♪UFO『Lights Out(新たなる殺意)』
【Live Information】
大音量とワイルドな演奏が売り物なのがハード・ロック・バンドです。しかしたいてい彼らは、美しいメロディのバラードをレパートリーの中に入れています。
「チャイルド・イン・タイム」(ディープ・パープル)、「7月の朝」(ユーライア・ヒープ)、「キャリー」(ヨーロッパ)、「ドリーム・オン」(エアロスミス)、「トゥ・ビー・ウィズ・ユー」(ミスター・ビッグ)、「モア・ザン・ワーズ」(エクストリーム)などなど、いくつも思い返されます。
1977年に発表されたUFOの「ラヴ・トゥ・ラヴ」も、ハード・ロック・バンドが作ったバラードの名曲のひとつです。
UFOは、1969年に結成、1970年にデビューしたイギリスのバンドです。
1973年にマイケル・シェンカーが迎え入れられ、それを契機にバンドの快進撃は始まりました。同時にシェンカーは新たなギター・ヒーローとして世界的な人気を得ることになります。
しかしシェンカーは精神的に不安定だったため幾度も失踪を繰り返し、とうとう1978年11月にUFOを脱退してしまいました。(この後シェンカーは過酷なリハビリを行ってドラッグとアルコールによる中毒を克服します)
この、シェンカーが在籍していた1973~78年が、UFOの最盛期と言っていいでしょう。
「ラヴ・トゥ・ラヴ」はこの頃に書かれた、バラードの名曲です。
シェンカーはソング・ライティングでも能力を発揮、UFO時代にはバンド・リーダーでボーカリストのフィル・モグとの共作で「ドクター・ドクター」「ロック・ボトム」「ディス・キッズ」などの佳曲を残しています。
そして、この「ラヴ・トゥ・ラヴ」もシェンカーとモグによる共作です。
マイケル・シェンカー(左)とフィル・モグ
「ラヴ・トゥ・ラヴ」は、1977年5月に発表されたUFO6枚目(シェンカー加入後4枚目)のアルバム「新たなる殺意」に収録されています。
ストリングスを大胆に使ったアレンジは、バンドの新たな一面を開拓したとして高く評価されました。
ほの暗いイントロです。
雄叫びのようなシェンカーの、ルバートで奏でられるギター・ソロから始まります。
ポール・レイモンドの弾くエレクトリック・ピアノに導かれるように、曲はイン・テンポでスタートします。8分の7拍子と8分の5拍子を組み合わせているところがユニークですね。
テーマのメロディは甘く、そしてちょっぴり切ない。3拍子なのがよりクラシカルな雰囲気を醸し出しています。メロディの良さがモグの声質によくマッチしていると思います。
シェンカーによる間奏のギター・ソロはどこまでもロマンティックですね。
そしてエンディングに向かうシェンカーのソロは、一転して激しく咆哮します。歌詞の主人公が去っていった恋人を思って身もだえしているような、激しくも切ないソロです。
ブリティッシュ・ハード・ロックの確立に大きく寄与したUFOは、今年(2019年)デビュー50年目(結成50周年)を迎えました。
途中解散していた時期はありましたが、ハード・ロック界の第一線で活躍すること約半世紀(!)です。
しかしリーダーのモグは、2019年の50周年記念ツアーをもってバンドから脱退することを明らかにしています。
長い年月バンドと苦楽を共にしたモグの労と功績に拍手を送りたいと思います。
上段左から マイケル・シェンカー、フィル・モグ
下段左から アンディ・パーカー、ピート・ウェイ、ポール・レイモンド
[歌 詞]
[大 意]
もう何度もあった おれは戻れない
夜のバー、ギター、掘立小屋のように荒れ果てたモーテル
何を積まれようが そんなものおれは欲しくない
おれは失ったおまえをいますぐ取り戻したい
霞んだ緑色と青色
おまえを愛したい
一人前の男になっておまえを迎えに行きたい
どんなに愛しているかを 知らないなどとは言わないでくれ
滑稽さが半分で もう半分を悲しさが支配していたあの頃
月は西の空を昇ったり沈んだりするだけ
おれは失ったおまえをいますぐ取り戻したい
霞んだ緑色と青色
おまえを愛したい
一人前の男になっておまえを迎えに行きたい
おれは自分がどこに向かっているのかもわからない
精一杯努力した、今はおまえがここにいて欲しい
■ラヴ・トゥ・ラヴ(Love To Love)
■発表
1977年5月
■作詞・作曲
マイケル・シェンカー/Michael Schenker & フィル・モグ/Phil Mogg
■プロデュース
ロン・ネヴィソン/Ron Nevison
■収録アルバム
新たなる殺意/Lights Out(1977年)
■録音メンバー
フィル・モグ/Phil Mogg(vocal)
マイケル・シェンカー/Michael Schenker(guitar)
ポール・レイモンド/Paul Raymond(guitar,keyboard)
ピート・ウェイ/Pete Way(bass)
アンディ・パーカー/Andy Parker(drums)
UFO『Love To Love』
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