キッチン・トランスレーターつれづれ日記

つれづれなるままに日々のよしなしごとを綴ります。本、風景や花や料理、愛犬の写真などをご紹介。

近江八幡

2014-08-10 11:12:05 | 季節
            

            琵琶湖の東南岸に位置する現在の近江八幡市は、旧近江八幡市と安土町

            が合併してできた歴史の香り高い市です。あまりよく知らなかったのですが

            古い街並みが残る、落ち着いた美しい町です。

            

            豊臣秀次が築いた八幡城の外堀は琵琶湖へ通じる運河でもあり、近江商人

            の街として栄えてきました。基礎を築いた豊臣秀次はとても良い領主様だっ

            たようです。秀吉の甥で、彼の養子になったけれど、秀頼が生まれて邪魔に

            なったので、切腹させられてしまった悲劇の人ですが。

            

            澄んだ八幡掘の水に映る景色の美しいこと。          

            

            これは逆さではありません。水に映った景色です。いかに水が澄んでいる

            かが分かります。

            

            裕福な近江商人の町で、昔ながらの家々はどの家も格式高く立派です。

            アーチ状に作った朝顔が、面白い趣でした。

            

            昔から瓦の生産が盛んだったということで、こんな瓦のオブジェもありました。

            

            今回近江八幡を訪ねたのは、妹が大阪の高校で教師をしていた時の同僚で、

            校長先生になられた後、定年退職されて、近江八幡の水郷めぐりの船頭さん

            になられたという、大胆な転職をなさった、すてきな方に誘われたからでした。

            

            テレビ番組の「人生の楽園」にも登場された方ですが、残念ながらこの日は

            他の用事でいらっしゃいませんでした。でも船を漕いでくれたこの土地生ま

            れだという船頭さんの穏やかで素朴なおしゃべりを聞きながら、緑に囲まれ

            た静かな水の上をゆったりとめぐる数十分は至福のひとときでした。向こう

            の船に、船頭さんが「おおい、何しとんねや?」と声をかけると、「息子の墓に

            供える蒲の穂をとっとんねん」という答えが返ってきました。静かな水郷にも

            人の世の悲しみが。切なく、でもなぜか懐かしさを感じた一こまでした。

            

            堀の周りには葦と蒲がビッシリ茂っています。亀や鴨や可愛いカイツブリも

            います。鴨にせんべいを投げてやっても、ことごとくトンビにさらわれてしまい

            ました。自然界はどこでも弱肉強食です。

            

            万葉集や信長、秀次にまで遡る古い日本をそのまま残したような町並みに、

            案外たくさんのレトロな洋風の建築物があります。メンソレータムで有名な

            近江兄弟社を作った宣教師で建築家のウィリアム・ヴォーリズが住んでい

            た街でもあります。今まで知らなかったのが不思議なくらい、様々な魅力を

            秘めた小さな町でした。               
コメント
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