感想をアップするのが遅くなりましたが。
今日は、先日見た、映画『娼年』の感想をば。
この映画・・・お子様は見ちゃイヤンなR18。
石田衣良さん原作の小説で、R15の舞台にもなっているのですよね。
私は、原作も舞台も未読、未視聴。前知識のないまま、映画を見ました。
■映画『娼年』予告編
主人公のリョウは大学生。
名門大学の学生でありながら、全てのことに対して無気力で、大学に行かず、バーのアルバイトに精を出す日々。
そんなある日、リョウの中学時代からの友人で、ホストクラブに勤める田島が、自分の客の御堂静香という女性を連れてリョウの働くバーを訪れます。
お酒を飲み、店を後にする田島と静香ですが、リョウはバーの仕事終わりに静香から連絡を受けます。
そして、静香が密かに経営する「Le Club Passion」という会員制ボーイズ・クラブで働かないかと、誘われるのでした。
こうして、リョウは「娼夫」となって、お金を貰い、数々の女性と肉体関係を持つようになっていきます・・・。
という物語。
うーん。
賛否あると思いますが、私は、正直、登場人物の誰に対しても共感出来なくて・・・。
主人公のリョウも、ですが、会員制のボーイズ・クラブを経営する静香にも、また、お金を払って若い男の子の身体を買う女性達にも。
なので、誰の目線で映画を見ればいいか分からなくって。
共感するポイントが見つからなかったのです。
強いて言うなら、リョウの大学の友人で、リョウに想いを寄せるメグミの気持ちは、分かるような気がしましたが・・・でも、「共感」とまでは行かないかなぁ。
なので、映画を見ていて、どの登場人物にも感情移入出来ず・・・異世界の出来事のよう感じてしまいました。
リョウを「買う」女性達は、いろいろと心に傷や弱さを抱えている人達です。
そして、世間・・・というか社会的にも、あまりおおっぴらにはされませんが、女性にだって「欲望」はあります。
リョウは、そんな傷を抱える女性の欲望に寄り添い、「男性」とは違う「女性」という生き物の奥深さを知っていく・・・という展開なのですが・・・。
なんていうか、女性に寄りそう性行為と言いつつも、リョウの視点で描かれるからか、ラブシーンも凄く男性のイメージする行為・・・って感じの描かれ方なのですよね。
ぶっちゃけ、A●的というか。
美しくないというか。(いや、松坂桃李君の肉体美は素晴らしいですが)
描かれているテーマが違うので、比較対象にはなりませんが、洋画の『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』の方が、ずっとずっと行為の描かれ方が美しく、ロマンチックで、女性本位な気がしました。もちろん、『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』シリーズは、ラブロマンスものなので、そういう意味では、この『娼年』の方が、より生々しくリアルに「性」や「欲望」を捕えていますが。
そして。
一言で「性欲」と言っても、この作品に登場する女性たちは様々です。
長年のセックスレスに悩む女性、自分が排泄しているところを見て貰うことに悦びを覚える女性、手を繋いでいるだけで達してしまう老女、はたまた、夫の見ている前で他の男性に抱かれるというプレイを楽しむ女性(というか夫婦)。
そんな、今まで、リョウが知らなかった独特な欲望をまざまざと見せつけられながらも、それに応えていく。
そして、時には、相手が男性であっても、その欲望や心の傷に寄り添おうとて肌を合わせる。
そういう主人公リョウを、実に体当たりで演じてる松坂君の演技は、圧巻でした。
また、相手役の女優さん達も。
だから、凄いなぁ~とは思ったんだけど・・・やっぱり、共感点が見当たらなかったからか、物語の最後の最後まで「だから、どうなの?」って思ってしまったのも否めません。
心の傷や、過去のトラウマ、満たされない想い。
それを一時的な快楽で紛らわしてるだけなのではないかなぁと。
余計なお世話かもしれないけど、それは、根本的な解決にはなってないよね?って。
それに、「女性に寄りそう」って、言葉は綺麗だけど、結局、やってることは、組織的な売●だよねって(^^;;
という訳で、誰の視点でも見ることが出来ず、終始、共感出来なかったのですが。
でも、最初に述べた通り、強いて言うなら、リョウに想いを寄せる女子大生メグミの視点なら、理解出来ました。
そして、「もし、私がメグミの立場だったら、彼女と同じことをしたかなぁ?」って、ずっと考えてしまいましたです。
個性的な女性が多く登場する物語において、メグミは、唯一、ごくごく平凡な女の子だったのですよね。
そして、冒頭、いかにもチャラそうに見えた、ホストの田島も。彼も、意外と保守的。
で。
想いを寄せていたリョウがボーイズ・クラブで娼夫をしていると知り、怒り、軽蔑しつつも、最終的には、彼を「お金で買ってしまう」メグミ。
普通とか、特異とか、線を引いてはいけないのですが、彼女もまた、保守的だったエリアから、リョウのいる世界へと壁を越えて来ちゃうのですよね。
そこは・・・どうなんだろ?
もし、私が彼女の立場だったら・・・。
好きな人が娼夫をしていたら・・・買うか、買わないか、凄く考えてしまいました。
だけど、いつもは地味な印象だったメグミが、リョウの「客」になった時には、とても綺麗で。
ちょっと複雑な気分になりました。
別に、男女共に、だけど、性的な事だけで、人は美しくなったりするのではないのになぁって。
ただ、映画を見ていて、私は、多分、保守的な感覚を持っているのだろうなぁと思ったです。
男女を問わず、やっぱり、お金で身体を買うとか売るとかの行為には、抵抗がありますから。
・・・と、色んなことを考えてしまった映画でした。
とはいえ、男女平等という世の中において、男性に比べ、女性のそういう欲望、欲求っていうのは、まだまだ社会において取り上げられたりしていないのも事実だなぁと思ったのは確かです。
なので、この映画のような秘密クラブも・・・もしかして、ひっそりと有ったりして!?と思ってしまったり(笑)
過激な性描写が話題になっていますが、これは、無気力に生きる一人の青年が、様々な人との出会いによって成長していく物語であり、また、恋愛物でもあります。
が、「Le Club Passion」の経営者である静香の秘密は・・・結構、最初の方に推理した通りでしたし。
また、リョウがよくフラッシュバックしている母親の想い出。
その母親についても、「やっぱりなぁ」という感じでした。
結局、皆、娼婦であったり、娼夫であったり・・・という、妙なご縁(笑)だったようですが。
でも、それが意味するところって、何だったのかなぁって思いました。
娼夫という仕事を通して、人間として変わって行く主人公リョウですが・・・でも、人が変わったり、成長していくのは、何も、性的な事でだけではないよなぁと思います。
もちろん、これは、「性」を描いているのと同時に、そこに隠された、人間の細やかな心情の物語でもある、とは思うのですが。
今日は、先日見た、映画『娼年』の感想をば。
この映画・・・お子様は見ちゃイヤンなR18。
石田衣良さん原作の小説で、R15の舞台にもなっているのですよね。
私は、原作も舞台も未読、未視聴。前知識のないまま、映画を見ました。
■映画『娼年』予告編
主人公のリョウは大学生。
名門大学の学生でありながら、全てのことに対して無気力で、大学に行かず、バーのアルバイトに精を出す日々。
そんなある日、リョウの中学時代からの友人で、ホストクラブに勤める田島が、自分の客の御堂静香という女性を連れてリョウの働くバーを訪れます。
お酒を飲み、店を後にする田島と静香ですが、リョウはバーの仕事終わりに静香から連絡を受けます。
そして、静香が密かに経営する「Le Club Passion」という会員制ボーイズ・クラブで働かないかと、誘われるのでした。
こうして、リョウは「娼夫」となって、お金を貰い、数々の女性と肉体関係を持つようになっていきます・・・。
という物語。
うーん。
賛否あると思いますが、私は、正直、登場人物の誰に対しても共感出来なくて・・・。
主人公のリョウも、ですが、会員制のボーイズ・クラブを経営する静香にも、また、お金を払って若い男の子の身体を買う女性達にも。
なので、誰の目線で映画を見ればいいか分からなくって。
共感するポイントが見つからなかったのです。
強いて言うなら、リョウの大学の友人で、リョウに想いを寄せるメグミの気持ちは、分かるような気がしましたが・・・でも、「共感」とまでは行かないかなぁ。
なので、映画を見ていて、どの登場人物にも感情移入出来ず・・・異世界の出来事のよう感じてしまいました。
リョウを「買う」女性達は、いろいろと心に傷や弱さを抱えている人達です。
そして、世間・・・というか社会的にも、あまりおおっぴらにはされませんが、女性にだって「欲望」はあります。
リョウは、そんな傷を抱える女性の欲望に寄り添い、「男性」とは違う「女性」という生き物の奥深さを知っていく・・・という展開なのですが・・・。
なんていうか、女性に寄りそう性行為と言いつつも、リョウの視点で描かれるからか、ラブシーンも凄く男性のイメージする行為・・・って感じの描かれ方なのですよね。
ぶっちゃけ、A●的というか。
美しくないというか。(いや、松坂桃李君の肉体美は素晴らしいですが)
描かれているテーマが違うので、比較対象にはなりませんが、洋画の『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』の方が、ずっとずっと行為の描かれ方が美しく、ロマンチックで、女性本位な気がしました。もちろん、『フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ』シリーズは、ラブロマンスものなので、そういう意味では、この『娼年』の方が、より生々しくリアルに「性」や「欲望」を捕えていますが。
そして。
一言で「性欲」と言っても、この作品に登場する女性たちは様々です。
長年のセックスレスに悩む女性、自分が排泄しているところを見て貰うことに悦びを覚える女性、手を繋いでいるだけで達してしまう老女、はたまた、夫の見ている前で他の男性に抱かれるというプレイを楽しむ女性(というか夫婦)。
そんな、今まで、リョウが知らなかった独特な欲望をまざまざと見せつけられながらも、それに応えていく。
そして、時には、相手が男性であっても、その欲望や心の傷に寄り添おうとて肌を合わせる。
そういう主人公リョウを、実に体当たりで演じてる松坂君の演技は、圧巻でした。
また、相手役の女優さん達も。
だから、凄いなぁ~とは思ったんだけど・・・やっぱり、共感点が見当たらなかったからか、物語の最後の最後まで「だから、どうなの?」って思ってしまったのも否めません。
心の傷や、過去のトラウマ、満たされない想い。
それを一時的な快楽で紛らわしてるだけなのではないかなぁと。
余計なお世話かもしれないけど、それは、根本的な解決にはなってないよね?って。
それに、「女性に寄りそう」って、言葉は綺麗だけど、結局、やってることは、組織的な売●だよねって(^^;;
という訳で、誰の視点でも見ることが出来ず、終始、共感出来なかったのですが。
でも、最初に述べた通り、強いて言うなら、リョウに想いを寄せる女子大生メグミの視点なら、理解出来ました。
そして、「もし、私がメグミの立場だったら、彼女と同じことをしたかなぁ?」って、ずっと考えてしまいましたです。
個性的な女性が多く登場する物語において、メグミは、唯一、ごくごく平凡な女の子だったのですよね。
そして、冒頭、いかにもチャラそうに見えた、ホストの田島も。彼も、意外と保守的。
で。
想いを寄せていたリョウがボーイズ・クラブで娼夫をしていると知り、怒り、軽蔑しつつも、最終的には、彼を「お金で買ってしまう」メグミ。
普通とか、特異とか、線を引いてはいけないのですが、彼女もまた、保守的だったエリアから、リョウのいる世界へと壁を越えて来ちゃうのですよね。
そこは・・・どうなんだろ?
もし、私が彼女の立場だったら・・・。
好きな人が娼夫をしていたら・・・買うか、買わないか、凄く考えてしまいました。
だけど、いつもは地味な印象だったメグミが、リョウの「客」になった時には、とても綺麗で。
ちょっと複雑な気分になりました。
別に、男女共に、だけど、性的な事だけで、人は美しくなったりするのではないのになぁって。
ただ、映画を見ていて、私は、多分、保守的な感覚を持っているのだろうなぁと思ったです。
男女を問わず、やっぱり、お金で身体を買うとか売るとかの行為には、抵抗がありますから。
・・・と、色んなことを考えてしまった映画でした。
とはいえ、男女平等という世の中において、男性に比べ、女性のそういう欲望、欲求っていうのは、まだまだ社会において取り上げられたりしていないのも事実だなぁと思ったのは確かです。
なので、この映画のような秘密クラブも・・・もしかして、ひっそりと有ったりして!?と思ってしまったり(笑)
過激な性描写が話題になっていますが、これは、無気力に生きる一人の青年が、様々な人との出会いによって成長していく物語であり、また、恋愛物でもあります。
が、「Le Club Passion」の経営者である静香の秘密は・・・結構、最初の方に推理した通りでしたし。
また、リョウがよくフラッシュバックしている母親の想い出。
その母親についても、「やっぱりなぁ」という感じでした。
結局、皆、娼婦であったり、娼夫であったり・・・という、妙なご縁(笑)だったようですが。
でも、それが意味するところって、何だったのかなぁって思いました。
娼夫という仕事を通して、人間として変わって行く主人公リョウですが・・・でも、人が変わったり、成長していくのは、何も、性的な事でだけではないよなぁと思います。
もちろん、これは、「性」を描いているのと同時に、そこに隠された、人間の細やかな心情の物語でもある、とは思うのですが。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます