ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

スージー・クアトロ・グレイテスト・ヒッツ

2007年08月04日 | 名盤


 ぼくが本格的にロックを聴きあさり始めた頃、周りで話題になったり、チャートを賑わしていたりしていたのは、クイーンやベイ・シティ・ローラーズを筆頭に、エアロスミス、キッス、バッド・カンパニー、イーグルス、そしてスージー・クアトロなどでした。
 スージーは、その頃まだ珍しかった女性ロッカーの草分け的存在です。
 スージーの全盛期だった1970年代中頃の女性ロッカーといえば、ジャニス・ジョプリンやグレース・スリックなどが思い浮かぶくらいです。ちたほら名前が挙がるのはいずれもヴォーカリストですが、楽器を演奏する女性ロッカーというのはスージーくらいしか思い浮かびません。


 プロデューサーのミッキー・モストによる、売れるための演出なのでしょうが、体にピッタリの革のジャンプ・スーツを着て、バックにはいかつい男たちを従え、ベースを弾きながら絶唱するスージーの姿はとてもカッコよかったです。アルバムにつけられた『サディスティック・ロックの女王』などというサブタイトルが、大いにファン心理をあおっていたものです。
 でも、一見「コワモテの姐さん」風ではありますが、実は日本大好きの親しみやすいお嬢さんだったりするんですよね。来日は1974年から5年連続、そのうえスージーの結婚式は日本で、和装で行われたはずです。





 一連のイメージ戦略もあって、その頃は漠然とスージーの音楽をハード・ロックだと思っていました。でも今聴いてみると、キャッチーなメロディーを持つストレートなロックン・ロールだということが分かります。ブリティッシュ・ハード・ロックの持つ重厚なイメージではなく、ライトかつポップなアメリカン・ロックにグラム・ロックっぽさを加味したような魅力があった思うんです。とにかく、単純にノレるんですね。


 誰にでも受け入れられる親しみやすいロックに加えて、コケティッシュなルックスもスージーの魅力のひとつだと思います。そして、その可愛らしさと対照的なのが彼女のハスキーな声なんですね。ドスの利いた中低音に、小柄な体を絞るようにして発する高音でのワイルドでハスキーなシャウトは、充分スージーがロック・クイーンであることの証明になりえたこと証明だと思いますね。





 この「スージー・クアトロ・グレイテスト・ヒッツ」は中古CDショップで見つけました。
 ぼくは一連のヒット曲は、当時日本だけで編集された「スージー・クアトロ・ストーリー」で聴いてましたが、高校以降はスージーから遠ざかっていたので、中古CDを見つけた時に久しぶりに聴いてみようという気になったんです。すぐ財布を取り出しながらCDを持ってレジに向かったんです。



「スージー・クアトロ・ストーリー」


 主なヒット曲はマイク・チャップマン&ニッキー・チンのソング・ライティング・チームのペンによるものです。スージーのヴォーカルを大いに聴かせようという意図でもあったのでしょうか、楽器によるソロはあまりありません。デビュー当初はパワー・ポップ系の曲が多いのですが、アメリカへの逆進出(スージーは米国出身で、デビューは英国)を図る1975年以降になると、マーケットを意識してか、サウンドはよりポップさを増してゆきます。





 このアルバムの中で印象に残るのは、やはり「キャン・ザ・キャン」「48クラッシュ」「デイトナ・デモン」「悪魔とドライヴ」「ワイルド・ワン」などの初期のヒット曲です。これらにはワイルドなスージーの魅力がいっぱいに詰まっています。


 スージーは今では50台の半ばになりますが、ヨーロッパを中心に今でも現役で頑張っているそうです。こういう「健在」のニュースを聞くと、なんだか嬉しくなったりしますよね。



◆スージー・クアトロ・グレイテスト・ヒッツ/The Wild One  Suzi Quatro Greatest Hits
  ■歌・演奏
    スージー・クアトロ/Suzi Quatro
  ■リリース
    1990年
  ■収録曲
    ① キャン・ザ・キャン/Can The Can (Nicky Chinn、Mike Chapman) イギリス1位、アメリカ56位
    ② 48クラッシュ/48 Crash (Nicky Chinn、Mike Chapman) イギリス3位
    ③ デイトナ・デモン/Daytona Demon (Nicky Chinn、Mike Chapman) イギリス14位
    ④ 悪魔とドライヴ/Devil Gate Drive (Nicky Chinn、Mike Chapman) イギリス1位
    ⑤ トゥ・ビッグ/Too Big (Nicky Chinn、Mike Chapman) イギリス14位
    ⑥ ワイルド・ワン/The Wild One (Nicky Chinn、Mike Chapman) イギリス7位
    ⑦ ママのファンキー・ロックン・ロール/Your Mama Won't Like Me (Nicky Chinn、Mike Chapman) イギリス31位
    ⑧ ビット・オフ/I Bit Off More Than I Could Chew (Nicky Chinn、Mike Chapman)
    ⑨ 恋するヤング・ガール/I May Be Too Young (Nicky Chinn、Mike Chapman)
    ⑩ 恋はドッキリ/Tear Me Apart (Nicky Chinn、Mike Chapman) イギリス27位
    ⑪ ロキシー・ローラー(サケ・ロック)/Roxy Roller (Nick Gilder, James McClloch)
    ⑫ 涙のヤング・ラヴ/If You Can't Give Me Love (Nicky Chinn、Mike Chapman) イギリス4位、アメリカ45位
    ⑬ レースに賭けよう/The Race Is On (Nicky Chinn、Mike Chapman) イギリス43位
    ⑭ 愛のゲーム/She's In Love With You (Nicky Chinn、Mike Chapman)イギリス11位、アメリカ41位
    ⑮ ママズ・ボーイ/Mama's Boy (Suzi Quatro、Len Tuckey) イギリス34位
    ⑯ ネヴァー・ラヴ/I've Never Been In Love (Melissa A. Connell) イギリス56位
    ⑰ ローリング・ストーン/Rolling Stone (Phil Dennys, Errol Brown, Suzi Quatro)
    ⑱ オール・シュック・アップ/All Shook Up (Otis Blackwell, Elvis Presley) アメリカ85位
    ⑲ キープ・ア・ノッキン/Keep A Knockin' (Richard Penniman)
    ⑳ 起きろよスージー/Wake Up Susie (Felice Bryant)
  ■録音メンバー
    スージー・クアトロ/Suzi Quatro (lead-vocals, bass)
    レン・タッキー/Len Tuckey (guitars, backing-vocals)
    ジェイミー・クロンプトン/Jamie Crompton (guitars, backing-vocals)
    アリステア・マッケンジー/Alistair McKenzie (piano, keyboards, backing-vocals)
    マイク・ディーコン/Mike Deacon (piano, keyboards, backing-vocals)
    ビル・ハード/Bill Hurd(piano, keyboards, backing-vocals)
    デイヴ・ニール/Dave Neal (drums, backing-vocals)
    etc...




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