映画「アダン」 昨日から京都みなみ会館にて上映孤高・異端の日本画家といわれた、田中一村の生涯を描いた映画。今から11年前に一村の遺作展が京都でも開催された。またNHKの日曜美術館でも彼の画業が紹介され、大反響となり一村ブームになった事も・・・・。今回その一村が映画になって、また戻ってきた一村を演じたのは榎木孝明である。この映画を撮る前に、榎木は陶芸家板谷波山の映画に主演した。クランクアップの際、五十嵐監督に「役者として、次に演じたいのは田中一村だ。」と告げていたそうだ。榎木孝明が魅せられた一村とは、どんな画家だったのか明治41年、栃木生まれ・本名田中孝、幼い頃より絵の才能に恵まれ、南画を描く。東京芝中学卒業後、東京美術学校・日本画科に進むが、結核に倒れ中退。(同期には、橋本明治、東山魁夷等がいた。)戦後昭和22年、第19回青龍展に出品した「白い花」が入選する。しかし翌年出品した「秋晴れ」で、主催する川端龍子と激しく対立、以来画壇との接触が無くなってしまう。晩年には南の島、奄美大島にわたり、69歳で亡くなるまでの19年間、絵描き人生をかけた苦闘が続いた。
物語一村は「絵を売る事は魂を売る事だ」といい続ける。常に絵を人前に見せず、画商も寄せ付けない。ひたすら、自分のポリシーを貫き絵を描き続ける。40歳になっても世に認められず、残された時間もない事をひしひしと感じる、一村は一大決心をする。これまで自分を支え続けてくれた姉喜美子と別れ、絵描きとして自分の納得できる、・生涯最後となる絵を描くために、奄美大島にわたる決意この時すでに50歳であった。奄美ではさまざまな人に支えられながら、大自然の息吹の中で、ひたすら絵を描き、納得できるものを全身全霊で取り組む。それは鬼気せまるものさえある傑作を描き、日本画壇に殴りこむのだという意気込み・・・。しかし生活は相変わらず困窮紬工場で働きながら、生活費を蓄えては、また絵に集中するといった取り組みだ。その間には、姉喜美子の死とも直面しながら・・・・。一村の絵との取り組みは続く。不思議な少女アダンとの出会いも、この映画の見所彼の絵心に何かをもたらす実在した一村をより魅力的に出したいと監督はあえてフィクション化したようだ。
1995年 一村遺作展の図録
※作品に魅せられ、この本を購入した事を、覚えています。
一村の晩年を演じる榎木孝明
「アダン」公式サイト ぜひ観て欲しい映画です