京都シネマにて鑑賞。
実話に基づいて映画化された本作は2010年カンヌ映画祭のグランプリ受賞。昨年の9月8日に公開されるやいなや、またたく間に観客動員数300万人を超えたそうです。
そして現在もヒット中だとのこと。
テーマは修道士虐殺事件、暗くて重いものですが。。。但し事件の全容をリアルに描かれたものではありません。
1996年、当時アルジェリアの地では、内戦の真っ只中にありました。周辺地域では、その内戦による犠牲者が増えていました。それにも拘わらず、危険を覚悟でこの地に留まることを決めた修道士たちの決断にいたるまでの姿に焦点を当て描かれています。
殺されることへの恐怖、生きたいという強い思い。それぞれの事情を抱え、ここに残るべきなのかどうかと一人の人間として悩み苦しむ修道士たち。
ここにとどまれば、遅かれ早かれ、そこには死が待ち受けているわけです。見えない死の恐怖、どんな感じなのでしょうか。
あらすじ(goo映画より拝借)
1990年代、アルジェリア。人里離れた山間の小さな村の修道院で、修道院長クリスチャン(ランベール・ウィルソン)を始めとするカトリックのシトー会に所属する修道士たちが共同生活を送っていた。戒律を厳格に守り、貧しい人々とともに働き、病める者の面倒を見て過ごす日々。修道士の1人、リュック(マイケル・ロンズデール)は医者でもあり、近所から訪れる多くの人々を診察していた。
修道士たちはイスラム教徒の地元民と良好な関係を築いていたが、、、。アルジェリアは内戦の真っ只中。暴力行為やテロがこの土地にも暗い影を落としていた。イスラム過激派による市民の虐殺に加え、アルジェリア軍との衝突で多数の犠牲者が出る。
やがて、修道院からそう遠くないところでクロアチア人が殺される事件が起きる。軍が修道士たちの保護を申し出るが、クリスチャンはこれを辞退。
クリスマス・イブの夜、ついに過激派グループが修道院に乱入する。
負傷した仲間の手当てのために、リュックを連れ出そうとする過激派に対して、彼は診療所を訪れた人を診察するためにいるのだと、きっぱり断るクリスチャン。そしてコーランを引用して、キリスト教徒とイスラム教徒が隣人であると説く。
一難去った後、アルジェリアを去るべきか否か、議論が交わされたものの、意見はまとまらない。
各自で考える時間を与えられ、独り物思いにふけるクリスチャン。やがて修道院に戻った彼は、自分の気持ちを手紙に書いて残すことにする。
大使館からは内務省による帰国命令が出ていることを告げられるが、地元住民からの強い残留要望を受け、クリスチャンは迷う。
地元住民の「あなた方こそが私たちの支えだから」と言われる。
そんな言葉にセレスタン修道士は「私たちは枝に止まった鳥に過ぎない」と言うと、住民は「鳥は私たちで、あなた方が枝。枝が無くなれば、私たちはどうすればいいの?」と言い返され、クリスチャンは言葉を失ってしまう・・・・。
鳥と枝。印象的な言葉でした。
そんな強い思いで必要とされている。去る事はこの村を見捨てることだと。暴力に屈してはいけないと、、、、。
でも殺されるという恐怖は、人間である以上あるはず。いかにその恐怖と戦うか?それは断ち難い人生への執着である。
パニック的な状態にならないにしても、心の中の恐怖との葛藤はあったでしょう。
あぁ~私なら凄くパニックになるだろうね。多分村の人を見捨てて村を去るかも。
いよいよ採決の時を迎える。
モロッコからやって来た修道士ブルュノを加え、記念写真を撮る。これが最後の写真となる。
映画裏話
脚本は映画プロデューサーでカトリック信者のエティエンヌ・コマ―ルによって書かれた。2008年に草稿を書いたコマ―ルは監督とコンタクトを取る。監督はコマ―ルの描きだしたキャラクターに強く惹かれる。2人で脚本化を進めることに。
リサーチのため、神学会に行き、修道院でも6日間過ごす。
クリスチャン・ド・シェルジェとクリストフ・ルブルトンが遺した文書からいくつかのインスピレーションが得られたそうだ。
脚本は亡くなった修道士の遺族にも送られ、この映画へのプロジェクトにも非常に好意的であった。
修道士役を演じることになった俳優さんたちは1ヶ月をかけてシト―会で学び聖歌の訓練を行ったという。
最後の晩餐では“白鳥の湖”が流される。
殉教、、、。修道士たちは自ら望んだわけではないが、やはりそうなるんでしょうね。
雪深い中を歩く修道士たち、覚悟は出来ていたのか?
メディア | 映画 |
上映時間 | 120分 |
製作国 | フランス |
公開情報 | 劇場公開(マジックアワー=IMJエンタテインメント) |
初公開年月 | 2011/03/05 |
ジャンル | ドラマ |
映倫 | PG12 |
解説(allcinemaより拝借)
1996年にアルジェリアで起きた武装イスラム集団によるフランス人修道士誘拐・殺害事件を完全映画化した衝撃と感動のヒューマン・ドラマ。2010年のカンヌ国際映画祭では次席にあたるグランプリを受賞。内戦が激化し、死の危険が迫る中、それでもなお現地にとどまることを決断するに至った7人の修道士の揺れ動く心の軌跡を厳粛かつ繊細なタッチで綴る。主演は「巴里の恋愛協奏曲(コンチェルト)」「華麗なるアリバイ」のランベール・ウィルソン。監督は俳優としても活躍するグザヴィエ・ボーヴォワ。これまでに5本の長編を手掛けているが、日本での劇場公開は本作が初となる。
中央がザヴィエ・ボーヴォワ監督
修道士7人の慰霊 チビリヌ修道院の墓地で眠る修道士たち
私は言う あなた方は皆神々である しかし人間として死ぬだろう 「詩編82章」