『甘噛み^^ 天才バカ板!』 byミッドナイト・蘭

ジュリアナから墓場まで・・・。森羅万象を語るブログです。
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[映画『誘拐ラプソディー』を観た]

2010-04-03 17:30:26 | 物語の感想
☆この季節にピッタリの、満開の桜を背景にした作品であった。

 桜色の如く淡い物語だが、なかなか粋な作品であった。

 何をやってもうまくいかない、うだつのあがらないアラフォーの主人公・伊達秀吉(高橋克典)が、借金苦に自殺しようとするも死にきれず、ふと知り合った少年を誘拐し、身代金を奪おうと考える。

 が、その少年の親は暴力団の会長で、物語が拗れていく。

 そして、誘拐の道行きの果てに、伊達はいつしか、その少年・伝助と情を通わせて行く。

 よくあるストーリーだが、少年の父親を暴力団の親分に設定したのが面白い。

 また、何よりも、いつも格好いい主人公を演じてきた高橋克典が、情けない男を見事に演じているのが良い。

 まだまだ若手だろうに、貫禄さえ感じられる高橋克典が、なんか妙に小さく、情けない笑い方をしているのが序盤は面白かった。

 深みに嵌まっていくに際しての人間の、哀しくも笑える「間(ま)」も面白かった。

 誘拐される少年も、私には同年代の甥っ子がいるので、その小利口そうな、それでいて若干ワガママな演出にリアルを感じ、そのコロコロした声質や綺麗な肌が可愛かった。

 コメディであり、高橋や少年の面白さに慣れてしまった頃には、暴力団の会長でありながら、伊達からの身代金要求の電話には声を裏返してしまうと言う哀川翔の演技に笑わせられた。

 また、その声を裏返すギャグも、観ている俺らが慣れると、すぐに止める演出のメリハリ。

 されど、若頭みたいのから殴られる子分が、いつも同じハゲ男と言うのは何度も繰り返されて、繰り返しの効くギャグは繰り返されるという作り手のうまさ。

 途中から、船越栄一郎演じる刑事が物語に絡んできて、これまたアクセクした表情が笑えるんだ。

 特に、物語の端々で、その刑事の息子・てっちゃんが、姿や、名前だけだったりと登場するのだが、終盤で伝助とセットになり、そのタイガース帽をかぶったオモロイ顔が画面に現われるだけで笑えた。

 一つ間違えるとテレビドラマレベルなんだけど、子供の動きの奔放さや、桜の豪勢な撮り方などで、映画としての風格が出ていたと思う。

 そう、寺島進も、ガッテン寿司の職人として物語に登場していたけど、寺島進も、『踊る大走査線』の番外編みたいので、少年との逃避行の物語をやっていたけど、あれに比べると、やはりテレビと映画はちょいと違うのだなと思わせられる。

 ただ、会長の奥さんのYOUや、伊達の元雇い主役のベンガルなど、ややステロタイプな配役が目立つ。

 ベンガルなんて、『ゴールデン・スランバー』でも似たような役をやっていたよね。

                                         (2010/04/03)