うつそみの人にあるわれや明日よりは二上山(ふたかみやま)を弟(いろせ)とわがみむ
(この世の人である私は明日から二上山を弟として眺めしょう)
天武天皇の第三皇子である悲劇の皇子、大津皇子が二上山の雄嶽頂上に葬られるとき、
姉の大伯皇女が詠んだ歌です。奈良と大阪の境にそびえるこの双耳峰を彼女は毎日悲
しく眺めたのでしょうね。その山を1500年も後の今、大和高田の夫の実家に帰ると、
わたしも朝に夕に眺め、切ない思いに駆られます。
山の辺の道にある古い古い桧原神社から、遥かに望む二上山も神々しくもあり、
もの悲しくもあります。