お母さん、あなたが生き続けた理由を教えてください。
好き度:+5点=65点
アカデミー賞ノミネートに地元カナダ・アカデミー賞8部門独占したという本作。また世界30ヶ国以上の映画祭で絶賛されたということで、気になり早速鑑賞して来ました。
しかしこんな映画を観てほんまに疲れたことはありません。だから好きかどうかと聞かれると悩んでしまう。あまりにも主人公の人生が壮絶で、言葉を失ってしまった。パワーが要る映画でした。
母のルーツを訪ねて双子の姉弟が中東の母の故郷へ、、、、。その行き着いた先にはあまりにも衝撃な事実が待っていたというもの。
こんな事って実際あるのでしょうか?あまりにも偶然が重なり、えぇ~!と思ってしまう。
この母の表情がキ―ポイントですね。この後彼女は亡くなるわけですが。
さてこの作品は、「双子」、「ナワル」、「ダレシュ」、「デレッサ」、「クファリアット」、「サルワン、ジャナーン」、「ニハド」、「シャムセディン」という8つの章からなっており、トータルで2時間11分のストーリーです。
カナダ・フランスが製作したらしいですが、何かそんな感じがしない。決めつけるわけじゃないけど中東が製作したのではないかと思うくらいベタベタの中東の何処かの国ぽいんですよ。
とにかく主人公ナワルの辿ってきた奇妙というか何というか、、、。とにかく凄い!魂の叫びがヒシヒシと伝わるんですよね。
第一章「双子」では、、、、。
ナワルがプールサイドで原因不明の放心状態に陥り、入院後しばらくして息絶えてしまう姿から始まる。そして、公証人ジャン・ルベル(レミー・ジラール)から、ナワルの奇妙な遺言を聞かされた双子の姉弟ジャンヌとシモンが母親のルーツを訪ねる旅に出発することに。
奇妙な遺言
死んだと聞かされていた「父」と、存在すら知らなかった「兄」に、それぞれ一通ずつ、手紙を届けてほしいという内容だ。弟は母と馴染めずておらず、この遺言に激しく拒否。その上通常の埋葬まで不要ということに弟は益々理解出来ずせめて、「せめて葬儀くらい普通の方法で」と提案するが、姉はそんな弟をたしなめて結局一人で遠い母の故国へと旅立つ事にする。一葉の写真を手掛かりに。
第二章「ナワル」では、、、。
母ナワルの20代初め頃の回想録が映し出されます。
中東某国南部の村デルオムでキリスト教系の家庭で生まれたナワルが20代始め頃、異教徒である難民の青年ワハブと恋に落ち、はからずも彼との子を授かる姿と、そのためにワハブが殺され、ナワルも一族の名を汚したとして村から追放される姿が描かれる。出産したばかりの男の子の赤ちゃんを祖母に取り上げられたナワルは、別れ際に「いつか必ず捜しに来ると言い残す。
しかし宗教が違うというだけで相手は殺され、本人は村から追放とは凄い仕打ちですよね、宗教対立って日本じゃあ考えられない。
第3章「ダレシュ」では、、、。
ここから宗教対立はいっそう拍車がかかります。学生運動に、大学の封鎖などが映し出されます。そしてキリスト教徒とイスラム教徒との本格的な内戦まで勃発と、、、情勢は大変な様子。
大学に見切りをつけたナワルは、故郷に残した息子を捜し出すため南部に向かったが、息子が預けられたはずの孤児院はイスラム系武装勢力の襲撃によって無惨な姿になっており、孤児たちはデレッサという町の難民キャンプに連れていかれたらしい
ナワルは十字架のネックレスをはずしてイスラム教徒を装ってバスに乗り込みデレッサに向かったが、そのバスはキリスト教系武装勢力によって射撃を受け、ガソリンをまかれ燃やされるという凄い場面に。実は正直なところ、ここまでのシーンにくるまでは淡々と進んでいて、ちょっと退屈な感じもあったのだが、このあたりから面白くなって来たかな。
命を守るために、十字架を見せてキリスト教徒だと必死に難を逃れるさまは凄まじいものさえ感じる。私たち日本人では想像もつかない話である。
この後4章から8章まで様々な苦難を体験する主人公ナワルの様子が映し出されているがそれをを書いていると尽きないので詳細には書かないことにする。
後はシアターで観て頂けたらと思います。とにかく予想以上に凄い話です。
イスラム系武装勢力のテロリストになったり。
この経緯は詳しく描かれておらず分かりにくい。
キリスト教右派の指導者のあんさつをしたため、南部のクファリアット監獄に送られ、15年間にも渡る拷問を含む過酷な刑罰を受けることに。
ここからもさらに凄い事に、、、、。リアルなシーンはないが、目をふせてしまいたいような内容です。
とまあナワルの人生が映し出されながらもう一方で娘や息子の母を訪ねての旅のシーンが交互に描かれています。
頭の中が混乱するほどに複雑怪奇な物語です。双子の姉弟は調べて行くうちに母の遺した遺言に隠されている真実に遭遇して行くことになります。
あらすじ(概要)allcinemaより
中東系カナダ人女性ナワル・マルワンが亡くなり、公証人から遺された双子の姉弟ジャンヌとシモンに遺言が伝えられた。それは、父親と兄を見つけ出し、それぞれに宛てた母からの手紙を渡してほしいというもの。死んだと思い込んでいた父ばかりか、存在すら知らなかった兄がいることに当惑するジャンヌとシモン。それでもジャンヌは遺言に従い、中東にある母の祖国へと旅立つのだったが…。
解説(allcinemaより)
カナダに在住するレバノン出身の劇作家ワジ・ムアワッドの同名戯曲を「渦」のドゥニ・ヴィルヌーヴ監督が映画化した衝撃のヒューマン・ミステリー。亡くなった母の遺言に従い、父と兄を探す旅に出た双子の姉弟が、やがて自分たちのルーツでもある激しい宗教対立に翻弄され続けた母の数奇にして壮絶な運命と向き合っていく姿を、現在と過去それぞれのエピソードを通して力強い筆致で描き出していく。主演は「愛より強い旅」「パラダイス・ナウ」のルブナ・アザバル。2010年度のアカデミー賞外国語映画賞ノミネート作品。
メディア |
映画 |
上映時間 |
131分 |
製作国 |
カナダ/フランス |
公開情報 |
劇場公開(アルバトロス・フィルム) |
初公開年月 |
2011/12/17 |
ジャンル |
ドラマ/ミステリー |
映倫 |
PG12
|