昨日のブログにも書きました通り、昨夜は豪華なナイル川クルーズに乗船してきました。
もとい、見てきました、映画『ナイル殺人事件』。
本来なら2020年の12月に公開予定の作品だったのですよね。随分、長いこと待ちましたが、やっと鑑賞出来たこと、嬉しいです。
富豪たちが集うナイル川遊覧の豪華客船の中で起こる連続殺人事件。
最初の被害者は、新婚の大富豪リネット。
彼女は親友のジャクリーンの婚約者を奪って結婚したたため、ジャクリーンから酷く恨まれ、結婚式や新婚旅行先にまで付き纏い行為をされ悩んでいました。
そんな中で起こった事件故に、真っ先に疑われたのはジャクリーンでしたが、彼女には完全なアリバイがあり。
そして、水上という密室において、第二、第三の殺人が起こっていく・・・。
というストーリー。連続殺人&クローズトサークルものなミステリーです。
■映画『ナイル殺人事件』予告編
とにかく美しい映像に圧倒されました。
エジプトの風景、ピラミッド、ナイル川、豪華な遊覧船、そして、そこに集う富豪たち。
あの時代のお金持ちの人達の贅沢な世界がうっとりする程に綺麗でした。
そんな美しい背景を舞台にして起こるからこそ、事件の愛憎というか、人間のドロドロさが際立ち、推理物でありつつも、濃厚な人間ドラマでもあったと思います。
また、このシリーズのポアロは、前作の『オリエント急行殺人事件』の時も感じましたが、とても人間臭い人物になっています。
特に今回は、若き日のポアロが従軍していたことや、婚約者を戦争で亡くしたことなど、原作にはなかったオリジナルエピソードが加わっています。
そして、それらの過去が、彼のトレードマークである「ヒゲ」の由来であったり、また、婚約者を失った心の傷が、現在の彼の人間性を造り上げたということになっていて、ポアロの過去や内面まで描かれていました。
わたし個人的には、「オリジナルエピソードって要る?」って思ってしまったり、また、ポアロがラストシーンに、婚約者を亡くした呪縛から解き放たれ、ヒゲを剃った姿で登場することについても、「ポアロにヒゲを剃って欲しくなかったなぁ」と思ってしまったりしましたが。
でも、そういうポアロの深い内面を描くことで、この物語を、単なる推理物で終わらせず、人間ドラマにも仕上げ、作品のテーマでもある「愛」をポアロ自身の中に映し出そうとしているのかなぁと思いました。
本当に、船の上に集う人達の、良きも悪きも、色々な形の愛が渦巻いてて、その濃密な空気にあてられそうなくらい、一人一人の役者さんの演技も圧巻でした。
そんな訳で、最初の事件が起こるまでは、人間ドラマ中心のゆっくりした進行で、事件が起こってからはテンポ良く展開していったのではないでしょうか。
原作未読の方は、誰が犯人なのか推理しながら鑑賞するのも楽しいと思います。
水上という名の密室。
「船上にいる人達の中の誰かが犯人」というのは、とってもドキドキしますよね!
私は、高校生か大学生の頃、原作の『ナイルに死す』を読んでいまして。
ストーリーなど詳細はすっかり忘れてしまっていたのですが、映画を見ていると、犯人、思い出しちゃいました。
失った過去の愛、未練として残る愛、犯罪を犯すほどの愛、人に知られたくない愛、親子の愛、純粋な恋愛、色々な愛を目の当たりにしたからか、自分も、登場人物と一緒に豪華客船に乗り、共に旅をし、旅を終え、下船していった・・・と気持ちになり、いつまでも余韻が残りました。