
「プログレッシヴ・ロック(Progressive Rock)」というジャンルがあります。
これは日本特有のジャンル分類法だ、ということを聞いたことがありますが、実のところはどうなのでしょうか。
それはさておき、「プログレッシヴ」とは、前進的とか、進歩的などの意味を持つ言葉です。文字通り、他のジャンルとの積極的な融合や、芸術性の強調などが図られた1970年前後からは、前衛的なロック・アルバムがたくさん発表されました。
ある意味「フュージョン(Fusion)」のはしり、と言えるかもしれません。
それら創造的なグループのひとつがピンク・フロイドです。
ちょっと変わったこのグループ名は、ピンク・アンダーソンとフロイド・カウンシルという、ふたりのブルース・シンガーの名に由来しているのだそうです。

左からリック・ライト(keyb,vo)、デイヴ・ギルモア(g,vo)、ニック・メイスン(drs)、ロジャー・ウォーターズ(b,vo)
1965年ロンドンで結成され、66年頃に本格的な活動を開始。サイケデリック一色だった当時のアンダーグラウンド・シーンに受け入れられます。
68年、グループの感性の柱だったシド・バレット(g)に代わり、デイヴ・ギルモアが加入します。 この後は、芸術家肌のロジャー・ウォーターズ(b)を中心に活動を続けることになります。
87年にロジャー・ウォーターズが脱退してソロとなり、バンドは事実上解散しました。
2005年、「ライヴ8」のため、81年のロンドン公演以来、24年ぶりに四人そろってステージに上がりましたね。これは朝日などの一般紙でも報道されたので、懐かしく思った人もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか。
フロイドは、「総合的に音楽を捉えた実験集団」と言い換えることも可能なグループです。いち早くライティング・システムやスライドをステージで使用するなど、視覚的な要素を重視しました。また、録音機材や音響装置を駆使して得られる音響効果も成果をあげています。
音楽面でも、例えばコラージュするように音を使ったり、フリー・ジャズにも通じる手法を用いたりするなど、前衛的な色合いが強く出ていますし、発表するアルバムにはほとんど必ずトータルなテーマを持たせ、つねに社会問題を含めたさまざまな問題を提起し続けています。
イマジネーション世界とメッセージを同等に表現しているわけですね。
このように、ピンク・フロイドは「ポップ」からは対極にあるグループです。しかし、それにもかかわらず、なぜそのような実験的グループが結成から40年もたった今でも聴き続けられているのでしょうか。

「原子心母(Atom Heart Mother)」(1970)

「おせっかい(Meddle)」(1971)
『実験的=難解』というイメージがあります。しかし、実験的かつ抽象的グループでありながら、実はピンク・フロイドの曲には、とてもメロディアスなものがたくさんあるのです。
そして、アルバムを通して聴くと、フロイドそのものとしかいいようのない独特の空気・雰囲気にいつも包まれます。ブルース色を残した幻想的曲調は、聴き手を異空間へ連れて行ってくれるのです。これ、一種の環境音楽と言えなくもないかな。
たしかに初期の頃は「感性だけが先走っている」と評されたこともありましたが、製作を重ねるごとに洗練され、ビジョンが明確になり、きちんと計算された音を出していると思います。

「狂気(The Dark Side Of The Moon)」(1973)
かつては彼らの演奏力に言及する人も多くいました。たしかに惚れ惚れさせられるような技術を聴くことはできませんが、彼ら自身の音楽を表現をするだけの技術は最低限備えています。弾きまくることは、ピンク・フロイドの音楽を構築することとあまり関係がないようです。
ただ、四人のプレイは、それほど派手ではないにしても、それぞれが充分個性的であるとは言えるでしょう。(驚いたのは、ドラムのニック・メイスンが、あの個性的ジャズ・ピアニストのカーラ・ブレイと組んでアルバムを発表していること、ですね)

「炎(Wish You Were Here)」(1975)

「アニマルズ(Animals)」(1977)
70年代のこの5枚がぼくの一番よく聴くフロイドです。と言っても、他のアルバムを一切聴かないというわけではなくて、もっともよく聴くのがこの5枚、ってことです。
アルバム・ジャケットはヒプノシスの製作です。素晴らしいジャケットもフロイドのアルバムには欠かせません。
なかでも、「狂気(The Dark Side Of The Moon)」は足掛け15年、741週にわたってビルボードのアルバム・チャートにランク・インされたほどの驚異的な売り上げを記録しており、「ロック史上に残る不滅のアルバム」と評価されていることで有名ですね。
不思議な空気にひたりたい時は、みんなが寝静まった夜更けにピンク・フロイドを聴くといいかもしれません。
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僕も大好きです。中学の頃からずっと聴いてます。
全体的な雰囲気を味わうなら「狂気」、ギターを聴きたいなら「炎」。「おせっかい」も捨てがたい。そうそう、「原子心母」はなぜ牛なんだ?
等々、全部面白いですよね。
特に「原子心母」には思い入れが深いです。
冥想(迷走じゃなくて。。)する時には、絶好の一枚ですよね。
最近はラーメン食べたりしながら、「狂気」などをよく聴いております。このジャケットも好きなんですよ。
名前だけはよ~~~く知っています
名前だけというのもなんだけど(笑)
っていう頃に「ザ・ウォール」がリバイヴァルしましたね。
映画も見てしまいました。
「原子心母」の牛は、なるべくアルバムと無関係のジャケットにしようとした、という話をどこかで読んだ記憶があります~
「原子心母」への深い思い入れってなんでしょう。気になるな~ 青春時代の甘酸っぱい思い出、とか・・・(^^)。
ラーメン食べながらの「狂気」もシュールですね~。
ぼくもこのジャケット好きなんですが、本当はプリズムはこういうふうには分光しないんだそうですね。
この間、若い子と話をしてたら「ビートルズって聴いたことがない」って言うんです。カルチャー・ショックというか、世代のギャップを感じてしまいました(^^;)。
ベルリンの壁崩壊は89年ですよね。そうか~、その時リバイバルだったのか~。ぼくが「ウォール」をまともに聴いたのもそういえばその頃だったかも。