キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

草と土と梨の芯

2011-09-21 16:04:39 | アート
             

             人の知ってる草の名は、わたしはちっとも知らないの。

             人の知らない草の名を、わたしはいくつも知ってるの。

             それは私がつけたのよ、すてきな草にはすてきな名を。

             人の知ってる草の名も、どうせだれかがつけたのよ。

             ほんとの名前を知ってるのは、空のお日さまばかりなの。

             だからわたしはよんでるの、わたしばかりでよんでるの。 
             
                            金子みすゞ  「草の名」

             

             母さん知らぬ草の子を、

             なん千万の草の子を、

             土はひとりで育てます。

             草があおあおしげったら、

             土はかくれてしまうのに。

                            金子みすゞ  「土と草」

          

          名もないもの、見えないもの、小さなもの、だれも見向きもしないもの、

          そんなものにだって、尊い命があるんだよと、金子みすゞの詩を読む

          度に思い出します。自分を犠牲にして草を育てても、だれもほめてく

          れない土にまで、愛情を注ぐみすゞさんです。だって、捨てられるだ

          けの「なしのしん」の行く末まで心配しているみすゞさんですから。

                   

            なしのしんはすてるもの、だからしんまで食べる子、けちんぼよ。

            なしのしんはすてるもの、だけどそこらへほうる子、ずるい子よ。

            なしのしんはすてるもの、だからごみばこへ入れる子、おりこうよ。

            そこらへすてたなしのしん、ありがやんやら、ひいてゆく。

            「ずるいこ子ちゃん、ありがとよ。」

            ごみばこへいれたなしのしん、ごみ取りじいさん、取りに来て、

            だまってごろごろひいてゆく。

                           金子みすゞ    「なしのしん」
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まだまだ夏

2011-08-28 10:18:31 | アート
            

              もう8月も終わり。ひと頃より涼しくなったものの、

              ハイビスカスはまだまだ夏全開!

            

              久しぶりにネット・オークションで、とんぼ玉やビ

              ーズをちびちび集めてネックレスを作りました。

              この四角い飴みたいなとんぼ玉、ちょっと変わ

              った感じのネックレスになりました。

            

              これは半透明の色々な形の緑色のビーズを組み

              合わせたもの。うす色の服に合わせて着けている

              と、友人から「だんだん趣味が良くなってきたね」

              なんて言われて、得意になっている自信作です。
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海の絵本

2011-08-13 08:00:51 | アート
             
             (バリ島のサヌール・ビーチ)

          お盆の帰省ラッシュが始まっています。例年なら我が家もそのまっただ

          中にいて、大汗をかいているところですが、今年は8月の初めに早々と

          帰省してきたので、いつになく気楽な日々を過ごしています。ふるさと

          は海のない県奈良の山の中なので、小さいころから、海辺や大海原に

          は特別な憧れと同時に未知のものへの恐怖がありました。大津波や、

          このところずっと読んでいるジョン万次郎関係の本で、実体験ではない

          にせよ、その恐怖が増幅されている気がします。でも、                          

にじいろのさかな (世界の絵本)
谷川 俊太郎
講談社
Stella, Star of the Sea: Mini Edition (A Mini Stella)
Marie-Louise Gay
Groundwood Books

            絵本の中には、美しいやさしい海の世界が広がっています。

            「にじいろのさかな」はキラキラ光るきれいな鱗をみんなに

            分けてあげる心やさしい魚の話です。絵として飾っておい

            ても楽しい美しい絵本です。谷川俊太郎さんの訳もいい。

            もう一方の"Stella, Star of the Sea"「うみべのステラ」(邦題)

            はマリー・ルイーズ・ゲイのおてんば少女ステラ・シリーズ

            の一冊ですが、これはまた別種のユニークさを持つ、不思

            議に美しい絵本です。ほんわかとしたパステルカラーの海

            に赤毛のステラが、内気な知りたがり屋の弟サムが、茶

            色の子犬が、水すましのように浮かんでいます。何でも聞

            きたがるサム、それに対するステラのぶっとんだ答えには、

            他のシリーズ同様、ついにっこりしてしまいます。意味の分

            からない漢字の書かれたスカーフを巻いて、ピンクのタツ

            ノオトシゴに乗って海を疾走するステラのかっこいいこと!

            海の絵本の中で一番のお勧めの癒し系絵本です。江國香

            織さんの訳は、ううーん、どうかな?易しいので、英語で読む

            のがお勧め。                             
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信楽焼の里

2011-08-05 09:34:47 | アート
               

          信楽焼といえば、この狸。巨大なのから極小の物まで、ほんとに町中

          狸だらけでした。良い陶土がとれるので、はるか昔から連綿と続いて

          きた焼き物の里ですが、この狸、イメージ的にはどうなのでしょうね。

          親しみやすく、人寄せには良いでしょうが、あまり高尚とは言い難い。

          1991年5月世界陶芸祭が信楽で開かれていた時、信楽高原鉄道の

          紫香楽宮跡駅の手前で正面衝突の大事故が起こって、たくさんの

          人が犠牲になったのを覚えている方もいらっしゃるでしょう。私たち

          が訪れたのは平日だったので、観光客もまばらで、こんなところで、

          あんな大事故が、という感じでしたが、その時はいつにない大変

          な人出で対処できなかったことも要因の一つだったと聞きました。

             

               これは中が温泉になっている大狸形の建物。

             

          丘の上にある陶芸の里は、とても広いすてきな場所でした。信楽焼振

          興の熱意が伝わってきます。広大な庭に三つ四つと置かれた陶器の椅

          子は地元の小学生が絵付けしたもので、とてもかわいい。緑の中で良

          いアクセントになっていました。

             

              登り窯や

             

              穴窯も見学できます。

             

              渋い色のお茶碗を買って帰りました。   
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アートな月曜日

2011-06-27 16:26:32 | アート
             

           朝からぽっかり時間が空いたので、前から行きたかった国立新美術館

           の”ワシントン・ナショナル・ギャラリー展”に行きました。アメリカの大財

           閥メロン家の収集品と資金で始まったナショナル・ギャラリーから、印象

           派を中心に80数点が来日中です。

           今日は曇りの予想だったのに、しとしとと雨が降り続き、東横線の窓か

           ら見る多摩川も灰色に煙っていました。

             

           国立新美術館近くの六本木ミッドタウンの幻想的なオブジェ。節電中で

           周りが暗いので余計に宇宙空間のような感じです。

             

           人がワサワサいる地上から美術館へ通じる地下道に入ると、奇妙に人影

           がなく、ここも東京のど真ん中とは思えず無機質な異空間に見えました。

           朝テレビで噂のレディー・ガガの、震災復興コンサートでの巨大グモか

           ら脱出するパフォーマンスを見ました。六本木のクモのオブジェに触発

           されて考えたと聞いて、そのクモも見たいなと思って行ったのですが、

           それはミッドタウンじゃなくて、六本木ヒルズにあるということ。同じ六本

           木でも場所が違うんですね。同じ町に二つも巨大な複合施設があると

           は、やはり東京。たまにしか東京に出ないおのぼりさんの私にはどこ

           がどこやら。

             

           国立新美術館。素晴らしく近代的な大きな建物です。曲線が美しい。

           でもね、新しいこういう建物は大きさの差はあれ、どれも同じように

           見えるんですよね。

           ナショナル・ギャラリー展はすてきでした。コロー、モネ、セザンヌ、

           メアリーカサット、ゴッホがよかった。季節柄でしょうか,緑を基調と

           した風景画に一番心惹かれました。

             

           武蔵小杉駅で、バスを待つ間、猫にやさしいまなざしを注いでいる駅員

           さんの姿がほほえましく、写真におさめて帰ってきました。
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蓮の花

2011-06-25 09:23:28 | アート
            

            Die Lotosblume aengstigt
            Sich vor der Sonne Pracht,
            Und mit gesenktem Haupte
            Erwartet sie traeumend die Nacht.

            Der Mond,der ist ihr Buhle,
            Er weckt sie mit seinem Licht,
            Und ihm entschleiert sie freundlich
            Ihr frommes Blumengesicht.

            Sie blueht und glueht und leuchtet,
            Und starret stumm in die Hoeh;
            Sie duftet und weinet und zittert
            Vor Liebe und Liebesweh.


            蓮の花は恐れている
            輝く太陽の光を
            頭を垂れて
            夢見ながら夜を待っている

            月が蓮の恋人
            その光に蓮は目を覚ます
            そしてうれしげにヴェールを取り
            淑やかな花の顔を見せる

            花開き、光輝き
            黙って空を見上げる
            香り、泣いて震える        
            愛と愛の痛みに
                            ハイネ詩 わが拙訳

            

            シューマンの歌曲集「ミルテの花」の中の一曲「ハスの花」の歌詞は

            ハイネのこんなに美しい詩です。メロディーもまた繊細微妙、振幅の

            小さい音の動きで、夜開く蓮の淑やかな美しさを余すところなく表現

            しています。それだけに歌うとなると難しい。ドラマチックな華やか

            なイタリア歌曲の対極にあるような曲です。珠玉の名曲というのは、

            こんな曲を言うのでしょうか。

            

            これは去年の夏、平城宮跡を訪れた時、太極殿のそばに咲いていた蓮。

            猛暑の中、まさに一服の清涼剤でした。蓮はお釈迦さまのお花です。

            ハイネもシューマンも東洋の神秘を感じて、この曲を作ったのかもしれ

            ません。詩と曲の静かなゆらぎに何か西洋的でないものがあるような。 
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人の顔

2011-06-16 17:35:08 | アート
Ms. McCaw Learns to Draw
Kaethe Zemach
Arthur a Levine

”マッコー先生、お絵かきをならう”

            ダドリーくんは勉強が苦手です。色々なことがなかなか覚えられないし、

            集中できないんです。どの先生も、ダドリー君にはお手上げだと言いま

            すが、マッコー先生は違います。ダドリー君がわかるまで何度でもくり

            返し教えてくれます。何でも知っているし、何でもできるんです、マッコ

            ー先生は。

            ところがある日、先生は黒板に人の顔を描こうとしました。何度も何度

            も。「どうしても人の横顔が描けないの」先生は泣きそうです。ダドリー

            君にはそのつらさがわかります。先生を助けてあげたい。ダドリー君は

            勇気を振り絞って黒板の前に立つと、今度は脳みそを振り絞りました。

            「人の横顔はね、おでこと鼻と口とあご、これをつなげればいいんだよ」

            ダドリー君は色々な顔を描きました。丸いの、細長いの、怒っているの、

            楽しそうなの、悲しそうなの、、。ダドリー君に教わって、とうとう先生も

            人の横顔が描けるようになりました。

            

            どうもこれは、マッコー先生の策略のような気がしないでもありません。

            ダドリー君に自信をつけてあげたい、誰にでも得意、不得意があるけれ

            ど、知恵を絞れば克服できる、というようなことをみんなにわからせたい、

            という。ちょっとできすぎの感じもするのですが、絵がなにしろ楽しい絵

            本です。黒板一杯に書かれた人の顔、顔。単純なのにとても様々で、

            十人十色どころか百色も二百色もありそうです。アメリカの小学校の様

            子などもわかる愉快な絵本です。
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野菜の花もかわいい

2011-06-12 13:09:38 | アート
            

            オクラの花、

            

            ジャガイモの花、白い花は男爵、うす紫がメイクィーンの花だそう。

            じゃあこれはメイクィーン。

            

            ゴーヤの花、

            

            これはなんと茗荷の花。実とはちょっと違う感じのきれいな花です。

            野菜の花もかわいいですね。実がなるのが楽しみです。
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初夏の風

2011-05-24 15:11:33 | アート
              

                 かぜとなりたや はつなつのかぜとなりたや

              五月の風さわやかな日のはずが、今日は大雨です。せめて川上澄生のさわ

              やかな版画で、五月の風を楽しみましょう。緑の風にスカートを吹き上げら

              れている恥ずかしそうな少女。なんといっても横に書かれた詩が有名です。

                

                  これは奈良奥吉野の五月の風景。

                

                  これは秩父の五月、

                

             これは天神平。針葉樹、広葉樹、白樺などの高山の木と、木の種類は

             違いますが、どこもここも緑の風吹き渡る爽やかな日本の五月の風景です。
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