ある音楽人的日乗

「音楽はまさに人生そのもの」。ジャズ・バー店主、認定心理カウンセラー、ベーシスト皆木秀樹のあれこれ

サマータイム (Summertime)

2007年08月08日 | 名曲

△ブロードウェイ・オリジナル・キャスト盤『ポーギーとベス』△

 
 
 
サマータイム (Summertime)
■1935年
■作詞…デュボース・ヘイワード
■作曲…ジョージ・ガーシュウィン


 「サマータイム」は、1935年10月10日からブロードウェイで124回続演されたフォーク・オペラ「ポーギーとベス」の中で歌われています。このオペラの中で、「サマータイム」が最もポピュラーであり、また、ガーシュウィンの全作品の中で、最も広く一般的に知られている歌でもあります。もちろん、スタンダード中のスタンダードといっても差し支えない曲です。


     
     ジョージ・ガーシュウィン


 「ポーギーとベス」は、デュボース・ヘイワードが書いた小説「ポーギー」をオペラ化したものです。サウスカロライナ州チャールストンの黒人居住区を舞台に、黒人の生活や、足の不自由な青年ポーギーと乱暴者クラウンの情婦ベスとの恋を描いた、異色の傑作です。
 ガーシュウィンはチャールストンに長期滞在して黒人の生活と音楽を知り、理解するために努力したといいます。そして彼は、「ポーギーとベス」を、ミュージカルではなく、オペラの手法で作曲したのですが、題材も音楽もアメリカの黒人文化に根ざしているとの理由から、「フォーク・オペラ(民俗オペラ)」と呼んだのです。


 「サマータイム」は古い黒人霊歌「時には母のない子のように」のメロディーにインスパイアされて作曲されたものです。オペラの第1幕の第1場で、若い漁師の妻クララが赤ん坊をあやしながら歌う子守唄です。初演ではアビー・ミッチェルによって歌われました。
 名曲ではありますが、初演当時、オペラの評価がまちまちだったためか、当初のレコードは、上演中に録音されたヘレン・ジェプソン盤以外はなかったようです。しかし、ビリー・ホリデイがこの曲に着目し、1936年秋にヒットさせたのはさすがだと言えるでしょう。1959年に映画化された際にはローリー・ジーン・ノーマン(ダイアン・キャロル吹き替え)が歌っています。


     
     ジャニス・ジョプリン『チープ・スリル』


 夏になると往々にしてリクエストが増えたり、セット・リストに加えられたりする曲です。これを持ち歌にしているシンガーはとても多いし、インストゥルメンタル奏者もよく演奏しますね。素材としてはたいへん面白いので、奏者の音楽魂をくすぐるらしく、4ビート、8ビート、8分の12拍子、3拍子、サンバなど、いろんな形のアレンジで演奏されます。


 ブルース進行に近い、マイナーの曲で、ジャズ・ミュージシャンばかりでなく、ロックやR&B系のシンガーにも取り上げられています。ロック系シンガーなら、ジャニス・ジョプリンの熱唱が有名ですね。
 ぼくもご他聞にもれずジャニスのヴァージョンに大きなショックを受けたひとりです。ブルージーで、パワフルな彼女の歌いっぷりは、ぼくが今まで聴いたいろんな「サマータイム」の中で最も印象に残っているものです。


     
     マイルス・デイヴィス『ポーギーとベス』


 その他、ヘレン・メリルや、エラ・フィッツジェラルドとルイ・アームストロングの共演が名唱と言われています。その他、モダン・ジャズ・クィンテット、カーメン・マクレエ、レイ・チャールズとクレオ・レーンの共演、マイルス・デイヴィスなどが知られているところでしょう。


【サマータイム】
夏は暮らしが楽だよ 魚は跳ねるし綿はよく育つ
おまえの父さんは金持ちで母さんは器量よし 
かわいい子 泣くんじゃないよ
ある朝おまえは立ち上がって歌い 
翼を広げ 大空に飛び出すだろう
だがそれまでは何も心配いらないよ
おまえの父さんと母さんがついているからね



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コメント (4)
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