キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

身を削られる武甲山

2012-07-09 09:44:16 | 地球
       

        ここは秩父の羊山公園芝桜の丘。4月のシーズンには色とりどりの芝桜が

        見事な花の絨毯を織りなし、眼を見張るばかりでした。花に負けないほど

        の数の観光客もいて。でも今は人っ子ひとりいない緑の草原です。

       

        丘のむこうには武甲山が見えるはずなのですが、こんなふうにね。それも

        雨に煙って見えません。この武甲山、日本二百名山にも数えられる名山

        す。大和武尊が甲を奉納したのでこの名がついたのだとか。有名な秩父の

        夜祭りは、武甲山の男神様と秩父神社の女神様の年に一回の逢瀬を祝

        う祭りです。

        

        でもこの山、石灰岩質であるために、昔は漆喰の材料に、明治以降はセ

        メントの材料として、大規模に採掘され、北斜面は山姿が変貌するほど

        切り崩され、高さも変わってしまったとか。

        

        切り出しの現場あたりは、驚嘆するほどの建物設備群です。今もどんどん

        山が削られているのだと実感します。身を削られ続ける神の山武甲山。

        人間とは恐ろしいものです。
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夜のドーハを離陸

2012-06-29 09:17:18 | 地球
             

          慌ただしくも楽しかったイタリア旅行ももうおしまい。行きと同じく

          ドーハでトランジットして、いよいよ帰国の途につきました。ドバイ

          と同じにドーハも高層ビルの立ち並ぶ沙漠の中の近代都市です。

          

             夜の出発でしたが、やがて日の出が。

          

          窓の外を見ると、雲の上。改めて地上高く、気温マイナス40度の空

          を飛んでいるんだと実感します。        

          

          食事にうな丼が出て、日本に近づいているのを実感。ここにも生の

          ニンジンがついています。イタリアもカタールも付け合せはニンジン

          と決めているよう。

          

          やがてさらに外が明るくなり、あと数時間で日本です。お疲れ様。

          イタリア旅日記、一巻の終わり!
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数千年と数十年

2012-06-26 11:07:59 | 地球
           

        ローマには古代遺跡の残る丘が7つありますが、そのうちパラティーノ

        伝説の建国の父ロムルスがまず紀元前750年頃に住み、その後貴族や

        歴代皇帝の住居となったところだそうで、パラッツオ、パレス(宮殿)とい

        う呼び名はこの丘の名前に由来するとのこと。

           

        初代皇帝アウグスツスの住居跡というのもあります。とても質素です。

        カエサルに倣い、豪華な屋敷を建てることや、私腹を肥やすことには

        全く無関心だったとか。偉い人です。

           

        パラティーノの丘を降りたところに広がっているのが、フォロ・ロマーノ

        紀元前6世紀から紀元4世紀頃までローマ帝国の政治経済の中心だっ

        たところです。その後異民族に侵略され、打ち捨てられ、19世紀になっ

        て発掘が始まり、今ではローマに行けば、だれもが訪れる観光地です。

              

        数十年前に、フォロ・ローマのを訪れたのは猛烈に暑い8月でした。

        ほとんど暑さの記憶しか残っていなかったのですが、このヴェスタ

        の神殿跡を見て、数十年前の若かった自分を思い出し、それはこ

        の遺跡の数千年の歴史に比べれば、ほんの一瞬でしかないんだ

        なあ、なんて思うと不思議な感動が湧いて来ました。「夏草や兵ど

        もが夢の跡」というところでしょうか。

          

        紀元前の遺跡の向こうに、中世や近世の建物が見渡せるのもローマの

        面白いところです。どこを掘っても、どこかの時代の遺跡が出てくるの

        で、地下も地上も駐車場が作れないので、道に2重駐車は当たり前と

        いうジレンマもあるようです。世界遺産の中で暮らすのもある意味大変。

          

        フォロ・ロマーノの横に、かの有名なコロッセオがあります。大変な

        人出で、入るには何時間も並ぶのですが、パラティーノの丘、フォロ・

        ロマーノ、コロッセオの入場券は共通で、他の入り口から入れば、

        なんてこともないと知っていれば、並ばずに入れます。

          

        ここで、グラディエーター同士が死闘を繰り広げたり、キリスト教

        徒が猛獣の餌食になったりするのを見て、ローマ市民が熱狂した

        んだなんて考えると妙な気分になります。その数百年後にはバチ

        カンが作られ、キリスト教が隆盛を極めることになるのですから。
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ヴェネツィアの昼下がり

2012-06-20 15:02:22 | 地球
            

          塩野七生の「海の都の物語」や「緋色のヴェネツィア」、トーマス・マンやビ

          スコンティの「ベニスに死す」それからメンデルスゾーンの「ベニスの舟歌」で

          憧れていたヴェネツイアを初めて訪れました。ヴェネツィアの守護聖人聖マ

          ルコの象徴である有翼の獅子があちこちで出迎えてくれます。828年に二人

          のヴェネツィア人がアフリカのアレキサンドリアの寺院から聖マルコの遺骸

          をこっそり持ちだし、イスラム教徒の忌み嫌う豚肉の中に隠してヴェネツィ

          アに持ち帰ったのだそうで、その時から聖マルコがヴェネツィアの守護聖人

          になったんですって。つまりは盗んできたわけです。「でもまあ、いいっか」

          っていうイタリアらしい(愛すべき?)適当さを初めて感じたエピソードです。

            

        イスラムの影響を受けたサン・マルコ寺院やドゥカーレ宮殿の威容には

        やはり圧倒されました。

            

               

        海運都市ヴェネツィアにあちこちから運ばれてきた色違いの大理石でできた

        大きな柱や、建物の外にまで極彩色と金箔で描かれた宗教画が圧巻です。

            

        ヴェネツィア本島には、自動車はおろか自転車も入れないので、移動はヴァ

        ポレットと呼ばれる水上バスか水上タクシー。道路いっぱいの車を見慣れ

        た目には、なかなか面白い光景です。このヴァポレットが運河や海を頻繁

        に行き交っているので、不便ということはないのですが、システムも運転も

        かなり大雑把であらっぽい。岸壁にガンガンぶつけるわ、水しぶきを上げ

        て飛ばすわ。タダ乗りしている人もかなりいそう。イタリアの適当さを、ニ

        度目に垣間見たのがこのヴァポレットでした。

            

        溜め息橋の下を行くゴンドラ。ゴンドラはもう観光用にしか使われていない

        ようです。溜め息橋はドゥカーレ宮殿と古い牢獄をつないでいて、牢獄に連

        れて行かれる罪人が、外を見て溜め息をついたのでそう呼ばれるようになった

        たとか。今は観光名所で、ここもサン・マルコ広場も笑い声がさざめいてい

        ますが、その昔は血なまぐさい権力闘争が繰り広げられていたのでしょうね。   
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ドーハの夜明け

2012-06-19 18:22:45 | 地球
           

       今、台風4号が近づいて、わがふるさと奈良の吉野あたりは暴風雨が荒れ狂って

       いるようですが、一週間前イタリアに行く途中トランジットで立ち寄ったカタールの
 
       首都ドーハは、まさに中東、飛行場が砂漠か、砂漠が飛行場か、未完成の空港を

       ヴェネツィアへの乗り継ぎのために、延々バスでつれまわされました。ここには台

       風なんて来たことなんてないんでしょうね。沙漠に昇る朝日が砂の向こうに霞んで

       きれいでした。

          

       まだ早朝ですが、建物の外に出ると40度以上の熱波がおそってきます。お水は

       必需品。もちろん生水は飲めないようです。アラビア文字のラベルのペットボトル

       ですが、原産地はと見ると、どうもイギリスのハイランド地方のようでした。

          

       白亜の建物に、Welcome to Dohaと書かれた聖火台のようなモニュメント。旅心を

       そそられます。

          

       空港内は近代的で空調が効いていて快適。いかにもオイルマネーで潤沢という

       感じです。全身を覆う黒い衣装の婦人たち(持っているバッグや靴はいかにも高

       価そうなブランド品ですが)や、アラビアのロレンスで見たような白い衣装の男

       性たち。異国情緒満点でした。

          

       ドーハまで日本から10時間。また機上の人となり、イスラムの法に基づいて

       作られた機内食を食べつつ、ヴェネツィアに向かいました。

          

           あと5時間の空の旅です。長い!
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白川郷

2012-02-15 09:42:52 | 地球
          

             片山津温泉から金沢を経由して、白川郷へ行きました。

             青い空に白い衣をまとった木々の美しい景色が広がります。

          

             世界遺産の合掌造りの里白川郷は、11日と12日の夜ライト

             アップされるとかで、なかなかの人出でした。

          

             合掌造りの家の窓は、和紙が一枚貼られているだけなのに、

             風を通さず、湿気にも強いのだそうです。さすが日本の家屋、

             木と紙でできた家と侮るなかれ、夏の暑さにも、冬の大雪に

             も対応できる、すぐれた建築です。

          

             まあ、それにしても雪とは白い厄介もの、でも美しいものです。

             溶けてしまえば、ただの水なのに。

          
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あと三日

2011-12-28 18:22:04 | 地球
             

            なにとなく心せく日の昼時をハボタン植えて安堵ており  鳥海昭子

         この感じ分かります、別に12月の末だからといって、何を急くこともないの

         ですが、なんだか心慌ただしくて。私も妙にそわそわと葉牡丹を植えました。 

             

                 水仙や寒き都のここかしこ     与謝蕪村

          蕪村の都は京都のようですが、これは古都奈良の水仙です。12月の季語

          の水仙、都と言わず、ここかしこに咲いています。

             

                   良いお年を
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カンクン-ダーバン-リオデジャネイロ-温暖化は止められるのか?

2011-12-13 10:15:29 | 地球
               

        「国連気候変動枠組締約国会議」日本語で言うとやたら難しくなりますが、

        気候変動climate changeに対処して、地球温暖化Global Warmingを何とか

        阻止しようという国連の会議です。去年はメキシコのカンクンで、今年は

        この間まで南アフリカのダーバンで開かれていました。COP16とかCOP17と

        言った方が分かるでしょうね。来年はリオデジャネイロでRio+20が開かれ

        ます。どこも美しいリゾート地ですが、会議の話し合いは美しくスマートに

        とはいかないようです。一番の二酸化炭素排出国である中国と米国を除

        いた締約の京都議定書がまたしても延長されることになりました。どの国

        も自国の利益を一番に考えますからね。温暖化に歯止めをかけるのはほん

        とに難しい。日本はとても良心的に締約に従っているけれど、なんだか発

        言力が弱い。国連環境計画の季刊誌Our Planetを訳しながら、はがゆい気

        持ちになっています。一体地球はどうなるのでしょう?

           

        これは一昨夏の北陸の田んぼの美しい風景です。その時はまだ放射能の

        影におびえることもなかったのに。砂漠化や洪水や、みな人間の引き起こし

        たことでしょうか。暗澹たる気持ちになります。
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