★ベルの徒然なるままに★

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映画『きみと、波にのれたら』

2019年06月21日 | 映画鑑賞記

今日は、今日の午前中に見てきました、映画『きみと、波にのれたら』の感想をアップです。

てか、その日の内に見た映画の感想を書くって、初めてかも(^m^)

『四畳半神話大系』や『夜は短し歩けよ乙女』、『夜明け告げるルーのうた』の湯浅政明監督作品とのことで、予告編を見た時から気になっていました。

そしたら、たまたま機会があったので、公開初日で見れちゃいました\(^o^)/

やったね☆

■映画『きみと、波にのれたら』予告編

大学入学と同時に、海のある街に引っ越してきた、ヒロインのひな子は、サーフィンが大好きな女の子。

ある時、自分の住んでいるマンションが火事になり、消防士の港に助けられます。

サーフィンに興味があると言った港に、サーフィンを教えてあげることがきっかけとなり、やがて二人は恋人同士に。

けれども、港は、海で溺れた人を助けようとして死んでしまい、ひな子は、ひとり残されてしまい・・・。

 

想い出の歌を歌うことで、亡くなった恋人が水の中に現れる・・・という切ないラブストーリー。

予告編を見て、展開を知ってはいましたが、やっぱり、切なく悲しかったです。

 

物語前半は、とにかく、付き合いたての恋人、ひな子と港のラブラブっぷりがガッツリ描かれていて甘いです。

超甘々です(//▽//)

周りから「バカップル」と言われるほどに仲の良い二人が、見ていて、とても愛おしかった。

てか、作品全体を通して、色々な感動シーンはあるのですが、私がこの映画の中で一番好きなシーンは、この二人のラブラブイチャイチャな幸せなシーンだなぁ。。。

でも、物語中盤で、ヒロインひな子の恋人である港は、海で人を救助し、命を落とします。

そのショックから、それまで大好きだったサーフィンも辞め、海の見える家からも引越し、生きる目的すら失ったかのように抜け殻になってしまうひな子。

そんな時、ふと、二人の想い出の歌を口ずさんだら、水の中に死んだはずの港が現われた!?

コップの中だったり、川だったり、水たまりだったり、なんと、便器の中にまで!?

そして、普通に会話も出来る。

こうしてひな子は、水を入れた水筒やビニール人形を常に持ち歩き、水の中に居る港と、ずっと一緒に居られる・・・って、会話したりしているのですよね。

けれども、港の姿が見えるのはひな子だけ。

港を慕っていた後輩や妹にも見えなくて・・・。なので、心を病んでしまったのではないかと心配されます。

でも、周りから何を言われようと、どんな風に想われようと、ずっと一緒に居られるならこのままで良い、と水の中の港に語り掛けるひな子。

一方、港は、自分はひな子と、手を繋ぐことも、抱きしめることも、困った時に助けることすら出来ない・・・だから、このままではいけないって思い始めるのですよね。

お互いに「好き」な気持ちは同じなのに・・・このままでは居られない二人の物語が、とても切なかったです。

 

そして。

「水」がテーマのひとつであるので、水の描き方がとても綺麗でした。

生きているかのような動きを見せる水の描写は、『夜明け告げるルーのうた』を思い出しました。

それから、独特なカメラワーク、カメラアングルで、空間を見せていたのも興味深かったです。

ちょっと『四畳半神話大系』っぽい感じかな。

冒頭、引越してきたばかりのひな子が、高く積みあがった段ボールの隙間に居るところや、その段ボールが崩れかけて来て、手や足を使って微妙な体勢を取りながら、それを止めようとする体の動きとかも、『四畳半神話大系』や『夜は短し歩けよ乙女』みたいだったなぁと。

魚眼レンズや広角レンズを通して見たかのように描かれるお顔のアップや、風景の描写も印象的でした。

 

元々、「海」が繋げた、ひな子と港の縁。

序盤では二人でサーフィンをするなど、海のシーンが多かったので、もしかしたら、陸の上でも、海の中っぽく見える表現をしているのかなぁと思ってみたり。

 

最愛の恋人を亡くし、失意のどん底にいるヒロインが、そこから立ち直り、自分の進みたい道を見つけて行く・・・といううのは、一見、ありふれた成長ストーリーっぽく感じるかもしれませんが、歌うと水の中に恋人が現れるというファンタジックな設定、独特なカメラアングルで描かれる世界が新鮮で、この物語を特別なものにしていたと思います。

それから、食べ物の描写も、とても丁寧で素敵でした。

コーヒーのシーンが好きです!

コーヒーの香りまで感じられそうな描写、また、オムライスやたまごサンドの、卵のとろとろ感フワフワ感、凄く伝わって来て・・・コーヒーと卵が恋しくなりました(*´∀`*)

 

でも、ファンタジックで可愛らしい世界観、美味しそうなコーヒーや料理・・・と、とても優しく柔らかい描かれ方の中、「人の死」は妙にリアルに描かれてて。

その対比は怖かったです。

海で見つかった港の遺体にかけられていた布や、炎上した車のシーンでの布を掛けられた遺体・・・。

生々しくて、ひな子の悲痛さをより強く感じられました。

 

そうそう。

メインのキャラクター達は、みんなイイ子なんだけど、あの、冒頭とラストで出て来た違法花火をやってた若者グループは許せなかったですね(>_<)

後先考えず、無茶な事をして楽しむ、無責任な若者達は、昨今話題になりがちな、SNSに不適切動画をアップし世間に大迷惑をかける人達と重なるものがありました。

そういう点は、現代チックでもあるなぁと。

優しく綺麗でファンタジックな世界でありつつ、生々しい死、現代チックな無責任な人間の登場などリアルな部分があるのも、より、ひな子達が生きている世界を身近に感じられましたです。

 

ヒロインの恋人が亡くなってしまう・・・という点では、決して、ハッピーエンドとはいえない物語ですが、心に残る美しいラブストーリーだったと思います。