先月だったか、ジェイさんのブログで「小島良喜ソロ・アルバム・リリース」のニュースを知りました。発売予定日は10月22日。もちろん速攻でamazonに予約注文、今日か明日かとその日を待っておりました。
小島さんは日本屈指のピアニスト、キーボーディストです。ブルーズやファンクなどの黒人音楽に根ざしたソウルフルなプレイが売り物です。米国滞在時は地元ミュージシャンからも厚い信頼を受けていたと言いますし、帰国後は浜田省吾さんや井上陽水さんらから重用されるプレーヤーとして、今や八面六臂の活躍ぶりです。
ぼくが小島さんを知ったのは、もう何年前になるかなあ、ジャズ・ピアニストの佐山雅弘さんと組んだ「フォア・ハンズ」というユニットを聴きに行ったことに始まります。理知的ながら遊び心に富んだ佐山さんのピアノに一歩もひけを取らず、人間味が感じられるような温かさと激しさが感じられたような小島さんのピアノはかなり印象に残るものでした。
その後、2003年だったでしょうか、あるジャズ雑誌に「コジカナツル」デビューの記事が載っておりました。メンバーにぼくの大好きなベーシスト、金澤英明が名を連ねていたので興味を持って記事を読んでいたら、ピアノがあの小島良喜だという。主にロック、ブルーズのフィールドで活躍していた小島さんは、ピアノ・トリオを組もう、という金澤さんの提案に「ぼくはジャズ・ピアニストじゃないから」と一度は断ったといいます。でも金澤さんは小島さんの幅広いユニークな音楽性に目をつけていたのでしょうね。結局ドラムスの鶴谷さんを加えてバンドはスタートすることになります。
このトリオに興味を持ったぼくは、早速「コジカナツル」のデビュー・アルバムを手に入れました。音楽に魂を奪われたヤンチャなオトナ達が夜更けに集まってワイワイやっている、そんな雰囲気のする作品でしたね。ピアノ・トリオというフォーマットとはいえ、ジャズのそれを踏襲しながらも、自分の感性をまずあふれさせる小島さんのピアノはとてもソウルフルでした。ピアノ・トリオはピアノ・トリオであっても、ジャズの範疇に収まらない、一種型破りな彼らの存在は日本の音楽シーンの中でも稀有な存在だと思います。
その小島さんがソロ・アルバムを出すのです。楽しみでないわけがありません。
脇を固めるのが日本一のグルーヴ・マスターと言われる山木秀夫(Drs)、盟友金澤英明(b)、日本最高のロック・ギタリストChar(g)、ジャズ界の重鎮である峰厚介(ts)、そのほかTOKU(flh)、フライド・プライドの名ヴォーカルであるSHIHO(vo)、沖縄在住のデヴィッド・ラルストン(vo,g)らがゲストとして名を連ねています。
1曲目の「片想い」は浜田省吾の名曲。これを小島さんは小粋で泣けるシックな4ビート・ジャズにアレンジしています。
ハマショーの作品というと、「きみと歩いた道」にも取り組んでいますが、これはSHIHO嬢をヴォーカルに据えてエモーショナルに聴かせてくれます。
「"A"Cat called"C"」は都会の片隅で鳴っているような、少々やさぐれた感じの4ビートです。ヴィブラフォンの音色が似合いそう。ブリッジで入るCharのギターがこれまたジミヘンも真っ青になるくらいの出来栄えです。
「Truth」は「コジカナツル LIVE!!」にも収録されていた小島さん渾身の名バラード。エレピとオルガンの音色がとても温かいのです。
「BASSAB」は盟友金澤さんのベースを大きくフィーチュアーしたアーシーなバラード。小島さんはこのアルバムのうち数曲でシンセサイザー・ベースを使ってますが、それ以外のベース・パートは安心して金澤さんに預け切ってますね。相当信頼関係が厚いのだと思います。
小島さんの多面体な音楽性がよく分かるアルバムだと思います。そうはいってもテクニックを全面に出してピアノを弾きまくるという場面はあまりなく、彼の頭の中に鳴っているサウンドを具現化してみた、というほうが当たっているのではないでしょうか。つまりプレーヤーとしてより、サウンド・クリエーターとしての小島良喜を出しているのでしょうね。
プレイそのものでは、ピアノはよく歌っているし、ダイナミクスを巧く生かして音楽を生きたものにしているし。オルガンを弾いてもツボをほんとによく心得ているというか、ここぞというところの背後でいつも温かく、優しく鳴っているんですね。さすがは小島さん、といったところです。
しかし以前は「ジャズはよく分からない」みたいな発言をしていた小島さんが、比較的4ビートを多く取り入れてアルバムを作っているのも面白いと思います。そのへん、金澤さんの影響が大きかったりしてね。
ぼくとしては、1曲は「コジカナツル3」に入っていた「マイ・バック・ペイジズ」のようなゴスペル・ロックをガンガンに弾いて欲しかったんですが、それはまた別の機会に期待することにしましょう。このアルバムに収められたもの以外に小島さんの引き出しはまだまだ数多くありそうです。
◆Kojima
■演奏・サウンドプロデュース
小島良喜 (piano、keyboards)
■アルバム・リリース
2008年10月22日
■録音エンジニア
青野光政
■録音
青葉台スタジオ、スタジオ・サウンド・ダリ、ワーナー・ミュージック・レコーディング・スタジオ
■収録曲
① KATAOMOI (小島良喜)
② "A" Cat called "C" (小島良喜)
③ Are You Happy (小島良喜)
④ "Co""J" (小島良喜)
⑤ Kimi To Aruita Michi (浜田省吾)
⑥ DRAGON FLY (小島良喜)
⑦ TRUTH (小島良喜)
⑧ BASSAB (小島良喜)
⑨ AWAWA (小島良喜)
⑩ BANG (小島良喜)
⑪ Stay out of my way (小島良喜)
⑫ NAP (小島良喜)
■録音メンバー
小島良喜 (acoustic-piano①②③⑤⑥⑧、electric-piano⑦、organ⑦、keyboards④⑨⑪⑫、synthesizer②⑤⑧⑩⑪、synthesizer-bass②⑪)
金澤英明 (acoustic-bass①②③⑤⑥⑦⑧⑨)
山木秀夫 (drums①②③④⑤⑥⑦⑧⑨⑪)
Char (electric-guitar②③⑤)
峰厚介 (tenor-sax②③⑥)
TOKU (flugel-horn②⑥⑨)
Shiho (vocal⑤)
David Ralston (vocal⑪、guitar⑪)
■レーベル
ZAZZY
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で、「Kojima」です。
良いです!大好きです!
先日主催のライブのSEで使わせて頂きましたら、彼を知らない方からも「これは誰?」「良い音楽ですね」と言われましたよ。勿論、宣伝しまくりました。
今月剛のジャズライフ読みましたか?
小島さんのインタビューが載っています。
ぼくは時間があったもんだから久々に連続して記事を更新してみました。
いわば「Kojima宣伝隊」隊長ですね、ジェイさん。ぼくだってジェイさんのお蔭でこれを購入できたんですもんね。
あまりコジカナツルとイメージがかぶってないところが小島さんの幅広さを物語ってるような気がします。
今月号の「ジャズライフ」、読み逃してるんですよ(T-T)。どこかで手に入れねば~
私の所に頂いていたコメントを間違えて消してしまいました。寝ぼけてたんですね。。
こんな事初めてです。本当にごめんなさい。
これに懲りずに良かったらまた書き込んで下さい。m(__)mm(__)mm(__)m
もう。。ホントに。。自分のアホさ加減にビックリ&ホントに情けないです。
しかも字、間違ってるし。。
訂正。「剛」→「号」でした。
まあまあ、誰しも失敗はありますから気にしないでくださいまし。ごていねいにこちらこそ恐れ入ります。わざわざありがとうございます~
了解いたしました! また書き込ませていただきますね~
つまらないからだ…。皆さん同じ事をやって
同じようなフレーズを奏で…楽しいの⁉️⁉️
今じゃJAZZは習うことに成り下がってますからねぇ…⁉️🤣マジかよ⁉️って思う。
教える方も悪い👎🤣爆笑🤣❣️
海外に居ると、君はJAZZだと言われて、
日本だと君はJAZZじゃないと言われる…
どうなってんの⁉️って感じ^_^爆笑🤣
親がJAZZのレコードをいっぱい持っていた
よく聴いてた、名前も知らないし曲のタイトルも覚えてなかった^ ^ 今頃分かった🤣❣️
生まれる前から聴いていたのだ…爆笑🤣
自分の音を探しましょうよ❣️日本の皆さん
ねぇ〜^_^❣️‼️
まさかのご本人から!?、ということでたいへん恐縮しつつも嬉しく読ませていただきました。
>「ジャズはよく分からない」みたいな発言
某ジャズ雑誌で読んだ記事にあったのですが、上辺だけ読んでしまった自分が恥ずかしい反面、何度か聴かせていただいたライブで味わった感激興奮は何年経っても忘れられません。
JAZZかJAZZでないか、はアメリカの文化を肌で感じたことのない自分には分かりえない部分もあると思います。
ただ、自分が年を重ねるごとに、「自由な表現」や「自分の音」というものがとても大切な要素であることがどれだけ大事か、(頭の中の知識だけではなく)心から思えるようになってきました。
貴重なお言葉、ありがとうございました。
また機会を作ってライブを聴きにおじゃまします。