△アメリカの田舎道
1995年に発表されたスタジオジブリのアニメ映画「耳をすませば」のテーマ曲「カントリー・ロード」を聴いて「懐かしい」と思われた方も多いでしょう。劇中では日本語詞で本名陽子によって歌われ、スマッシュ・ヒットしました。この時、日本語詞をつけたのは、宮崎駿と鈴木麻美です。
もともとこの曲は、ビル・ダノフとタフィー・ナイヴァートの男女二人組フォーク・デュオのオリジナル曲で、彼らの歌を聴いたジョン・デンヴァーが、「ぜひこの歌を歌いたい」と名乗りをあげたのです。その当時、鳴かず飛ばずだったデンヴァーは、最後の賭けとしてこの曲をレコーディングし、1971年に発表。するとこれが同年8月には全米2位にまで昇ってミリオン・セラーを記録、彼最大のヒットとなりました。
ちなみに、ジョン・デンヴァーはニュー・メキシコ州の出身で、芸名の「デンヴァー」は、彼が愛した町、コロラド州デンヴァーに由来するものです。
ジョン・デンヴァー
「カントリー・ロード」の2番の歌詞は、当時の反戦思想、ヒッピー文化を反映したものでしたが、メロディーや1番の歌詞には合わないので、デンヴァーによって現在のように書き直されました。
ところで、この曲の主人公はウェストヴァージニア州の出身という設定ですが、歌詞の中に出てくるブルー・リッジ山脈は全くウェストヴァージニアを通っておらず、シェナンドー河もわずかにウェストヴァージニアを掠めているだけで、それらの殆どは隣のヴァージニア州にあります。当時そのことを確かめずにこの曲を発表したデンヴァーですが、のちウェストヴァージニアにはその両方を一望できる場所があるということをファンに教えられ、驚いたそうです。
原作者のダノフ&ナイヴァートも、デンヴァーもウェスト・ヴァージニアには一度も行ったことがなかったそうです。おそらく彼らは故郷への想いを託してこの曲を作ったのでしょう。そして彼らの思い浮かべた故郷のイメージが歌詞に表れたのだと思います。
しかし、あるウェストヴァージニア州出身の女性から「この曲に歌われている景色は私の故郷そのままだ」と連絡があり、行ってみると歌詞通りの景色が広がっていた、という話も残っています。
オリヴィア・ニュートン・ジョン
1973年秋には、オリヴィア・ニュートン・ジョンのカヴァーが全英15位のスマッシュ・ヒットを記録しています。
日本では、1976年当時の朝のTBS系テレビ番組「おはよう700(セヴン・オー・オー)」の中で、オリヴィア・ニュートン・ジョン版の「カントリー・ロード」が使われているうちに火がつきました。同年10月には、日本でのみこの曲がシングル・カットされると、これがオリコン・チャート6位、45万枚を売り上げる大ヒットになったのです。このヒットはぼくの記憶にも残っています。オリヴィアというシンガーを知ったのもこの曲がきっかけでした。
デンヴァー版も悪くはないですが、ぼくはオリヴィア版の方が好きかな。
イントロでの美しいコーラスは聴く者の郷愁を誘います。アコースティック・ギターのアルペジオや2ビートで弾かれるベース、手拍子、スライド・ギターなどがカントリーぽさを出しています。柔らかいオリヴィアの声のイメージはまるで「陽の光」。曲そのものにはカントリー&ウエスタンのエッセンスが感じられますが、オリヴィア版は少しポップな感じがしますね。
余談ですが、ジェイムス・テイラーも「カントリー・ロード」という曲を歌っていますが、それは同名異曲です。
いつまでも親しまれるであろうこの曲は、現在日本ではサッカーのベガルタ仙台のサポーター・ソングとして使われているそうですよ。
[歌 詞]
[大 意]
田舎道よ、故郷に連れて行っておくれ 私の生まれ育った場所へ
ウェスト・ヴァージニア、母なる山々 連れて行っておくれ、カントリー・ロード
まるで天国のようなウェスト・ヴァージニア ブルーリッジ山にシェナンドー河
生命は木立ちよりも古くそして山々より若く そよ風のように育ってゆく
思い出すのは彼女のことばかり 鉱山という名のレディは青い水とは無縁
暗く埃っぽい色に染まった空 霞のかかった月は私の目に涙を浮かばせる
朝の空にこだまする彼女の歌声が 私を呼ぶのが聞こえ
ラジオは遠い故郷を思い出させる 街道を下りながら私は思う
昨日帰っておけば良かったと 昨日帰っておけば
■カントリー・ロード(故郷に帰りたい)/Take Me Home Country Road
■作詞・作曲…ビル・ダノフ、タフィー・ナイヴァート&ジョン・デンヴァー/Bill Danoff, Taffy Nivert & John Denver
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<歌…ジョン・デンヴァー>
■シングル・リリース
1971年4月12日
■プロデュース
ミルトン・オクン & スーザン・ラスキン/Milton Okun & Susan Ruskin
■収録アルバム
詩と祈りと誓い/Poems, Prayers & Promises (1971年)
■チャート最高位
1971年週間チャート アメリカ(ビルボード)2位
1971年年間チャート アメリカ(ビルボード)8位
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<歌…オリヴィア・ニュートン-ジョン>
■シングル・リリース
イギリス1973年、日本1976年
■プロデュース
ブルース・ウェルチ、ジョン・ファーラー & アラン・ホークショウ/Bruce Welch, John Farrar & Alan Hawkshaw
■収録アルバム
詩小説/Let Me Be There (1973年)
■チャート最高位
1973年週間チャート アメリカ(ビルボード)119位、イギリス15位(1973年1月13日付)
1976年週間チャート 日本(オリコン)6位
ジョン・デンヴァー『Take me home, country road』
オリヴィア・ニュートン=ジョン『Take me home, country road』
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でも、ジブリを知らない私・・・(汗)
え~!ジョン・デンバーは景色を見ずに、歌詞を書いたんですか? もしかすると占い師になっても良かったかもですね(笑)
ところで、あの、おそるおそる訊いてみますが・・・
「おはよう700」は、ご覧でしたか?
いいですね~~。
オリビアも美しいなあ。
アメリカの田舎というところが いいんですよね。
ジブリのは「♫カントリー・ロード この道 ずっと ゆけば あの街に 続いてる 気がする カントリー・ロード」という日本語詞がついてます。
その通り!ジョンも他の二人もウェストヴァージニアを知らなかったんですよ。あ、でも温かい家庭を恋しがる「埴生の宿」という歌も、作者は放浪の一生で温かい家庭など知らなかった、という話もありますよ。知らなくても想像力で歌はできるものなんですね~
「おはよう700」は観てませんでしたが、そんな番組があるのは知ってましたよ、フフフ。ホホホ。
元歌は曲にも歌詞にも郷愁があふれているような気がします。
都会が故郷だとしたら、この歌はちょっと似合わないですよね。なんかドラマの「大草原の小さな家」で見られる風景なんかを想像します。
オリヴィアといえば、彼女のお祖父さんはノーベル賞を受賞した学者さんなんですってね。オドロキました。(^^)
似てません(キッパリ)、と言おうとしたけど、よく見るとメガネばっかりじゃなくて、眼のあたりとか全体の雰囲気が似てるような気がしてきました。どちらもカントリー・ボーイって感じでしょうか(^^)
ジョンデンバーの曲ではサンシャイン・オン・マイ・ショルダーズ(太陽を背にうけて) の弾き語りを練習しました。ジーンズの(エドウィン?)コマソンに使われていたのが印象的でしたわ。
ジブリの「カントリー・ロード」は、アニメそのものには合ってたと思いますが、カントリーの香りはしませんよね。
>サンシャイン・オン・マイ・ショルダーズ
この曲もジョン・デンヴァーの代表曲のひとつですね。CMソングに使われていたのは知らなかったです。
この曲はもともとはB面の曲で、全米1位になってるんですね。ちょっとセンチなメロディが好きです。(^^)
デンヴァー自身は「落ち込んでいる時にブルーな曲を書きたいと思っていたらこの曲ができた」と言っていた、と何かで読んだ記憶があります。
私もどちらかというとオリビアのほうが好きかな?
オリビア版って、カントリーっぽさも残しながら適度なポップさもありますよね。とても耳に心地よいです~(^^)