくる群像劇にしたそうだ。
そういえば、「キサラギ」も似たようなやり方だったよね。登場人物は限られていたけど・・・・。
クワイエットルームというものが、多分精神病院や他の施設にでもある?というのは聞いたことがあるような気がする。本当の実態は分からないけど・・・・・。随分前の施設なら、そんなことは当たり前だったはず。今や人権問題などが厳しくなり、そのような〇束問題の実態が明るみになれば、大変なことになるはずだあえてそんな閉鎖病棟に着目したのは何なのだろう?そんなことが頭の中をよぎりながら、この映画を観た。
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