すっかり春めいてきたここ数日です。陽射しも明るさと暖かさを増してきました。
気が付くとわが家の庭にもパンジーがたくさん咲いています。桜もあちこちで大きく開き始めました。
今日も春の陽光が降り注いでいますが、そんな中で聴いているのが山中千尋の通算5作目、「ラッハ・ドッホ・マール」です。
このタイトルは、ドイツの絵本作家・ヤーノシュの言葉で「とにかく笑おう」という意味だそうです。
名門レーベル「ヴァーヴ」へ移籍しての第1作だった前作「アウトサイド・バイ・ザ・スウィング」の録音メンバーとは変わって、この作品では、澤野工房時代に組んでいたラリー・グレナディア(b)とジェフ・バラード(drs)と"再会セッション"を繰り広げています。
勝手知ったるこの二人が脇を固めているおかげでより安心感があるのでしょうか、心持ち前作よりもリラックスし、そのぶんグレード・アップしているように聞こえます。
オーソドックスなジャズを演奏する中にもコンテンポラリーな音の響きがするのが千尋嬢の特色だと思うのですが、このアルバムからもそれが伺えます。小柄な体を一杯に使ったかのようなエネルギッシュな演奏も相変わらずです。
また、曲によってはギターやバンジョーを加えたり、エレクトリック・ピアノやオルガンを使ったりして新しい一面を見せてくれます。
スタンダードの「What A Diff'rence A Day Made(縁は異なもの)」では8ビートと4ビートを使い分けたり、複数のキーボードを使用したり、転調を効果的に多用したりして、千尋嬢の遊び心が満載なのが伺えてとても楽しい。
シャープでコロコロと音が転がるような、それでいて力強いスリリングなピアノで、モーダルな演奏からコーダルでメロディー重視の演奏まで幅広くこなしています。そして、スタンダードの斬新な解釈、個性的なオリジナル曲など、千尋嬢の大きく広がる世界を見ることができます。
初回盤特典のDVDでは千尋オリジナルの「ワン・ステップ・アップ」を演奏している楽しそうな姿が収録されています。
今日のような天気の良い春の午後に聴くと、「とにかく笑おう」という気持ちになれそうな作品です。
◆ラッハ・ドッホ・マール/Lach Doch Mal
■演奏
山中千尋(piano)
■リリース
2006年9月13日
■プロデュース
山中千尋
■レコーディング・エンジニア
ティム・コンクリン/Tim Conklin
■収録曲
① カン・ビロン・ヴリュ・ダンセ/Quand Biron Voulut Danse (Traditional)
② サボット/Sabot (山中千尋)
③ カッコーのセレナーデ/Serenade To A Cuckoo (Roland Kirk)
④ RTG/RTG (Geri Allen)
⑤ ザ・ドルフィン/The Dolphin (Luiz Eça)
⑥ ナイト・ループ/Night Loop (山中千尋)
⑦ ワン・ステップ・アップ/One Step Up (山中千尋)
⑧ ラッハ・ドッホ・マール/Lach Doch Mal (山中千尋)
⑨ リーベスリード~愛の悲しみ/Liebesleid (Fritz Kreisler)
⑩ モード・トゥ・ジョン/Mode To John (McCoy Tyner)
⑪ 縁は異なもの/What A Diff'rence A Day Made (Maria Mendez Grever, Stanley Adams)
⑫ ザッツ・オール/That's All (Alan Brandt, Bob Haymes)
■録音メンバー
山中千尋 (acoustic-piano, electric-piano, organ)
ラリー・グレナディア/Larry Grenadier (bass)
ジェフ・バラード/Jeff Ballard (drums)
ジョン・カーリーニ/John Carlini (guitar①⑤, Banjo③)
■レーベル
Verve
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ジャズを聴くならライブハウスが一番、なんでしょうけど、山中千尋嬢の場合は観客動員も考えてホールでのライブになったんでしょうかね。なにせジャズ界屈指の人気者ですから。
人にはいろいろ好みもあるので、あえてお勧めはしませんが、ぼくだったらぜひ行きたいライブですよ。
何気に伺ってみると。。更新されている!!と
喜んで来てしまいました。
私は山中千尋さんって聴いた事ないんですが、丁度今朝珈琲を買いに行った喫茶店で(ジャズのライブなどを時々やっている)彼女のライブの告知を見た所でした。6月にこちらでは初のホールライブだそうです。
聴きに行ってみようかな~。